(2024年 馬場状態 10/6まで) [良]18 [稍重→良]1 [良→稍重]1 [良→稍重→重]1 [稍重]14 [重]17 [不良→重]1 [重→不良]2 [不良]29
レース編成・編成要領高知けいば レース情報

高知けいばの格付けルール

初回投稿:2013頃?
記事更新:令和5年度の要領改定(9月)に対応

現在掲載しているのは2023年度のルールです。2024年度ルールへの更新はしばらくお待ちください。

地方競馬の競走馬格付け

競馬において、レース編成の根幹を成すのが競走馬の「格付け」です。

JRAでは端的に言えば「勝てばクラスがあがる」というわかりやすい格付けルールが設定されています。これは、在籍馬の大半がJRAでデビューすることから、同じスタート地点に立つことを前提にルールを作ることができるためです(地方競馬からの転入馬には別途定められたルールにより格付けされます)。

一方、ばんえい競馬を除く平地競馬の地方競馬は、

  1. 自場デビューの新馬の数が場ごとにまちまち
  2. JRAからの移籍馬、地方競馬他場からの移籍馬など様々な来歴を持った馬たちが常時転入し、それらが集結して競走する
  3. 競馬場ごとの競走馬の在籍頭数や馬齢構成、賞金体系があまりに違いすぎる

という共通の事情があります。

このため、JRAのような勝利数などの単純な格付けにしてしまうと、馬の現状に合わない格付けが付与され、一目で実力差のあるレースが生まれてしまう可能性が高いことから、魅力あるレースを提供することを優先し、過去の成績や所属歴、馬齢や自場での成績など様々な要素を組み合わせて設定された格付けルールを各主催者(常時交流を行う南関東(=浦和、船橋、大井、川崎)や東海(=名古屋、笠松)は地区内統一)単位で設けています。

インターネット投票の普及で全国の地方競馬をつまみ食いできるようになって久しいものの、いざやってみると「格付けの仕方がよくわからない」とか「X競馬場のA級とY競馬場のA級は同じなのか」といった疑問の声がよく見られます。しかし、独立した主催者の集合体である地方競馬が各場毎の事情を埋めることは根本的に難しいことから、統一ルールを考案することは不可能であり、まずは好みの競馬場のルールを学習していくほかはありません。

反面、ルールが違うことを理解することで、それを馬券術に転用したり、馬主サイドが馬の所属先を決める判断材料の一つにするといったJRAとはまた違った視点が産まれてきます。

かつては公式ホームページにも格付けルールを全く載せていない主催者もありましたが、現在は地区単位で見れば全てで格付けルールを公開しています。

競馬好きほど「?」を生む高知けいばの格付け

さて、本サイトで取り上げる高知けいばでは、

「往年の活躍馬がびっくりするほど下級で走っている!?」(;゚Д゚)
「なんで2歳馬がいきなり古馬と一緒に走ってるの!?」Σ( ̄□ ̄|||)

といった他場にはない光景があり、どうやったらそうなるのかという疑問がその都度ネット上で見られるのがもはや風物詩です。活躍した馬は上級で走っているのが当たり前だし、デビューして間もない2歳の若馬が歴戦の古馬と一緒に走るというのは、競馬を知っている方ほど「は!?」となる疑問かと思います。

実績馬の異様な下級格付けについては、レース中継で「過去2年の成績を元に格付けを決めている」と簡単に説明されることもあります。また、格付けルールの公式な発表としては格付けルールなどを定めた「高知競馬番組編成要領」が高知けいば公式サイト(→こちら)にすべてアップされていますので、それを読み込むことで知ることができます…が、こちらでもまとめてみました。

(以下は「令和5年度 高知競馬番組編成要領」(2023年9月23日以降適用分)に基づいています。)

高知けいばの格付け 基本ルール

高知けいばの格付けに用いられるのは、定められた対象期間内にその競走馬が1~5着に入って獲得したすべての「本賞金」を、1走ごとに一定のルールに基づいて換算して算定し、それを合算して求められる「番組賞金」と呼ばれる数値です。

その「定められた対象期間」は、年度の前半と後半で期間が異なります。

編成サイクルの開催第1日目が
 4月1日~9月30日なら 前々年度の 4月1日から編成日 
10月1日~3月31日なら 前々年度の10月1日から編成日 

※2023年度は曜日の関係で「9月30日~3月31日」

※編成サイクル=高知けいばでの競走編成の単位。開催日を連続する3ないし4日ずつの「サイクル」として区切り、サイクル中に全てのクラスの馬が1走できるようレースが組まれます。

