(2024年 馬場状態 4/29まで) [良]8 [良→稍重]1 [稍重]6 [重]13 [不良→重]1 [重→不良]1 [不良]16
重賞競走

【高知けいばの重賞】建依別賞

伝統ある夏の短距離王者決定戦!

基本情報

創  設
1978年
出走資格
・3歳以上
・出走申込時所属場で1走以上
競走距離
1400m
出走頭数
12頭以内
負担重量
3歳56kg、4歳以上57kg(牝馬2kg減)
本 賞 金
1着:1,000万円
2着:350万円
3着:200万円
4着:150万円
5着:100万円
(着外賞金:50万円)

今年度開催

農林水産大臣賞典
第46回建依別賞

開催日:2023(令和5)年8月20日(日)

歴代優勝馬・競走成績

※競走成績は1998年以降

レースレコード

2019年8月25日 第42回
ケイマ(57kg)
(牡6 別府真司厩舎/永森大智騎手)
1:26.6(曇・不良)

概要

長年夏に開催されている古馬の短距離重賞である。このレースより回次を重ねた重賞は他にもあるものの、それらは名称が何度か変わっており、本競走は当初の「建依別特別」から「建依別賞」と末尾が1度変更されただけで、高知のいにしえの呼び名「建依別」の名は創設当初から変わっていない。このため伝統ある短距離重賞と称されることもあり、経営不振時に重賞が整理された際もこの競走は継続されている。

高知古馬短距離路線の夏の中心レース的な位置づけであり、前月の「トレノ賞」は本競走へのトライアル競走となっている。強豪がはっきりしやすい高知古馬短距離路線だが、時期的に休養入りや休養明け、また遠征出走などもあって「トレノ賞」とはメンバーが入れ替わることもあり、波乱の目はある競走である。

なお、創設当初から農林水産大臣賞典授与競走となっている。高知では「黒船賞(JpnIII)」と本競走のみである。

競走名の由来

古事記に記された土佐国の名前「建依別(たけよりわけ)」より

出走馬選出基準

  • 優先出走を認める馬
    本年度「トレノ賞」3着以内馬
  • 高知県競馬組合による選出

ローテーション

歴史

創設は1978(昭和53)年で、「高知県知事賞」、「高知優駿」に次ぐ歴史を持つ。当初は旧桟橋競馬場で1600m戦の「建依別特別」。当時はこの距離が古馬にとっては最短の重賞であった。初期は開催時期も変動していたがやがて8月が基本となる。そして、1985年の現競馬場への移転により1400m戦に変更。また、本競走のように重賞ながら競走名の末尾が「特別」だった競走は1989年から全て名称が変更され、本競走は「建依別賞」となり現在に至っている。

高知けいばの重賞は中・長距離が主体で古馬にとっては唯一の短距離重賞であったが、1997年の「重賞競走の体系化」によって短距離路線が整備され、ダートグレードの「黒船賞(当時の表記はGIII)」の新設をはじめ四季に1戦ずつ短距離重賞が設定、本競走は夏季の短距離重賞としての位置づけがなされる。また、当時の高知けいばの古馬重賞は別定重量戦が主体であったが、同年から定量重量戦に変更されたほか、賞金設定が高知県知事賞に次ぐ額に設定された期間もあり、農林水産大臣賞典競走ゆえか回次の積み重ねの効果か、やや格が高くなった時期もあった。

しかし、21世紀に入り高知けいばの経営不振が表面化したことで賞金は急落し、条件的には黒船賞、知事賞以外の重賞と変わらなくなる。ただ、廃止される重賞も出た中で本競走の開催は継続。一時、古馬短距離路線は「黒船賞」と「建依別賞」しかない時期がしばらく続いた。
その後2008年に「トレノ賞」が再開され、同時に本競走のトライアル要素が加味されたことにより、夏の短距離路線的な形で路線形成がされている。

2009~2012年は他の重賞と同じく近畿(2011年まで)・中国・四国地区交流競走となる試みも行われたが遠征馬はなかった。

高知所属馬のみの重賞に戻った2013年以降は形式に変更なく継続されており、高知けいばの経営回復の波に合わせて賞金等が大きく上昇、2021年以降は減額開始前の賞金体系をも上回っている。

「建依別賞」タイムライン
  • 1978年
    (第1回)
    9月開催の4歳以上1600m別定重量重賞「建依別特別」として創設

    1着賞金135万円(以降変動多数)

