(2024年 馬場状態 4/14まで) [良]8 [稍重]6 [重]13 [不良→重]1 [重→不良]1 [不良]13
高知けいば レース情報

高知競馬場のレースコース

初回投稿:2017.8.16
更新:ゴール板の画像と文を一部修正

「KOCHI RACE COURSE」と書かれた青を基調としたゴール板。よくある蹄鉄型の装飾ながら、太平洋に面した高知の競馬場らしく、下半分の白縦縞に頂上の飾りで潮を吹くほほえむクジラもイメージ。2023年の秋にリニューアルされこのスタイルに。
かつては高知競馬場の映像配信を担う株式会社山口シネマからの寄贈のゴール板である旨の表記が入っていました。また、以前は「KRA RACE COURSE」という表記でしたが2016~2017年頃に現在の表記に変えています。

現在の高知競馬場は、1985年4月1日に、それまで高知市桟橋通六丁目にあった通称「桟橋競馬場」を移転新設する形で開設されました。旧競馬場は1周1000mでフルゲート8頭と小規模であったことから、郊外の長浜宮田への移転に合わせて、旧競馬場より規模を拡張した現在の姿となっています。この項では、高知競馬場のレースコースについてまとめてみます。

コース形状

※図は位置関係を漠然と表したもので、実際の縮尺とは異なります。距離はその競走距離のスタート地点を表します。なお、灰色になっている距離は近年施行されていません。

右回り1周1100m、直線230m(うちゴールまで200m)という形は地方競馬ならではの小さなコースとよく形容されます。一方コース幅員は場所によって違うようですが22~27mあります。

コースの形は左右対称の楕円ではなく、第1・第2コーナーに比べて第3・第4コーナーの方が半径が大きい「おむすび形」の構造になっています。この形状のため、レース後半に走る第3・第4コーナーが緩くスピードを出しやすいことから、後半に入ってから長い捲くりを決めることもでき、最後の直線が短いことによる差し馬の不利を和らげる効果があるとされています。

少し曲がりがきつめな第1・第2コーナー
(2016.5.4撮影)
そう見えるか微妙ですが、カーブが緩い第3・第4コーナー
(2017.6.18撮影)

また、普段は意識することはあまりないのですが、走路には1.58mの高低差が付けられており、よく見ると正面走路より向正面走路の方が少し高く、また橋口浩二アナウンサーの初期の頃の実況放送では3コーナーに入ると「坂を下る」という表現が入ることがありました。実際のところスタンド前の直線を底として左右コーナーのところで勾配がつき、2コーナーが頂上で向正面は高いまま、3コーナーから下るという形となっています。

ただ、上りはコーナーがきつくスピードが緩む1・2コーナー、下りはコーナーが緩くスピードが出る3・4コーナーなので、特に障害的要素を盛り込んだわけではなさそうかなと思い、念のため筆者から「モーニング展望。」で質問を出してみたところ(西川敏弘騎手に答えて頂きました)、騎手の方も極端な高低差ではないのでレース運びの上では気にならないとのことでした。

むしろ向正面を高くすることでバックストレッチを走る馬の様子が見やすくなっている感じがあり、そのためにこんな構造になっているのかもしれません(わかりませんが)。

スタンド前から向正面を水平な目線で撮ったつもり。たしかに向正面の方が高くなっている気がする…。
(2015.7.19撮影)

周回コースからの引込み線であるポケットは第1コーナー以外の3箇所に設けられていますが、現在第2コーナーから伸びるポケットはレースでは使用されていません。

フルゲートは12頭ですが、第2・第3コーナーのポケットが幅員が本走路よりやや狭いことから、第2コーナーポケットからのスタートは10頭、第3コーナーポケットからは11頭がフルゲートとなっています。

本馬場(この日は重馬場発表)と内馬場では砂の色が違っています
(2021.11.28撮影)