格付けの付与は各編成サイクルごとに行われ、編成日時点の番組賞金で格付けされます。

編成サイクルが週2回4日間開催で、1週目の土曜が1日目の場合は編成サイクルの開催第1日目の5日前(月曜日)が編成日のよう。

一方、年度終盤に行われる編成サイクルが週3回3日間開催で、日曜が1日目の場合は編成サイクルの開催日第1日目の3日前(木曜日)が編成日になるようです。

編成日の時点での番組賞金が求められたら、その数値を格付けの体系に当てはめることで、どの格付けなのかが決まります。

大きなポイントは番組賞金の対象期間が「前々年度の4(10)月1日から」となっている点。逆に見ると、「前々年度の4(10)月1日」より前の獲得賞金は対象にならない」ということになります。

高知けいばに転入する馬の多くは、他場で不振に陥ったり格付けが高くなりすぎて移籍してくることが大半でした。競馬の格付けは生涯成績をベースとするのが基本ですが、移籍しても他場と同じような格付けルールでは、往年の活躍度合いによっては現状の力に見合わぬ高い格付けで走ることになってしまい、何も変わらないということになりかねません。

そこで、高知の場合は2年以上前の賞金をバッサリ切って移籍馬の格付けを有利にし、馬を受け入れやすくしているものです。これは元々移籍馬の割合が高い高知けいばならではのルールとなっています。

よって、4年前にJRAの重賞競走で入着していたり、3年前に南関東の高額賞金の重賞を優勝していても、高知けいばに移籍した段階でその獲得賞金は番組賞金には入らず、さらに賞金の算定期間内に長期休養等でほとんど走っていなかったり、着外が続いて本賞金の獲得がない場合は番組賞金が異様に低く、極端な場合は0円ということもままあり、その結果「往年の活躍馬がびっくりするほど下級で走っている!?」という事態が起こるのです。

番組賞金の算定方法

番組賞金計算にあたっては、「どこの」もしくは「どんな」レースで獲得したかによって獲得本賞金に乗じる換算率が設定されており、算出後の金額を千円未満切捨てした数値が、そのレースで獲得した番組賞金となります。それを対象期間内の全てのレースで1戦ずつ求め、最後に合算して得られた数値がその馬の番組賞金となります。

NAR公式サイトの「競走馬データベース」では、全出走競走ごとの獲得賞金が確認できるため、それを見ながら計算していくと、高知けいばでの番組賞金を求めることができます。

賞金に乗じる換算率は次の通りです。なお、2023年4月より換算率が変更されています。

高知けいば 番組賞金換算率

区分 換算率
場を問わず ダートグレード 30%
JRAの競走 30%
高知 下記を除く 100%
2歳競走 10%
3歳競走 30%
高知以外の地方 2歳競走 30%
2歳競走を
除く
南関東
(浦和・船橋・大井・川崎)
50%
兵庫(園田・姫路) 70%
岩手(盛岡・水沢) 90%
金沢 90%
東海(笠松・名古屋) 90%
北海道(門別) 90%
佐賀 90%

※地方競馬の中央条件交流競走(中央条件馬との交流戦)は出走競馬場の換算率による

JRAの賞金の注意点

JRAには、「本賞金」と「収得賞金」の2つの賞金概念があり、「本賞金」は出馬表等に記載された、1着から5着までに入った場合に実際に馬主等に支払われる賞金を差します。一方、「収得賞金」はJRAでの格付けのために便宜上設定された架空の賞金で、実際に支払われた賞金とは別に、「未勝利戦を勝った馬は収得賞金を400万円獲得」というようにJRAの格付け計算上だけのものです。高知けいばの格付けで使うのは「本賞金」です。

また、各種競馬サイトで検索できる競走馬の出走履歴表に記載された賞金のうち、JRAの特別競走以上で1~3着の際については本賞金と付加賞金(特別登録料を1~3着の馬に一定割合で配分したボーナス賞金)を合算しているケースがほとんどです。しかし、付加賞金は計算の対象外となるため、そのままでは使えません。この場合は、JRAの成績が掲載された競馬情報サイト等で、本賞金だけならいくらだったのかを確認する必要があります。

なお、地方競馬には特別登録料を原資にした付加賞金の制度はないため、表示されているそのままの額で計算します。

格付けの決定

番組賞金が求められたら、その額を格付けの体系に当てはめることで、どの格付けなのかが決まります。高知けいばの格付けは馬齢によって「一般格」「3歳格」「2歳格」に分けられ、「一般格」は番組賞金の額に応じて6クラスに区分されています。