  • 1982年
    (第4回・第5回)
    第4回を年明け3月開催、第5回を11月開催で実施

    1981年は開催なし

  • 1983年
    (第6回)
    8月開催に変更

    以降、1985~88年のみ7月下旬開催となったのを除き8月開催に固定

  • 1985年
    (第8回)
    現競馬場に移転し、1400m戦に短縮
  • 1989年
    (第12回)
    競走名を「建依別賞」に変更

  • 1990年
    (第13回)
    ニッポースワロー号が3連覇達成

    管理する川島順助調教師、鞍上の西川敏弘騎手も3連覇

  • 1997年
    (第20回)
    定量重量戦に変更

  • 1998年
    (第21回)
    1着賞金500万円に変更

    第23回まで、以降減額

  • 2001年
    (第24回)
    馬齢表記の変更に伴い出走条件が「3歳以上」に変更

  • 2003年
    (第26回)
    1着賞金50万円に変更

    第27回(70万円)、第28回(55万円)を除き第35回まで継続

  • 2009年
    (第32回)
    近畿・中国・四国地区交流競走に変更

    交流競走に変更。2010年(第33回)より他地区出走枠を兵庫・福山所属8頭以内と規定。

  • 2012年
    (第35回)
    中国・四国地区交流競走に変更

    他地区出走枠を福山所属6頭以内に変更

  • 2013年
    (第36回)
    高知所属馬のみの重賞に変更

    1着賞金60万円に変更(以降増額)

  • 2020年
    (第43回)
    新型コロナウイルス感染症の感染予防及び拡散防止のため無観客で開催
  • 2021年
    (第44回)
    新型コロナウイルス感染症の感染予防及び拡散防止のため無観客で開催
    スペルマロン号が優勝し高知けいば重賞全距離優勝を達成

傾向(過去10年)

2013年(第36回)~2022年(第45回)までの成績を集計し、傾向を分析する。

天候・馬場状態

2004年の第27回を最後に20年近く雨発表で行われたことがない。しかし、期間中半数は不良馬場で行われているのは高知けいばらしい。ただ、良馬場・稍重馬場での開催も2度ずつある。

天候稍重不良
1110
1105
0000

走破時計

期間中の3着内馬の走破時計の分布を集計した。

良馬場2戦の平均勝ち時計が1分30秒15、稍重2戦の平均勝ち時計は1分29秒75、唯一の重馬場開催である第41回(2018年)の勝ち時計が1分28秒9、不良5戦の平均勝ち時計は1分28秒04となっている。

3着内時計は不良と重が少し早く、良と稍重はそれよりもかかる傾向にあるが、基本的には1分30秒を切る能力が最低限求められる。時計がかかる不良馬場は性能次第では大きくタイムを縮めることも不可能ではないようだ。

3着内馬走破時計稍重不良
1分26秒台0001
1分27秒台0004
1分28秒台0015
1分29秒台1325
1分30秒台5300

単勝人気

期間中単勝1番人気馬が6勝、2着も3回と連対率9割と高い好相性ぶりがでている。短距離路線は筆頭格が比較的わかりやすい雰囲気があり、如実に結果にも表れているように思われる。
一方、2番人気からは一転連対率が下がり、2番人気は連対率が5割と逆転どころか人気通りの決着にも心もとなく、5番人気馬が波乱の使者となっている傾向がある。また、6番人気馬以下も3着には3度来ており、筆頭格の高い信頼度ほど全体も堅いわけではない印象を受ける。

単勝人気1着2着3着4・5着6着以下
1番人気63001
2番人気23212
3番人気02125
4番人気00352
5番人気21133
6番以下013941

性別

牡馬優位の傾向がある。牡馬のうちファイアーフロートが2013・14年と連覇しているため実数は7頭となる。一方、セン馬優勝も2度あり、2019年のスペルマロンが史上初のセン馬優勝、続く2020年のスリラーインマニラも勝利し、2年連続となった。
牝馬は出走自体が少なく、期間中は連対もない。歴代でも2010年のサウロビスティー、翌2011年のプラネットワールドの2年連続牝馬優勝があったのみ。

性別1着2着3着4・5着6着以下
牡馬8971140
セン馬21178
牝馬00226

馬齢

期間中7歳馬が最多の4勝、次いで6歳と9歳以上が2勝ずつと良績が高齢馬寄りになっているのは高知けいばの古馬重賞共通の傾向。2015年優勝のエプソムアーロンは11歳での優勝。過去には2003年にナムラコクオーが12歳でこのレースを制している。
一方4歳以下は格段に出走数が少ないが、4歳馬に関しては2、3着を取ったことはあるため、一概に若馬を軽視していいとは言えない。

