(2024年 馬場状態 11/17まで) [良]18 [稍重→良]1 [良→稍重]1 [良→稍重→重]1 [稍重]19 [稍重→重]1 [重]19 [不良→重]1 [重→不良]2 [不良]33
高知競馬場ガイド

高知競馬場のスタンド1階

(初回投稿:2022.4.21)
更新:画像を一部更新・追加

パドック、馬場前の観戦エリアに直結する高知競馬場スタンド1階。1985(昭和60)年のオープン後は、長年の経営難の影響によりトイレのリニューアルや場外発売の増加に伴う映像モニターの増設といった小規模な更新が行われたのみで35年あまりが経過、一方本場入場者の減少に対応し有人手売り窓口の大半が使用されなくなり、平成末期あたりからはスタンド面積の3割程度(イメージ)は活用されていない状況となっていました。

しかし、2010年代に入ってからの高知けいばの急速な経営良化により高知競馬場全体の施設改修が本格的に進められ、その一環で2021(令和3)年7月から2022(令和4)年3月にかけてスタンド1階を閉鎖し、トイレ以外の内装をほぼ一から作り直す総工費約8億円をかけた大リニューアルを実施。かつての1階の面影がほとんどないくらいの姿に生まれ変わりました。

2022年4月7日に新装オープンとなった高知競馬場スタンド1階を、かつての姿と対比しながら余すところなく見ていきます。

入場門側エントランス

現在(2022.4.17撮影)
改修前(2018.6.16撮影)

入場門から続くアーケード。案内看板の所が空調の室外機を覆うガードに変わったのが目立ちますが、大きく違うのが、中に入る入口に自動ドアが付いたことです。

改修前のスタンド内部は吹き抜けになっており、外気がそのまま入り込む構造でした。外の暑さ寒さがそのまま屋内に達するのを改善するため、スタンド3階の改修同様、空調の効いた快適な観戦環境を作ることが今回の改修の最大のポイントでした。

入場門側エリア

中に入ると高知県産の杉を用いた明るい内装が施されており、これだけでもコンクリート吹付塗装だったかつての雰囲気と違い過ぎて同じ場所とは思えません。そして広く感じます。

フードコート

本馬場側には軽食を販売するフードコートエリアが設けられており、現在は「はっとり」と「五百蔵(いよろい)商店」の2区画が営業中です。

入口寄りが「五百蔵(いよろい)商店」。屋台時代の「コーヒースタンド」の看板も置いてあります(2022.6.12撮影)
隣が「はっとり」(2022.11.27撮影)
スタンドリニューアル直後はまだオープンしてませんでした(2022.4.16撮影)
入場門側にもありますがこちらは非営業(2022.4.16撮影)

入場門寄りに設けられた「フードコート」。地元メディアによる報道によると、5店舗が入れる予定とのこと。

これまで高知競馬場の飲食状況はスタンドそばの屋外(スタンド改修工事が始まった際に移転し、アーケード)に屋台を出していた3事業者(「まるまん」「はっとり」「いよろい(コーヒースタンド)」)により、焼きそばやおでん、肉の串焼き、アイスクリンなどの軽食が夕方過ぎまで販売され、加えて新型コロナウイルス禍前まではイベント時にグルメ屋台が食堂街に連なるアーケードに出店するという形態が続いていました。

2022年6月にまず「いよろい」が屋内に移転し「五百蔵商店」に。同時にアイスクリンとコーヒーだけから、取り扱い品目を大幅に増やした軽食販売店にリニューアルされています。続いて同年8月に「はっとり」がフードコートに店舗を新設しています。
なお、「まるまん」は引き続きアーケードでの屋外屋台と長屋型の屋外食堂棟の店舗での営業も継続、また「はっとり」も屋外屋台の営業も続けています。

(2022.4.17撮影)

店舗前にはテーブル。パーテーションが付いているので、投票の記載台というよりは飲食用の立ち食い形式のテーブルのよう。また、通路寄りには応接ソファー型の席が1区画設置されています。