高知けいば 格付け

条件(円)
一般 A級 11,000,001~
B級  7,000,001~11,000,000
C1級  4,400,001~ 7,000,000
C2級  3,000,001~ 4,400,000
C3級  1,800,001~ 3,000,000
0~ 1,800,000
3歳 0~  999,999
2歳 0~  999,999

※2歳馬・3歳馬は番組賞金が以下の額に達した場合は一般格に編入。
[3歳] 1,000,000円
[2歳] 1,000,000円

高知けいばの売り上げ急上昇により、賞金水準が復旧どころか過去最高の水準になり、さらに在籍頭数も増加してきたことから、平成28年度以降は年度当初と年度内にも1回、格付けの賞金範囲が見直され続けています。また、在籍馬が増えた関係もあってか、平成26年度より、編成上でだけC3級を一定金額を境に「上」と「下」に分けています。この区分は2週またぎの編成サイクルの際に、「上のグループだけの週」と「下のグループだけの週」に分けたり、選抜戦は「上」の組からだけとしたり、記者選抜戦の選抜範囲の目安となっています(出走表上の表示はどちらも「C3-×」、賞金体系も同一)。

2歳馬・3歳馬の一般格(古馬)編入

他場と大きく違うのは、2歳馬・3歳馬が古馬の一般格に容易に編入されやすい点です。3歳馬が全て一般格に編入されるのは10月からですが、それ以前であっても番組賞金が上記の額に達すれば、何月であろうとその時点で次走は一般格の賞金区分の格付けが付与され古馬戦に回ることとなります(ただし、馬齢限定の重賞・準重賞は持ち賞金にかかわらず出走可能)。

さらに、移籍馬前所属時に賞金を持っていた場合はその賞金だけで編入ラインをクリアできる場合もあるため、2・3歳馬が馬齢格を経験せずいきなり一般格に格付けされるケースも当たり前のように生じており、結果「2歳馬が古馬と走ってる!」というケースがでてきます。

かつての高知けいばは、馬齢でのレースを組むには若馬の在籍馬が少なすぎ、そもそも全体の在籍頭数も少なかった長年の事情から、賞金が少なく古馬との実力差が大きいと思われる若馬は馬齢戦で分け、若くても走れる馬は馬齢格を卒業させることで、一般格のレースの頭数を確保できる仕組みになっています。

なお、番組編成要領には2・3歳格は出走申込み頭数等の状況により他の格へ編入して編成することも明記されており、頭数が揃っていない場合は馬齢戦が組めずに2歳馬が3歳戦(9月まで)や古馬の一般格(10月以降)に回ったり、馬齢戦があっても編成の都合で一般格に回されることもルール上は可能で、全体の在籍頭数が少なかった頃はわりと見られました。また、二走目戦では馬齢に関係なく一般格と混合での番組賞金順でレースが組まれていました。

現在は高知デビュー馬確保が推進されたことで、2歳新馬戦に始まる馬齢戦がきちんと組めるようになったことから、かつてのように2歳馬が古馬戦でデビューを迎えるといったことはなくなり、また高知デビュー馬が多く走る2歳戦は番組賞金の換算率が低く設定され、番組賞金の上昇が抑えられていることから、よほどの好成績馬でない限り2歳のうちに古馬と走るケースは見られなくなっています。また、賞金水準の大幅向上が図られたことで転入して来る若馬も増えたことで、馬齢戦がなくて古馬と一緒に走るケースはまず見られなくなりました。

ただし、2歳・3歳の転入馬は転入前の競走のレースが高知よりも高い換算率で計算されるため、獲得賞金によっては初戦から一般格付けとなり、古馬と一緒に走るケースは引き続き起こります。

昇級

レースに勝利したり上位に入着することで本賞金を獲得した結果、番組賞金が上位級の範囲に入れば次走から格付けが上がる昇級となります。

なお、4月~12月の編成サイクルはおおむね2週間・4日間となっており、この時は後半週の二走目戦の出走馬や直前の移籍馬の出走馬を追加して登録するための編成を後半週の開始前に改めて行うことになります。

この場合、前半週の成績により昇級ラインを超えた馬がいる場合がありますが、昇級は1サイクル終了ごとに行うルールの為、後半週の時点では格付けは据え置きとなり、次の編成サイクルから昇級となります。

