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高知競馬場ガイド

高知けいばの「キャッシュレス投票」

(初回作成 2014.12.12)

公共交通機関の運賃、スーパーやコンビニでの代金支払いなど、現金を使わず事前に金額をチャージしたICカードを読み取り機にかざして精算するキャッシュレス化が地域や世代を問わず普及してきました。それは公営競技の投票においても例外ではなく、さまざまな競技場で「キャッシュレス投票」の導入が増えており、高知けいばにも現金をチャージした専用ICカードを使って投票するキャッシュレス投票が導入されています。

高知けいばでのサービス開始は2014年7月20日。全ての利用客を対象にしたキャッシュレス投票を導入したのは、競馬では中央・地方通じて高知けいばが初めてのことでした。

ここでは高知けいばのキャッシュレス投票について見ていこうと思います。

概要

キャッシュレス投票は競馬場もしくは場外発売所で勝馬投票する際に利用できるサービスです。事前にキャッシュレス投票の会員登録を現地で行い、専用ICカード(会員カード)を発行してもらうことで利用可能となります。

高知けいばのキャッシュレス投票会員カード

キャッシュレス投票を行えるのは

高知競馬場と場外発売所の「パルス宿毛」、「パルス藍住」(2014年12月20日開始)の計3か所です。「パルス高知」には導入されていません。会員登録もこの3か所で随時行うことができます。

投票できるレースは当日に発売されている全てのレースとなっており、高知けいばだけでなく、場外発売されている地方競馬他場や「J-PLACE高知(宿毛・藍住)」として発売しているJRAの全レースもキャッシュレス投票で購入できます。

会員登録の方法は

高知競馬場での登録窓口となるスタンド1階の総合案内カウンター

会員登録は投票できる3か所にて行うことができ、20歳以上であれば即発行、利用することができます。高知競馬場での登録窓口はスタンド1階の入場門寄りにある「総合案内カウンター」です。必要なのは運転免許証等の身分証明書のみで入会金・年会費は不要。ICカードの場合デポジットとして発行時に一定額を預けるケースがありますが、それもありません。

登録手続きは申込書に必要事項を記載し、4ケタの暗証番号を決め、運転免許証等の身分証明証を提示するだけ(持っていない場合は断られていました)。あとは本人確認のためかデジカメで顔写真を撮影して終了。10分ほどでした。規約や使い方のパンフレットとともにカラの会員カードを受け取り、現金をチャージすれば投票できるようになります。

なお、カードを紛失した場合は1,000円の手数料で再発行が可能です。

現金チャージ

キャッシュレス投票を行うには、ICカードに現金をチャージする必要があります。システム導入当初は専用のチャージ・精算を行うATMが設置されていましたが、現在は勝馬投票券の自動発払機にチャージ・精算機能が付加されています。

チャージ額は「投票用残高」として計上されます。「投票用残高」は投票しないまま出金することができません。出金できるのは「精算可能残高」と称される、投票が的中して得た払戻金や競走除外等に伴う返還金のみとなります。

残高は次回に繰り越されるため、常連さんならば気にする必要はありませんが、めったに来ない方、旅打ちで記念にカードを作った方の場合、必要以上にチャージしてしまうと使っていない分が取り出せなくなるため注意が必要です(規約上は最終利用日から10年間放置すると残高が消えます)。

なお、投票資金は投票用残高が優先され、使い切ってから精算可能残高で続けられます。

基本は自動発払機でチャージ

自動発払機でのチャージは、左側の「カード」と書かれた部分にICカードを置き、中央のタッチパネルで操作して入出金を行います。
入金は10円単位からOKで、規約を見る限り入金の上限はないようです。また、キッチリ決めた額だけ入金したい場合は金額の指定もでき、お釣りもでてきます。出金も金額指定可能です。