本馬場に敷かれた砂は海砂を使用しており、砂は高知県内で調達しているそう。水分を含むとはっきりと黒っぽくなる砂です。一方、レースでは使われない内馬場(練習馬場)にも従来は同じ砂が敷かれていましたが、2021年9月下旬の休催週を利用して明らかに色が白い砂に入れ替えられ、現在は内と外で色が違う馬場になっています。この白い砂は練習馬場だけなのか、今後本馬場にも採用するのかは不明です。

※高知けいば公式サイトでの説明(2021.9.30掲載→こちら)によると『(旧)名古屋競馬場や園田競馬場と同じ砂』とありますが、netkeibaコラム「ちょっと馬ニアックな世界」(2020年4月14日掲載分→こちら)によると、園田はオーストラリア産、名古屋は愛知県産の砂とあるので「2場と同じ」ではないとは思われます。

他の競馬場と違う大きな特徴とされるのが、砂が深いという点。中央競馬では全場9cm、地方競馬の他場は各場ごとに砂の厚さは異なっていますが、中央競馬よりも薄いところがあったり、最大で11~12cm程度の厚さにしているところなどさまざま。しかし、高知競馬場はそれを上回る最大14~15cm程度となっています。このために他場に比べてスピードは出ない傾向にありますが、クッション性があって脚への負担がやわらげられることから、高齢馬や脚元に不安のある馬であっても故障のリスクが軽減される効果があるとされています。

ただし、一見すると平坦に見えるのですがコースには傾斜がつけられているそう。ただ、最大の深さとなっているのは馬場の内側から3m程度までと調整されており、そこから外へ行くにつれ徐々に砂の厚さは薄くなっていき、外ラチあたりでは11cmくらいになります(さすがにそんなところを走る馬は本馬場入場時以外めったにいませんが)。

本来経済コースである最内を敢えて不利にする理由は、小回りコースで距離有利な最内に殺到されると狭いゆえに場合によっては危険であるためそれを防止するという一面があると言われます。他の地方競馬場でも同様にしているところがあり、有利なはずの最内をガラ開きにしてレースが進行するのは、砂が深く不利なゾーンを敢えて避けるためです。なお、馬場整備の関係上計測できない場合(不良馬場の時など)以外は、高知競馬場内の掲示板(スタンド1階組合事務所受付前)、及び高知けいばの公式サイトで、開催日ごとに「正面」「1~2コーナー」「向正面」「3~4コーナー」の4地点で内から1メートルごとに計測された砂の厚さが公開されています。(※高知けいば公式サイト→「馬場状態」

レース開始前の馬場整備に合わせて係の方が砂の深さを確認。ご苦労様です。
(2017.6.18撮影)
本場1階受付前掲示板に掲示される馬場の砂圧状況
(2017.6.18撮影)

一方で、砂の状態はデリケートで、厚さを一度調整しても、気象条件の変化や表面が乾いていてもハロー掛けで慣らされていくなどにより、時には1日の開催途中でも馬場傾向が変化していきます。外の砂が内に流れていくこともある一方、降雨があると内も外も脚抜きが良くなったり、コース外へ砂が流れて全体に薄くなり、一気に高速馬場化することもあります。

高知競馬場の場合、良馬場の時はパワータイプの馬が、重・不良の時はスピードタイプの馬に期待が集まるというのが一般的ですが、水を含みやすい馬場の性質もあってか良・稍重・重・不良の4段階評価だけでは足りないくらいのパターンがあるような馬場です(そのため専門紙のうち「福ちゃん」と「競馬研究」ではさらに馬場状態を細かく評価したものが馬柱に掲載されています)。そのため、砂が深くて不利とされる最内でも水分の含み加減で脚抜きが良くなり、外目よりも伸びる馬場に変貌したりするため、位置取り次第で伸びる伸びないが変わって展開が思った方向と違う流れになることがあります。このあたりは序盤のレースでとりあえずの傾向を見て行き、その後の流れを見て行くしかないという感じがあります。