降級

一方、降級が発生するのは番組賞金の算定対象期間が変更になる4月と10月の年2回で、高知けいばではこれを「編成替え」と呼びます。

対象期間が切り替わることで、古い半年分の賞金が算定期間から外れることとなるため、この期間内に大きな賞金を獲得していた馬ほど、番組賞金が一気に下がって降級することとなります。時折、直前に勝利したのに2段階も3段階も降級する馬がいますが、高知の賞金をプラスしても、期間から外れた中央や南関東等の賞金が大きかった場合に起こり得ます。

降級はネガティブに聞こえますが、降級幅が大きいほど対戦メンバーの力が一気に下がるため、これを反転攻勢のきっかけとすることも多いほか、こうなることを見越して転入してくる馬も見られ、むしろチャンスともいえます。また、1つクラスが下がっただけでも見違える走りをする馬もいるため注意が必要です。

番組賞金計算例

高知デビューで全キャリアが番組賞金対象期間の場合

高知デビュー馬として2016年7月にデビューしたフリビオン。この馬の戦歴は高知の番組賞金計算ルールの説明にはピッタリです。3歳までの時系列で追ってみます。(なお、現在と級区分が変わっているためその都度注釈を入れています)

(地方競馬全国協会公式サイトより一部抜粋)

(1)デビュー~2歳戦
2016年当時、2歳戦の賞金は番組賞金上3割で換算されていました。初戦の「2歳新馬」が50万×0.3=15万。で、当時は新馬戦以外は賞金が満額換算されていたため、その後の賞金は表示通りに加算され、2016/10/29の「2歳-1」の勝利で番組賞金が37万8千円となり、2歳格をデビューから3か月足らずで卒業となりました。
なお、2017年度から「2歳戦は全競走3割換算」、さらに2020年度からは「2歳戦は全競走2割換算」とルールが改められたため、現在は新馬戦以外の2歳戦も2割換算で計算することとなります。(1勝2着2回3着1回なので→14万×0.2=2.8万、3.5万×0.2≒0.7万、1.8万×0.2≒3千 2.8+(0.7×2)+0.3=4.5万、現ルールならこの時点ではまだ4万5千円のため一般格には上がれません)

(2)一般戦C3
一般戦は今も昔も変わらず満額計算です。一般格となり自己条件のC3戦へ。ここを勝って14万を加算。番組賞金は51万8千円に。

(3)再び2歳戦
重賞の「黒潮ジュニアチャンピオンシップ」(80万)、2歳限定の特別競走(16万)、そして重賞「金の鞍賞」(140万)と3連勝。ここで当時のルール上では一気に236万を追加し番組賞金は287万8千円。当時はA級が210万以上だったため2歳にして古馬A級扱いとなりました。2歳戦であるこの3戦も現在であれば2割換算となります(80万×0.2=16万 16万×0.2=3.2万 140万×0.2=28万)

(4)3歳重賞
3歳となった冬場は休養(この間に出走していればA級戦出走でした)。3歳限定の重賞「土佐春花賞」は3着で20万追加となり番組賞金は367万8千円。現在は3歳戦の場合3割換算のため6万の追加となります。

で、ここで2017年度となり、「2歳戦→3割換算、3歳戦→5割換算」のルールが新設されます。フリビオンの番組賞金もこのルールで計算がやり直され、
(1)の期間 15万+6.7万 + (2)の期間 14万 +(3)の期間 24万+42万+4.8万 +(4)の期間 10万
=116万5千円となり、当時のC2級「60万超~130万以下」の範囲に入って、ルール変更に伴う降級でC2格付けとなっています。

(5)一般戦
自己条件に戻り「C2-2」(30万)を勝って、番組賞金146万5千円。当時のC1「130万超~220万以下」に入って昇級。次の「C1-5」(40万)勝利で番組賞金は186万5千円に。

(6)3歳重賞
3歳重賞「黒潮皐月賞」(160万)も優勝ですが、これは3歳戦のため番組賞金は5割換算となり80万の加算で266万5千円。「220万超~330万以下」のB級入りとなります。

(7)一般戦
自己条件「B-2」(50万)も続いて勝ち、番組賞金は316万5千円。

(8)3歳重賞・準重賞
全国交流化で1着500万円となった「高知優駿」も優勝。ただし3歳戦なので番組賞金は5割換算の250万円、これで566万5千円で当時「330万超」だったA級編入条件をクリアしA級入り。その後2戦は3歳の準重賞を連勝、共に80万円の5割換算で40万×2=80万をプラス、この時点で646万5千円となります。