(2022.4.16撮影)

フードコートの傍にはサービスの無料給茶機。なお、リニューアル前にあった飲料の自動販売機は屋外に移転しています。

インフォメーション

(2023.4.9撮影)

フードコートの向かいに新たにインフォメーション窓口が設けられています。場内案内や問い合わせ対応のほか、キャッシュレス投票用会員カードの申し込みができるようです(パドック横にある高知県競馬組合の受付窓口も引き続き設置されています)。

従来はスタンドの中央にパドック側に通じる通路がありましたが、リニューアルにより、フードコートとインフォメーションの間にパドック側への出入口が設けられています。

入場門側メモリアル

全く手つかずだった頃(2013.9.22撮影)

改修が夢ですらなかった頃の入場門側。中の様子が見えますが、あちこちにベンチがありました。

スタンド内を見てみましょう。撮影時期は前後していますが、改修直前まで基本的にはほとんど変わっていませんでした。

スタンドに入ってすぐ、目立つものの当時すでに使われていなかった「荷物預り所」
(2012.9.14撮影)
高知競馬場が「J-PLACE高知」としての活用も始まってからは、繁忙時に臨時のマークカード記入方法案内所としてこの窓口が活用されていました
(2017.11.26撮影)
荷物預り所の隣にあった「湯茶接待所」。1枚目の画像に閉じた窓口があるので、当初はここでお茶を渡していたのやもしれませんが、少なくとも10年以上は自動給茶機と飲料の自動販売機が置かれた休憩スペースになっていました。
(2018.6.17撮影)
左側には窓口がずらーっと並んでいました。この日はJRAの「天皇賞(春)」の開催日のため「J-PLACE高知」の利用者もいて大混雑。なお、手前のモニターは後年増設されていました。
(2013.4.28撮影)
手前は自動発払機が5台
(2019.5.3撮影)
隣にある手売り窓口は直近の競走に限って対面でマークカードと現金を受け取って投票券を発券していた窓口。高知競馬場内で最後まで残っていた対面式の発売窓口でした。終盤は日・祝日のみの稼働で状況に応じて開ける窓口数も変動していたものの、場所が良いこともあってか最後まで繁盛していました。隣には窓口を改造して設けたスペースにキャッシュレス投票への入金機が2台設置されていました
(2019.4.13撮影)
ゴール方向を眺める
(2015.7.19撮影)
窓口の一角に長い間こんなポスターも貼られていました
(2013.4.30撮影)

中央エリア

改修により扉がついたスタンド中央入口(2023.4.9撮影)
本馬場前とのスタンド中央入口から入場門方向を眺める
(2022.4.16撮影)
本馬場前とのスタンド中央入口からゴール方向を眺める
(2022.4.16撮影)

スタンド内の床はフローリングとなり見た目も暖かみを増しました。本馬場前から屋内フロアに通じるスタンド中央の出入口(もちろんここも自動ドア設置)を入ると目の前に投票用の記載台とマークカード、自動発払機もあります。従来、本馬場入場を見てから投票する場合はやや投票場所が離れている印象がありましたが、リニューアルによって本馬場からアクセスしやすいところに投票できる場所が配置されています。

なお、リニューアル前は馬場側とパドック側が通路で直結していましたが、改修に合わせてパドック側への出入口はスタンドの両脇に移されています。

自動発払機

スタンド中央出入口前には自動発払機が4台
(2022.4.16撮影)
少し離れたゴール寄りのところに自動発払機が8台(この日は1台非稼働でした)
(2022.4.17撮影)

1階フロアにおける投票窓口などの業務区画はスタンドの中央部に集約されました。

リニューアル前にあった有人の手売り窓口やパドック側の自動発払機はなくなり、本馬場側に自動発払機がスタンド中央出入口付近に4台、少し離れたゴール寄りの位置に8台の計12台設置されています。リニューアル前は入場門寄りのスタンド内に5台、パドック側に5台の計10台だったため、1階の自動発払機は2台増となりました。