傾向が固まっていけば騎手がそれを読み、馬をそこへ持っていけば負荷が軽減されて力を発揮できるだろうと読めるのですが、これについては一概に砂の厚さが何cmとか降水量がどれくらいならそうなるという感じでもないため、レースを見ながらその日の傾向を掴むしか方法はなく、騎手も同様の感想をもつようです。

天候・馬場状態

温暖な気候を利用しての通年ナイター開催としている高知けいばですが、雪こそめったに降らないものの真冬はやはり寒く、騎手はゲートに集合するまでは主催者貸し出しの自分の騎手服の服色をあしらったジャンパー着用が認められています。逆に、暑い高知の夏のコース内は過酷な蒸し暑さだそうで、それが「モーニング展望。」等で話題になったりしています。

一方、高知は通年で降水量が多く、開催中でも時にスコールのような短時間の大雨に見舞われることがあるなど雨はつきものです。が、高知競馬場は水はけについてはやや不十分なところがあるそうで、走路の水浮きは1日あれば引きますが、1日晴れたくらいでは馬場の内部が乾かない傾向にあります。このため、直近は晴れてるのに数日前の雨が影響して馬場状態が「不良」だったり「重」ということが大変多く、「良」でレースをすることはかなり少ない傾向にあります。また、連続開催の初日は「良」なのに、その開催中に降りだして翌日(ひどい時にはその日のうちに)は馬場状態悪化というケースもまま見られます。

このような状況のため、馬の実力やレースの傾向も「重」・「不良」時のデータが蓄積されやすくなります。

砂ぼこりが派手に舞うくらいカラカラにならないと良になりませんが、馬場に水分がないだけまだ脚抜きは悪くないという話もあり、かえって稍重の方が見た目は乾いてるようで地中に水分が中途半端に残って脚抜きが悪く時計がかかるという説もあります。

また、時間が経つとさっきまでの傾向ががらりと変わるといったことが起きることも。例えば、開催のはじめは内が重くて「内枠は消し」とまで言える状況になったと思いきや、ナイターの時間帯になってくると、レース後のハローがけによって砂が慣らされたり、表面だけ乾いた重馬場だと、馬場に沈んでいた水分が日が陰ると表面に上がって脚抜きが良くなって、徐々に内が使え始めるケースがあるという説もあります。

騎手もそのあたりの傾向を見抜こうと、序盤あたりで先陣を切って一か八か敢えて内を捲くったり、4コーナーから直線への入口で最内に突っ込んでみたり、また内目でもぎりぎり重くないラインを見抜いて進路を取ってスパートをかけたりと、細かな位置取り次第により結果が変わった、と思える時もあります。近年は昔ほど内が一概にダメとは言い切れないという評を下す騎手もおり、まさに高知競馬場の馬場は生き物状態です。

距離設定

高知競馬場ではポケットも利用して9種類の距離設定が可能となっており、いずれも実際のレースに使用されたことはありますが、現状使用されているのは7種類です。なお、各距離のレコードタイムは2000年にマイル戦で更新されたのを最後にどの距離も長い間更新されていませんでしたが、2018年に「トレノ賞」開催サイクルで行われる一般格での800m戦でひさびさのレコード更新があり、2019年にも同じく一般格の800m戦で2年連続のレコード更新となっています。

現在使用中の距離設定

800m

レコード 
[サラ系]令和元(2019)年7月20日
8R「C3-11」 
0:47.6(曇・不良)
コンドルヒデオ(牡7 雑賀正光厩舎/永森大智騎手)

[アラ系]平成10(1998)年9月21日
4R「3才1」
0:48.6(曇・不良)
カタマルローラ(牝3 打越初男厩舎/西内 忍騎手)

2コーナーを過ぎたバックストレッチの800のハロン棒にゲート。1分未満のスピード決着。
(2016.7.23撮影)