処理後に投票券と同じ紙で入金明細を発行することができます。

高知競馬場スタンド3階に設置されている簡易チャージ機

一方、高知競馬場スタンド3階には入金専用の簡易チャージ機が設置されています。自動発払機が混雑している際に便利ですが、こちらは紙幣専用となっており、投入した紙幣の額がそのまま投票用残高にチャージされますお釣りが出ないため、注意が必要です。

投票

キャッシュレス投票は紙の投票券と同じマークカードに買い目を記入し、場内各所(一般エリア、特別観覧席、来賓席)に設置されているキャッシュレス投票機にて投票を行います。

キャッシュレス投票機(2019.4.14撮影)
※現在キャッシュレス専用(マーク)カードはありません

投票機には紙の投票券同様にマークカードを複数枚投入できますが、1枚ごとに内容を確認のうえ、「投票」ボタンを押すことで受付けられます。なお、画面の「投票可能金額」以上の投票をしようとすると、その時点のマークカードの投票すべてが受付されません。

読み込むマークカードが無くなったら画面の終了ボタンを押すことで、購入内容を記したレシートが発行されます。

会員カードは投票が終わるまで投票機にセットしたままです。外してよいと画面に出ていない時に外すとエラーとなります。

レシート

投票内容が記録されたレシート

投票終了後に記録として発行されるレシートはこちら。1回の投票で行った一連の投票の明細と残高が記載されています。勝馬投票券とは書式が全く異なる一般的な感熱紙のレシートで、レース名や馬名の表示はありません。
投票終了時に投票機に表示される参考情報はレシートの末尾にも表示されます(このサービスは後で追加されたものです)

投票の照会

当日全てのキャッシュレス投票の内容と結果を確認することが可能です。

マークカードを挿入する画面の右下に「マイメニュー」というボタンがあり、それを押すとメニュー画面が出てくるので、左上の「投票照会」を押します。

直近の4投票(確定後は「未」の所に的中・不的中の区分と払戻額が表示)と当日購入金額、当日払戻金額、現在の投票用残高、精算可能残高、前2つを足した投票可能金額を確認できます。右の「▲」「▼」ボタンで遡ることもできるほか、「印刷」ボタンを押すと表示されている部分の投票をレシートに印刷することも可能です。

投票以外にも

キャッシュレス投票では購入履歴や会員情報が一元管理されていることで、ファンサービスにも活用されています。

クーポン券発行

(左)イベント時に発行されることが多い場内飲食店用の割引クーポン券の一例
(右)2023年1月1日に行われた「ゼッケンプレゼント」の引換クーポン券

イベント時に投票金額に応じてプレゼントやサービスが受けられる企画は多くの公営競技場で行われますが、一般的には不正を防ぐためか未確定の投票券を求められることが多く、また確認作業が煩雑になりやすいことがネックでした。

キャッシュレス投票は当日の購入金額が一元管理されているため、高知けいばではイベント時にキャッシュレス投票で設定条件を満たせばクーポン券を発行し、その提示でサービスが受けられる企画が行われています。なお、高知競馬場本場だけでなく、パルス宿毛やパルス藍住でも当地での購入限定でクーポン発行のイベントが行われることもあります。

なお、クーポンは条件を満たした投票後に明細レシートに続いて発券されるものと、発券操作を行わないと出ないものがあります。

発券できるクーポンがある時は右上に表示が出る

条件を満たしたはずなのにクーポンが出ない場合、もう一度投票受付画面に進むと、右上に「クーポン獲得」というボタンが出ているので、これを押します。

「達成」になっているものは発券できる

クーポンの発行状況が表示されるので、「達成」となっている項目を押すとクーポンが発券されます。
(この画面は投票照会の「マイメニュー」にあった「クーポン履歴」と思われます。)

女性専用ラウンジへの入場

入口左にあるカードリーダーに会員カードをタッチ(2017.6.18撮影)