(2022.4.16撮影)

自動発払機は2021(令和3)年7月にオープンした3階屋内観覧席に設置されたものと同型でキャッシュレス投票カードへの入金機能が付いたタイプ。このため、リニューアル前に設置されていたキャッシュレス投票カードへの入金機は設置されていません。

なお、自動発払機にキャッシュレスカードをかざして行えるのは入出金のみで、投票は従来通りフロア内に点在するキャッシュレスカード専用の投票機で行います。キャッシュレスカードの残金を使って紙の投票券を購入することはできません。ただし、1階リニューアルに合わせてか、従来キャッシュレス投票でしか行えなかったマルチ・フォーメーション投票が自動発払機でも行えるようになり、紙のマルチ・フォーメーション馬券の購入が可能になりました。

ゴール側エリア

椅子席

(2022.4.17撮影)
(2022.4.16撮影)

ゴール側の馬場寄りの一角には座席が設けられています。ちょうど目の前に中継映像やオッズのモニターがあり、座って観戦も可能。かつてのベンチほど座席は多くありませんが、3階屋内観覧席の方が座席数も見えるモニターも多く、発払機にも近いことから、1階の座席は一休み程度の利用が想定されているのかも。

マークカード記載スペース

(2022.4.16撮影)
(2022.4.16撮影)

ゴール側のエリアはゆったりとスペースが取られており、記載台も多く置かれたマークカードを塗る主戦場となっています。全ての記載台にくず物入れも内蔵されているので、塗り損ねのマークカードは放置せずくず物入れに。向こう側はパドックで、こちらにも出入口が設置されています。

なお、画像のあちこちに見える映像モニターは1階の至る所に設置されており、地元メディアの報道によると、その数はリニューアル前の約2倍となる99台。これだけ多数設置するのもJRA発売をはじめとする他場場外発売も高知開催、非開催問わず常に行っている高知競馬場ならでは。

こちら寄りにはキャッシュレス投票機や紙幣専用のお釣りが出ないキャッシュレスカードへの簡易チャージ機も設置されています。

セレモニースペース

(2022.4.16撮影)

ゴール寄りパドック側には「セレモニースペース」と呼ばれる空間が設けられています。
リニューアル前は悪天候により中央スタンド前ステージが使えない場合、パドックと本馬場のゴール寄りを結ぶ通路にその都度「受付前特設ステージ」と呼ばれる空間を作っていましたが、それを常設化したものと考えられ、2023年から悪天候時の式典会場として使用されています。この周辺は記載台もないため、ある程度人が集まることができるようになっています。

ゴール側メモリアル

リニューアル前の中央の通路を挟んだゴール寄り。左は手売り窓口でしたが元々稼働している窓口が少なく、最終的には入場門寄りに業務をシフトさせるとの理由で2019年2月13日より使用停止。以降はキャッシュレス投票機は置いてあったものの、実質的に窓口のカウンターを記載台替わりにしてマークカードを塗ったり、映像モニターをベンチに座って見る場所となっていました。
(2019.4.13撮影)
反対側にあったのは子供向けの遊び場として設けられていた「ちびっこファーム」という部屋。遊具などが置かれており、家族連れの利用が想定されていた様子。元々自由に入れたものの、後に受付に申し出て開けてもらうという形になっていました。2020年の新型コロナウイルス禍による1回目の無観客開催以降は使用停止となり、再開しませんでした。リニューアル後のスタンドに後継的なものは設置されていません。
(2012.9.14撮影) ※壁に映像モニターが設置される前の画像です
ゴール側は終盤にはほとんど活用されていない状態でしたが、パドックと本馬場のゴール寄りを結ぶ通路に接していることから広くなっており、馬場のビジョンよりも近い映像モニターでレースの様子や払戻金を確認しようとする人達が集まり、時に賑やかになる空間でもありました。
(2018.10.28撮影)

ゴール側エントランス

(2022.4.16撮影)