高知の中では最短設定のコース。1900m戦と同じ2コーナーを過ぎた地点から半周あまりのコースです。もともとアラ系の2歳戦など若馬での使用がメインの設定だったようですが、2005年8月頃に企画的にまとまって開催。2005年9月から2010年7月までは施行がなかったものの、2010年8月27日の「一発逆転ファイナルレース」での使用から復活。その後は真夏にC3の下位や3歳馬のレースで組まれるのと、2歳新馬戦や2歳戦の中盤戦あたりまでで使われる程度。近年高知デビュー馬が増えたことで夏以降2歳戦が組まれるようになったことから一時より見ることは増えましたがレアであることには違いありません。

距離が短いから楽ということはなく、むしろ普段以上に瞬発力を求められる上に追い通しになりやすいことから、人馬とも負担が大きいこともあるのかなと思われます。騎手も「ジョッキーズトーク」でのインタビューで800m戦となると途端に苦笑いというケースがよく見られます。

1300m

レコード
[サラ系]
平成9(1997)年7月12日
9R「横浪特別」(準重賞) 
1:20.2(曇・不良)
メモリーキャッチ(牡9 工藤英嗣厩舎/赤岡修次騎手)

[アラ系]
平成11(1999)年10月31日
8R「窪川町松葉川温泉特別」(A特別選抜)
1:22.8(曇・良)
サンエイヒリュウ(牡6 土居高知厩舎/北野真弘騎手)

スタンド前残り200のハロン棒のところにゲート。スタート前の輪乗りから迫力のゲートオープンまで目の前で一番見やすいのが1300m戦(と同じ位置からスタートの2400m戦)。
(2017.6.17撮影)

高知における準根幹距離といえる設定で、正面スタンド前の4コーナーを過ぎた残り200mハロン棒付近から1周するコース。真冬の黒船賞選考競走のひとつ「黒潮スプリンターズカップ」、真夏の「トレノ賞」、そして3歳重賞第1弾となる春の「土佐春花賞」と重賞も3つ設定されています。現在は日常では下位級ほどこの距離が中心。一方、A級やB級の一走目ではさほど使われない傾向にあります。

1300m戦はホームストレッチのスタンドより4コーナー側あたりの観戦スペースにいけば目の前にゲートがある状態。スタート前の輪乗りも迫力あるスタートの瞬間も目の前で気軽に見ることができます。

1400m

レコード
[サラ系]
平成11(1999)年3月22日
9R「第2回黒船賞」(GIII)
1:26.0(晴・不良)
テセウスフリーゼ(牡8 [J]新関 力厩舎/[J]的場 均騎手)

[アラ系]
平成6(1994)年11月6日
9R「第13回南国菊花賞」(重賞)
1:28.8(晴・不良)
サクセスダイドウ(牡6 大関吉明厩舎/西川敏弘騎手)

ゲートは4コーナーのポケット奥、ゲートイン前の輪乗りがギリギリできるところまで下げられた位置から。
(2017.6.17撮影)

「黒船賞(JpnIII)」をはじめ、「大高坂賞」「御厨人窟賞」「黒潮皐月賞」「建依別賞」「ネクストスター高知」「金の鞍賞」と世代を問わず重賞が設けられており、現在の高知競馬の根幹距離とされる距離。4コーナー奥のポケットからスタンド前直線をフルに使ったうえで1周というコースです。1300mより離れた場所にはなりますが、スタート地点付近には遊具が数点置かれたミニ公園的な緑地帯があります。

4コーナーポケット横にある木陰のミニ緑地帯。井上オークスさんがレース中継パドック映像前のアイキャッチジングルで乗ってたのはこの馬の遊具。1400m戦のゲートはその更に奥に設置されています。
(2017.6.17撮影)
(2018.6.16撮影)

なお、以前は1400m戦もゲート裏を真横から見ることはできたのですが、2018年に業務エリアがコース外にせり出す形に改修されたため(業務用車両の給油施設が設置されている)、見ることはできなくなりました。この砂利道も今は舗装されているそうで…。