(9)重賞
3歳以上オープンの重賞「珊瑚冠賞」までも優勝(200万)。この賞金は満額換算となり番組賞金は846万5千円。

このあと番組賞金の範囲が再度改正されていますが、A級編入条件は「330万超」→「360万円超」で、変わらずA級のまま。

(10)遠征交流重賞
3歳秋のフリビオンは交流重賞へ。佐賀の「西日本ダービー」を優勝。1着賞金500万円を獲得しますが、番組賞金計算では佐賀の競走は一律7割換算のため、350万の加算となり、番組賞金はついに大台突破で1,196万5千円に。

続く水沢の「ダービーグランプリ」は2着。230万の獲得賞金に岩手の換算率は一律5割のため、115万の加算で番組賞金は1,311万5千円。

(11)高知県知事賞
 高知デビューの3歳馬として史上初の優勝を飾り、歴史に残る馬となりました。1着賞金500万がそのまま番組賞金に加算され、1,811万5千円の持ち金で3歳シーズンを終えました。ちなみに2年前の賞金が消えていくルールによりフリビオンの場合は2018年10月から半年ごとにデビューから半年分ずつ番組賞金の計算から外れていくことになります。

その後のフリビオン号は脚部不安に悩まされ、長期休養や南関東移籍を経て2020年夏に高知へ復帰。最大1,811万5千円あった番組賞金は2018年12月に獲得したA級戦2着24.5万だけが残った状態で2020年9月に迎えた復帰戦は、記者選抜以外の最下組「C3-16」。しかし、5着に終わり、この一戦をもって現役を退いています。

中央在籍時代に特別競走で付加賞金を獲得した馬で、キャリアの一部が番組賞金対象期間の場合

(地方競馬全国協会公式サイトより一部抜粋)

(現在と級区分が変わっている部分は注釈を入れています)
2017年に中山金杯(GIII)を制するなど中央7勝馬のツクバアズマオー。この馬が高知へ移籍し初戦を迎えたのが2019年2月。当時の高知けいばの番組賞金ルールに従い、この時点で番組賞金として算定されるのは2016年10月から編成日まで(上表の[1]の期間)。つまり、

  • 2016/12/18 中山 ディセンバーステークス 1着
     本賞金2,400万円+付加賞金35万円=2,435万円
  • 2017/01/05 中山 第66回中山金杯(GIII) 1着
     本賞金4,100万円+付加賞金46.9万円=4,146.9万円

の2競走の賞金のみ。これには2戦とも付加賞金がプラスされており、これを外した上で、JRAの競走は30%の換算率となるため、それぞれ換算率を乗じて計算すると、

(24,000,000×0.3)+(41,000,000×0.3)
7,200,000+12,300,000=19,500,000 

となります。わずか2競走だけの賞金ですが、当時のA級入りの条件は「番組賞金460万円超」だったため、この条件を大幅に超え、文句なしのA級入りという結果となりました。

こうして、A級格付けで高知での出走を開始したツクバアズマオーですが、2019年3月までに3戦して1勝。70万円の賞金を獲得し、それがそのまま加算された結果、一時は番組賞金が2,020万円という当時では異例の額に積み上がった時期もあったのですが、2019年4月に番組賞金の算定期間が変わる定例の「編成替え」が行われた結果、番組賞金の算定期間が2017年4月から編成日まで(上表の[2]の期間)に変更。上表[2]の期間には中央競馬で獲得した賞金はなく、2019年2月の高知2戦目で勝利した70万円しか残っていないため、番組賞金はそのまま70万円。当時の番組賞金ルールによる級区分では「100万円以下・・・C3下」に当てはまるため、最下級のC3下格付けへ。中央で重賞を勝った馬でも下級格付けとなったり、「A級からC3下」という最大級の降級はこういったケースで発生するのでした。

ツクバアズマオー号も脚部不安があり休養を挟みながらの出走となりましたが、2021年1月まで出走し、最終的にはC1格付けまで戻したところで現役を終えています。

おわりに

高知けいばの格付けや番組賞金は成績表と換算率の表さえあって、あとは番組賞金の参入対象期間を覚えていれば、すんなりわかるようになっています。なので、昇級が近いのか、あるいは春や秋になったら降級するのか、ということは、少しの手間で簡単に把握できたりしますので気になる馬がいる方は試しに計算してみるのも面白いかもしれません。

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