2017年2月にスタンド3階にオープンした女性専用ラウンジ。女性キャッシュレス会員(と同伴の7歳未満の児童)が利用できるサービスとなっているため、そのままでは自動ドアは開きません。要件を満たしている方は、入場の際にカードリーダーに自分の会員カードをタッチすることで入場することができます。

モバイル投票

高知競馬場とパルス宿毛には、場内Wi-Fiから接続できる専用の投票サイトを通じて投票する「モバイル投票」という仕組みも存在しており、このサービスもキャッシュレス会員専用のサービスとなっています。

利用する場合は発行当日有効の投票コードをキャッシュレス投票機から発行し、投票ページへアクセスして開始手続きを行う必要があります。投票は投票ページ内で買い目を選択し、キャッシュレス投票の残高を使って行います。
キャッシュレス投票の残額があり、投票コードの発行さえ行えば後は一切並ぶことなく投票ができる仕組みです。

園田・名古屋でも使える

高知けいばが導入しているキャッシュレス投票システムは、高知けいばの投票関係のシステムを納入している日本トーター株式会社のシステムです。同社のシステムは競技を問わず各地で導入されていますが、高知けいばに確認したところ、高知競馬場名古屋競馬場(旧競馬場跡の場外発売所「サンアール名古屋」を含む)、園田競馬場の3場のキャッシュレス投票システムは共通で管理されているため、これらいずれかの場で登録されたキャッシュレス会員カードは、3場全てのキャッシュレス投票サービスで利用できるとのことでした。

このため、高知のカードを持ってる人が園田競馬場や名古屋競馬場へ旅打ちで訪れてキャッシュレス投票を利用する場合、既に持っている高知のカードを使えばそのまま投票することができます。逆に、園田・名古屋のカードを持っている人が高知競馬場へ旅打ちすると、カードを作らなくても手持ちのカードで高知競馬場のキャッシュレス会員のサービスを受けることができます。

園田競馬場のキャッシュレス投票「DASH-pay」では、高知けいばのキャッシュレス投票カードの残高を使って園田競馬場でのキャッシュレス投票を行ったり、「DASH-pay」をタッチして残高を引かれた上で通過できる入場門のコインゲートに、高知けいばのキャッシュレス投票カードをタッチしても同様に残高が引かれて通過できることを作者も確認しております。

おわりに

キャッシュレス投票導入前の高知競馬場は、自動発払機よりもマークカードを対面でやり取りする窓口販売が多く残されており、需要に応じて窓口の稼働数を変える方法が取られていました。しかし、2013年4月から開始した「J-PLACE」により特にJRA発売時には窓口の混雑が目立つようになっていました。

この状況の中導入されたキャッシュレス投票は、自動発払機を増設するような大規模な改修を伴わずとも購入窓口を増やせただけでなく、当時窓口や自動発払機では非対応だったマルチ・フォーメーション購入機能の付加、会員向けサービスなどの利便性もまとめて向上させた画期的な取り組みでした。また、2020年以降、新型コロナウイルス対策の一環となる非接触の投票方法としてキャッシュレス投票は有効なものとされました。

現状のメリットは、その都度現金を出し入れする手間が省け、イベント時のプレゼントやサービスが受けられるというところ。そして自動発払機が混雑しているときでもさほど待たずに投票できる点。投票券にこだわらない方には十分日常使いできる完成された投票スタイルです。

また、スタンド改修で自動発払機が増えたものの高知競馬場への来場者も増えており、大レース前後のピーク時には自動発払機が相変わらず大混雑するケースもあるため、時々でも足を運ぶ、あるいは馬券で楽しみたいという方でも、並んでいては間に合わない時のために会員になっておいても損はないでしょう。

~アーカイブ~

スタンド改修前はよく屋外に登録ブースを特設して会員を募集していました
(2014.7.21撮影)
スタンド改修前、キャッシュレス投票の入出金用に1.3.4階に設置されていたATM
(2014.7.21撮影)
導入当初の投票機。機体は現在と同じですが画面デザインが異なっていました
(2014.7.20撮影)
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