馬齢1着2着3着4・5着6着以下
3歳00001
4歳01202
5歳111715
6歳22225
7歳420413
8歳11556
9歳以上230212

発走枠

枠番の4枠が3勝を筆頭に偶数枠が複数の勝ち馬を出している。1400mは枠の有利不利はさほどないと言われるが、2着・3着の固まり具合を見ると外枠に魅力を感じなくはない。なお、勝ち馬を出していない2枠と7枠には期間中単勝1番人気馬が入っていない。

1着2着3着4着
以下
1枠1018
2枠0109
3枠1126
4枠3016
5枠1118
6枠20111
7枠04115
8枠23311

調教師・騎手

期間内に3着内が1回以上ある馬を対象として、所属していた厩舎、騎手を集計した。

調教師

期間中の10年は5厩舎が各2勝ずつで並んでいる。出走頭数もリーディング上位歴のある厩舎に集中しており、古馬短距離路線はリーディング争いの勢力図に概ね沿っていることを裏付けている。

調教師1着2着3着出走頭数
別府真司23013
雑賀正光22020
打越勇児2129
田中 守21115
松木啓助21220
*炭田健二0116
工藤真司0102
*大関吉明0025
川野勇馬0012
國澤輝幸0012
*は引退

騎乗騎手

期間中は永森大智騎手が4勝と最多。うち2勝は所属でない厩舎の馬で勝利している。次いで赤岡騎手3勝、宮川騎手2勝と勝利はリーディング上位騎手に集中。3着以内まで広げても好成績を挙げている騎手が集中している印象を受ける。

騎手1着2着3着騎乗数
永森大智4118
赤岡修次3219
宮川 実2128
*倉兼育康1017
*中西達也0204
多田羅誠也0203
*西川敏弘0128
[兵]下原 理0101
佐原秀泰0025
岡村卓弥0017

優先出走馬の結果は

「建依別賞」は「トレノ賞」をトライアル競走としており、同競走3着以内馬は優先出走が認められる。そこで、過去10年の優先出走馬の結果を集計した。

「トレノ賞」優勝馬が「建依別賞」にも参戦したのは過去7度あり、うち4度の優勝、2着2回と相性は良い。「トレノ賞」で優先出走権を得た馬の「建依別賞」優勝は半数の5度であり、基本的に「トレノ賞」優勝馬が続けて参戦ならば中心視するのが傾向的には妥当といったところか。
ただ、「トレノ賞」2着以下に関しては「建依別賞」の3着以内率がやや低くなっており、このあたりに紛れの要素がでてきそう。「トレノ賞」は未出走で「建依別賞」に勝利も4度あるほか、2着は半数が未出走。敢えて「トレノ賞」を使っていない馬を狙って波乱の使者に迎え入れるのも一つの方法と言えそうだ。

前走1着2着3着4着
以下
未出走
トレノ賞1着42013
トレノ賞2着02233
トレノ賞3着10243
トレノ賞4着以下113
トレノ賞未出走453

払戻金

5つの賭式をピックアップ。期間中の払戻結果の傾向を探った。

上位人気馬の馬券圏内入りの可能性は高い傾向にあることから、特に複式馬券で買い目から外すことはかなり冒険ではあるものの、三連勝式や単式に関してはいわゆるガチガチ払戻ばかりではないため、波乱の可能性を考慮した馬券の組み立てはしておいて損はないといえる。

単勝式

払戻金中央値:200円(最低120円~最高2,600円)
人気中央値:1番人気(最高1人気~最低5人気)

払戻金(円)200未満200~500510~1,0001,010以上
回数5212
単勝人気1234~56以下
回数62020

期間中単勝1番人気の勝利が6度と過半数。2番人気が2度と、単勝上位人気の信頼度は高い。高知けいばは短距離路線の筆頭格は抜けて目立つことも多いことから人気が集中し、結果もそれに応えているといえる。払戻が10倍を超えたのは5番人気馬が勝利した2度のみ。

馬番連勝複式

払戻金中央値:895円(最低150円~最高3,810円)
人気中央値:4番人気(最高1人気~最低11人気)

払戻金(円)200未満200~500510~1,0001,010以上
回数1324
馬複人気12~34~56~1011以下
回数41131

期間中の馬複1番人気的中は4度で500円以下の払戻は全てこの時。2番人気以下となった残りは全て500円を超えている。2014年以降9年連続で単勝1番人気馬が連対を続けているため大きな跳ねは近年ない反面、相手の波乱はわりと起きている。1番人気から相手を広くという手も有効かもしれない。