上位級の一走目は基本的に1400m戦が中心ですが、近年はC3や3歳の下位級でも比較的組まれるようになりました。

1600m

レコード
[サラ系]
平成12(2000)年1月15日
9R「プリムラ特別」(A特別選抜)
1:40.9(晴・不良)
デュークウェイン(牡9 松下博昭厩舎/倉兼育康騎手)

[アラ系]
平成12年(2000)年10月1日
9R「A3」
1:43.3(曇・不良)
ミクニノリンボー(牡9 谷 力厩舎/戸梶由則騎手)

3コーナーのポケット。マイルのスタート地点のすぐ横にはゲートへの集合命令がかかるまで輪乗りするための待機所があります。
(2015.5.4撮影)
4コーナーのポケット部分から見たマイル戦のスターティングゲート。3コーナーの外ラチが途切れたところで奥へ引込み線が延びており、合流するとすぐ4コーナー。
(2017.6.18撮影)
ポケットから本走路へ
(2018.6.16撮影)

3コーナー奥のポケットからスタートして3~4コーナー中間付近の本走路に合流し、そこから1と4分の1周するのが高知競馬のマイル戦のコース。重賞は黒船賞につながる「だるま夕日賞」、秋の「黒潮マイルチャンピオンシップ」、3歳限定最後の重賞「土佐秋月賞」が行われるほか、いくつかの準重賞でも使われます。なお、夏場の厳しい暑さで馬の消耗が激しいことも考慮してか、夏場は、マイル戦以上の距離の番組はあまり組まれません。

それ以外の時期では、通常なら上位級の一走目が1400かマイルのどちらかで設定されます。以前は下位級の下の方ではめったに組まれませんでしたが、2019年頃からC3下や3歳でもまれに組まれるケースがでてきたほか、2023年度からはC3下のみ希望を取って頭数が揃えばマイル戦を組むようになっています。

スタート地点のポケットは12頭立てのゲートがギリギリ入る幅しかないため最大11頭での施行となっています。また、頭数に関わらず一番内寄りのゲートを必ず1番ゲートとして使う形となっています(ほかの距離は最内の砂の深さを考慮してか12頭立てフルゲート以外は内から2番目が1番ゲートとなります)。

1800m

レコード
[サラ系]
平成9(1998)年11月17日
9R「雪待月特別」(A特別選抜)
1:40.9(晴・不良)
マルカイッキュウ(牡7 松岡利男厩舎/徳留康豊騎手)

[アラ系]
平成10(1999)年6月27日
9R「葵月特別」(A特別選抜)
1:56.6(曇・不良)
チュウオーロッサ(牡5 松木啓助厩舎/徳留康豊騎手)

(レース中継YouTube配信アーカイブより)

残り800と600のハロン棒の中間からスタートして1周半のコースで、スタートすると比較的すぐ3コーナーが来るという印象がある1800m戦。かつては上位級の競走として夏場以外に月1回程度行われていたようですが、2002年下半期頃から施行される頻度が落ち込んでおり、2007(平成19)年3月10日の第10競走「福山・高知交流 桂浜特別(B・C級選定馬)」を最後に11年ほど使用されていませんでした。

しかし、2018年度から1900m戦の「高知優駿」の前哨戦として新設された5月に開催される3歳限定の準重賞「山桃特別」をこの距離で実施。当時「高知優駿」までの3歳馬限定のレースは重賞でも1400mまでであり、一般格編入済の上位馬はマイル戦の経験があったり、他場遠征で距離経験を積むことはあっても、地元馬同士の力量比較ができずほぼぶっつけ本番で行われてきたのですが、3歳馬のレース体系を整備する中で全国交流となっている「高知優駿」を目指す流れとしてこの距離となったものと思われます。