本馬場側からパドックに抜けるゴール寄りの通路。内部が囲われた一方、通路部分は吹き抜け構造のままで、屋根付き通路のような形になりました。取付部分もタイル舗装され見栄えが良くなり、通路部分は屋内と同じフローリング。

(2022.4.16撮影)

ゴール側エントランス。あまりに雰囲気が変わってしまい、吹き抜けだった前の姿が思い出せないほどの変わりぶり。手前の白い部分が元は「ちびっこファーム」だったところ。元々の窓口区画がどのあたりだったのか…。

(2022.4.16撮影)

一方、反対側は外装が塗り直されペナント風の飾りが取り付けられた程度で改修が行われた様子はありませんでした。奥の「お客様受付」(組合窓口)も仕切りが増えてコインロッカーが移転した程度。以前同様に他場のパンフレットなどはこちらで貰うことができます。

(2022.4.16撮影)

ペナント風の飾り。パドック側にも付けられています。

パドック側

(2022.4.16撮影)

パドック側へ出ました。業務スペースの2階部分は外装が変わった以外に特に変化はなく、1階部分とツライチなのは変わっていないため元の構造がそのまま生かされているよう。スタンド3階がせり出して屋根代わりになっているのも同じ。一方、外周も県産杉を用いた装飾とフローリング床に変化しました。

(2022.4.16撮影)

リニューアル前は2階がせり出している中央部分にスタンド内を通って本馬場前まで抜ける通路がありましたが、業務区画に取り込まれたため通路はなくなりました。本馬場へ抜ける場合はこの両脇にある出入口から入ることとなります。

サービス設備

(2022.4.16撮影)

パドック側中央部分にもサービス設備が集約されています。ゴール寄りから順に。スタンド3階に続き1階にも映像モニター付きの喫煙コーナーが設置。こちらはパドック側だけでなくスタンド内からも入ることができます。

(2023.4.9撮影)

隣りには自動販売機コーナー。紙パック飲料の自動販売機が設置されています。ペットボトル飲料は飲食店舗か3階へ。

中央部分を挟んだ入場門寄りには、以前は組合受付窓口に設置されていたコインロッカーが移動しています。従来同様100円硬貨を入れて鍵をかけ、鍵を解除すると入れた100円は戻ってくるタイプです。

(2022.4.17撮影)

3階を支える柱や天井部分にはかつての面影も残っていますが、使用されていない発売窓口が並んでいた姿からは想像もつかない姿に生まれ変わりました。

パドック側メモリアル

往年のパドック側。こちらは全て手売り窓口が並んでいました。しかし、ゴール寄りの手売り窓口は作者が初めて訪れた2012年にはごく僅か使用されていたものの、翌年には使用されていなかったような記憶。マークカードやペグシルは置かれ、カウンターが記載台替わりになっていましたがほぼデッドスペースとなっていました。
(2015.5.4撮影)
左がアイスクリンとコーヒーの「いよろい(コーヒースタンド)」、右が串物やすじ煮込み、おでん等の軽食「はっとり」
(2015.5.4撮影)
焼きそば、焼うどん、焼き鳥、おでん等の「まるまん」
(2015.5.4撮影)
スタンド中央の通路と階段を取り囲むように設置されていた屋台。なお、スタンド改修に先立つ2020年2月頃、スタンド中央へのエレベーター設置工事に伴い屋台はアーケードへ移転しています。
入場門側も使用されていない手売り窓口が並んでいましたが、端の窓口を改造する形で自動発払機が5台設置されていました。
(2015.8.30撮影)

おわりに

パドック~馬券~本馬場と活動的に競馬を楽しむ層が一番使うスタンド1階。厳しい状況を乗り越えた象徴とも言える古き鉄火場的光景は役目を終え、高知けいばの新たなステージを象徴するかのような姿に生まれ変わりました。ネット観戦主流となった昨今ですが、本場観戦はまた違った格別感があるもの。居て快適な空間となったスタンドを利用しつつ、現地に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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