馬番連勝単式

払戻金中央値:1,390円(最低200円~最高14,670円)
人気中央値:6番人気(最高1人気~最低31人気)

払戻金(円)500未満500~10001,010~3,0003,010以上
回数3052
馬単人気12~56~1011~2021以下
回数23311

馬単1番人気決着は期間中2度。2番人気決着の1度を含めた3度は払戻が500円未満だが、残りは全て10倍以上。1番人気馬は9年連続連対中も、2着敗退が3度。うち2度は5番人気馬の勝利で裏目千両となっている。1番人気馬の安心感次第だが、裏目押さえも考えておいても無謀ではないのでは。

三連勝複式

払戻金中央値:1,705円(最低340円~最高7,080円)
人気中央値:7番人気(最高2人気~最低29人気)

払戻金(円)500未満500~1,0001,010~30003,010~10,00010,010以上
回数12520
三連複人気12~56~1011~2021以下
回数05311

三連複は期間中1番人気決着はないものの5度は5番人気以下。9年連続で1人気馬は連対し、「1人気-2人気-他」の組み合わせは6度あるため万馬券はないが、残る1頭が小波乱~波乱というケースが比較的ある。傾向的に3頭中2頭は上位人気で堅く抑えるとしても、1頭は散らしておくことで旨味があるかも。

三連勝単式

払戻金中央値:6,175円(最低980円~最高78,630円)
人気中央値:20番人気(最高2人気~最低156人気)

払戻金(円)1,000
未満
1,000~
5,000
5,010~
10,000
10,010~
100,000
100,010以上
回数12430
三連単人気12~1011~5051~100101以下
回数02512

三連単の最高人気は2番人気でこの時だけ払戻は千円を割った。上位人気の馬券圏内入り傾向が高い割には人気順と着順があべこべになったり、1頭人気薄が飛び込むなどして、意外と波乱が起きやすい傾向は払戻からも見て取れる。

記録

※馬は2勝以上、騎手・調教師は3勝以上

勝利回数上位馬

3勝
ニッポースワロー(11,12,13)
2勝
ストロングボス(27,28)
トサローラン(30,31)
ファイアーフロート(36,37)

勝利回数上位騎手

6勝
赤岡修次(30,33,34,37,41,43)
5勝
西川敏弘(11,12,13,22,32)
永森大智(35,38,40,42,45)
4勝
打越初男(4,6,7,10)
宮川 実(27,28,36,39)

勝利回数上位調教師

5勝
松岡利男(1,3,18,21,23)
田中 守(26,33,34,41,43)
4勝
打越慶男(4,6,7,14)
松木啓助(30,31,36,37)
3勝
川島順助(11,12,13)
谷 力(9,16,20)
雑賀正光(35,38,40)

連覇
  • ニッポースワロー(3連覇)
    第11~13回(1988~1990)
  • ストロングボス
    第27・28回(2004,2005)
  • トサローラン
    第30・31回(2007,2008)
  • ファイアーフロート
    第36・37回(2013,2014)
  • 打越初男騎手
    第6回センタータカシ(1983)、
    第7回タカシボーイ(1984)
  • 西川敏弘騎手(3連覇)
    第11~13回ニッポースワロー(1988~1990)
  • 花本正三騎手
    第19回クロスオーシャン(1996)、
    第20回スーパープレイ(1997)
  • 宮川 実騎手
    第27・28回ストロングボス(2004,2005)
  • 赤岡修次騎手
    第33回サウロビスティー(2010)、
    第34回プラネットワールド(2011)
  • 打越慶男調教師
    第6回センタータカシ(1983)、
    第7回タカシボーイ(1984)
  • 川島順助調教師(3連覇)
    第11~13回ニッポースワロー(1988~1990)
  • 竹内昭利調教師
    第24回エイシングランツ(2001)、
    第25回エイシンドーサン(2002)
  • 打越初男調教師
    第27・28回ストロングボス(2004,2005)
  • 松木啓助調教師
    第30・31回トサローラン(2007,2008)
    第36・37回ファイアーフロート(2013,2014)
  • 田中 守調教師
    第33回サウロビスティー(2010)、
    第34回プラネットワールド(2011)

今年度結果

12号馬サンライズナイト号騎乗予定の井上瑛太騎手は疾病のため岡 遼太郎騎手に騎乗変更
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