また、賞金や手当が大きく改善されたことで、高知けいば全体が週2開催の場合に連闘する流れが薄まり、使い方に余裕がでてきたこともあるのか、マイルより長い距離を準重賞競走で行う取り組みが2020(令和2)年度から行われるようになり、同年にC級以下の「浦戸湾特別」を新設、その後も1800m戦の準重賞が新設されています。

1900m

レコード 
[サラ系]
平成11(1999)年2月28日
9R「龍河洞特別」(準重賞)
2:01.7(晴・不良)
ブリッジテイオー(牡10 松下博昭厩舎/中越豊光騎手)

[アラ系]
平成10(1998)年12月3日
9R「山茶花特別」(準重賞)
2:04.8(曇・不良)
キタイセリンボー(牡7 大関吉明厩舎/西川敏弘騎手)

スタンド前からでは遠くて小さくしか見えない1900m戦のスタート。同じスタート地点の800m戦じゃないと明らかにわかるポイントは…ゼッケンが紫なのと交流の「高知優駿」なので見慣れない騎手服がちらほらという程度?
(2017.6.18撮影)

2コーナーを過ぎた向こう正面の残り800mハロン棒からスタートして1周半というコース。2000年ごろまではかつての準重賞や特別競走でも設定されていた記録があるほか、1999年の年末から2000年の年始にはC級の選抜戦でも使われたことがある様子。重賞以外での最後の開催は2004年12月5日に当時のアラ系重賞「高知市長賞」へのトライアル競走として行われたアラ系準重賞「山茶花特別」。2000年以降は重賞以外で1900m戦が行われるのはこの競走だけという状況が続いており、同競走の設定がなくなってからは、ながらく古馬重賞「二十四万石賞」「珊瑚冠賞」、3歳重賞「高知優駿」「黒潮菊花賞」の4競走でだけ使用されていましたが、2020年度からは16年ぶりに1900m戦の準重賞としてC級以下限定の「五台山特別」を新設。翌2021年度にはB級以下準重賞「鏡川特別」も新設され、2023年度には牝馬重賞「レジーナディンヴェルノ賞」も設定されるなど、徐々に使用頻度が増えています。

2400m

レコード 
[サラ系]
平成10(1998)年1月4日
9R「新春杯・第28回高知県知事賞」(重賞)
2:36.9(曇・不良)
マルカイッキュウ(牡8 松岡利男厩舎/鷹野宏史騎手)

[アラ系]
平成9(1997)年12月31日
9R「南国王冠・第25回高知市長賞」(重賞)
2:43.1(晴・不良)
デルタフォース(牡7 濱田隆憲厩舎/川添明弘騎手)

イベントも多く、古くから年末年始の開催は観客も多く盛り上がるので大一番のスタートを見ようと外ラチ沿いに集まるファンの姿もいつも以上。
(NAR「地方競馬ライブ」アーカイブより)

年に1度、重賞「高知県知事賞」だけで使われる距離となっている2400m。2007年度(2008年1月1日開催)まで行われた、アラ系古馬王者決定戦とされた重賞「高知市長賞」もこの距離で行われており、競馬界の短距離志向の流れがある中でも、「格式と伝統のあるグランプリレース」とされるこの競走だけは変わらずこの距離が使用されています。 

1300m戦と同じ4コーナーを過ぎたあたりからスタートして2周するレースとなりますが、これだけの距離を走るレースは地方競馬全体でも少なくなっている上、普段の高知けいばとはかけ離れた距離でのレースとなるため、この距離が初挑戦という馬もいたりするものの、距離適正関係なく近走の実績優秀馬がグランプリレースであるこの競走に登場してくることもあり、実績を取るか距離適性を取るかといった取捨選択に迷うところもあります。

現在不使用の距離設定

1000m

レコード 
[サラ系]
平成11(1999)年9月19日
4R「3才」
1:02.3(曇・不良)
オオギリセイコー(牡3 浜田隆憲厩舎/北野真弘騎手)

[アラ系]
昭和60(1985)年9月22日
(インターネット上ではレース番号・競走名記録確認不能)
1:03.0
ツクバキロク(松木啓助騎手)

2コーナーポケットにはゲート練習用とおぼしき小さなゲートがいつも置かれたまま。
(2015.5.4撮影)

2コーナーのポケットからスタートして、向こう正面の直線を全部使い、3・4コーナーを回って最後の直線を走りきってゴールというコース。夏前の全国シリーズ「スーパースプリントシリーズ」にも持ってこいなワンターンのコース…ではありますが、このポケットが狭いのか、現在の番組編成要領においてもフルゲートは10頭という制限が明記されている特殊なコースです。 

J-BISのレース結果記録の検索結果では、最後に行われたのが2007年5月27日の第3競走「D4」のよう(D級は現在のC2級に相当)。2006年まではA級でも日常的に組まれていたようで実施末期でも開催日ごとにその日の走る級の一番下の組のレースとして1~2レース組まれていました。しかし、2006年9月をもって一旦組まれなくなった後、2007年に入って5月の開催で1日1レースだけ下級条件のレースで一時的に復活したものの当月のみでまた休止され、以後それっきりという形になっています。2006~2007年あたりに距離設定に関して方針が変わって2コーナーポケットは使わないという方針になったのかもしれません。

2100m

レコード 
[サラ系]
平成6(1994)年11月3日
9R「第6回珊瑚冠賞」(重賞)
2:16.6(晴・不良)
サクラアラシオー(牡9 山岡恒一厩舎/鷹野宏史騎手)

[アラ系]
平成9(1997)年4月5日
9R「第13回南国桜花賞」(重賞)
2:20.1(曇・不良)
ラッキーイチロウ(牡8 田中譲二厩舎/西川敏弘騎手)

重賞のみで使用されていた距離で、同じく現在不使用の1000m戦と同じ第2コーナーのポケットからスタートして本馬場に入り1と4分の3周というコース。

旧桟橋競馬場にも2100mの設定があり、重賞が多く設定されていたものの、現競馬場移転時にいくつかは1900m戦へ変更されるなどしつつ、当初は旧競馬場時代からの「室戸特別」「足摺特別」(ただし競馬場が移転した1985年度と86年は1900m戦)など複数の重賞が引き続きこの距離を使用。しかし、短距離重賞の新設やフルゲート10頭がネックになったのか徐々に淘汰されていき、サラ系で最後に残った「珊瑚冠賞」が1997年の第9回より1900mに短縮された代わりに「二十四万石賞」が同年の第13回より逆に1900mからこの距離に変更されたものの、翌年の1998年の第14回を最後に翌年からはまた1900mに戻されこれでサラ系競走からは消滅。また、アラ系の春の古馬重賞「南国桜花賞」が長くこの距離だったものの1998年の第14回を最後にこちらも翌年から1900m戦に。よって1998年4月26日の「第14回南国桜花賞」がこの距離での最後のレースとなっています。

基本は1300・1400・1600mの3距離

2歳高知デビュー馬が増えたことで800m戦を見る機会が少し増え、途絶えていた1800m戦が少しずつ使用されるなど距離設定が増えてきて年間を通じると距離のバリエーションを楽しむことができるようになってきましたが、やはり中心は1300・1400・1600の3距離。根本的な力の違いで傾向適性関係なしに圧勝してしまう時はしてしまいますし、多くのレースがこの3距離で行われ、多くが中1週ローテーションで走るために同距離で対戦歴のある馬の再戦ケースも多く見られることから、一見勝負付けが早くしやすく思えますが、そこは紛れもあるのが競馬。距離適性、当日の枠順といった事前情報に加えて、脚質に合う馬場傾向なのかという当日でないとわからない要素は高知けいばでは不可欠。それを踏まえて、基本の3距離のレースの一般的な流れなども押さえておくと、オッズと釣り合わない思わぬ波乱にも対応できるのやもしれません。

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