(初回投稿:2022.4.23)
更新:画像追加
1985(昭和60)年オープンの現高知競馬場。当初はマークカードでの販売ではなかったため、スタンドには数多くの手売り窓口を設け投票券を発売していましたが、マークカードと自動発払機の導入、なによりインターネット投票の普及と高知競馬場への来場者数減少が重なっていった結果、手売り窓口はどんどん不要に。中でもスタンド3階は窓口とトイレくらいしかなかったため、最終的には自動発払機での発売のみに縮小し、大半が長年遊休化した状態でした。
2010年代後半に入り、高知けいばの状況が上向きになったことから、施設改善の取り組みが始められ、各所のトイレの改修に続いて行われたのがスタンド3階への「女性専用ラウンジ」の設置。そして高知競馬場全体の施設改修として、観戦環境の良い一般エリアを構築すべく、3階の残っていた部分を活用した屋内観覧席が作られ、現在に至ります。
何もない頃から大きく変わった高知競馬場スタンド3階を細かく見て行きましょう。
女性専用ラウンジ
2017(平成29)年2月22日、当時行われていた地方競馬女性騎手のシリーズ競走「レディスヴィクトリーラウンド」高知ラウンド開催の日にオープンしたのがスタンド3階入場門側に設置された「女性専用ラウンジ」。既に遊休化していた3階入場門側投票窓口を丸ごと改修して設置されたものです。
利用できるのはキャッシュレス投票会員になっている女性と同伴の7歳未満の児童。キャッシュレス投票カードが鍵になっており、それを入口の扉にかざせば入室できる仕組み。レース観戦ができるカウンターやボックス席のほか、パウダーテーブルもあるなど54席が用意され、キャッシュレス投票での投票も可能。後に3階、1階と続く一般客向け投票所における空調完備の屋内化が最初に行われたエリアともなりました。
なお作者は男性ですので中には入れません。内部については高知けいば公式サイトがラウンジ開設当時に作成した紹介ページでご覧ください。
「高知競馬場に女性専用ラウンジがオープン!」→こちら
(高知けいば公式サイト2017年2月17日付リリース)
馬
女性専用ラウンジの裏の通路に置かれているのが「馬」。
唐突に置かれている芦毛のような、でも四肢は黒い謎の馬の置き物。花飾りを付けたりブリンカー?が付いてたりと何とも謎の存在。何で置いてあるのかは不明です。
以前は女性専用ラウンジの向かいに置かれていました。
3階西来賓室
「女性専用ラウンジ」のオープンと共に隣接して設置されたのが「3階西来賓室」(と中の貼り紙に書いてあった)。スタンド3階中央部に入口が設けられた目につく場所にありますが、どれくらい使われたことがあるのかは不明。新型コロナウイルス禍前の個人協賛特典だった協賛者用来賓室として使われたことも聞いたことがありません。
2022年4月より4階特別観覧席が改修工事に入り、特別観覧席に設定されていた馬主席が使えなくなったため、この来賓室も馬主席代用として用いることになっています。
夜さ恋ナイター自動販売機
2021年10月12日(出典:高知けいば公式サイト→こちら)、3階西来賓席横に設置された「夜さ恋ナイター」のラッピングが施されたペットボトル飲料の自動販売機。「仕掛けがある」と公式サイトで告知されていたため試してみる方もいたようで、その仕掛けが凄いと報告するツイートなども見られました。
もう設置されてから時間も経過しているので…この自動販売機、お金を入れると高知けいばのファンファーレが盛大に流れます。現地確認やツイート等を総合すると、現在使用されているファンファーレ5種類全てが用意されているようですが、何が流れるかはお楽しみ。当たりくじ付きの自動販売機ですが、当たろうと外れようと関係ないようです。
さらに商品ボタンを押すと橋口浩二アナウンサーの声で「スタートしました!」というおまけボイスも。このボイスと同時にくじのデジタルルーレットが動き出すので、合ってるといえば合ってる(笑)。
なお、高知けいばの開催日しか鳴らない、また、開催日でも時間によっては鳴らないなど諸説あるようです。ご来場の際は一度鳴らしてみてください。
パドック側通路
女性専用ラウンジ・3階西来賓室は3階スタンドの入場門側のうち、パドック側の通路は残した形で作られたためこの通路は吹き抜けのままとなっています。当初はこちら向きの窓口が埋められ壁になっただけでしたが、2021年7月の3階屋内観覧席整備に合わせてこの通路もリニューアルされ、床はフローリングに、また壁にはカラフルな装飾が施されています。「Run for the fan and fun!!」は高知けいばのロゴに書かれているお馴染みのキャッチフレーズ。
装飾の横にはペットボトル飲料の自動販売機。また、こちらにもコインロッカーが設置されています。
3階屋内観覧席
2021年7月7日にオープンしたのが、3階で未改修だったゴール側半分の投票所エリアを使って作られた「3階屋内観覧席」です。こちらは入場門寄りと異なり、パドック寄りから階段席の手前まで3階部分の全てを屋内化したもので、誰でも利用できるエリアとしては高知競馬場で初めてとなる空調完備の屋内空間となりました。
参考:高知けいば公式サイト「高知競馬場スタンド3階」→こちら
(2021年7月6日リリース)
入場門側入口
パドック寄りにはこのエリアの完成に合わせて整備されたスタンド中央のエレベーターがあり、乗って3階に着くとすぐ左に屋内観覧席のパドック寄り入口があります(このエレベーターは4階には行けません)。一方、馬場寄りの入口はスタンド屋外席に接しています。
映像モニター
3階屋内観覧席の中央部には75形の大型映像モニターが2台向かい合わせで設置され、それを囲むように49型の映像モニターが並んで中継映像とオッズを表示。49型モニターは他にも壁や天井から沢山吊り下がっており、複数場の場外発売に対応できるようになっています。
座席
座席は大型モニターを中心とした集団見合い型に配置され全部で108席。座席には小型テーブル、ドリンクホルダー、さらにマークカード差しまで用意されており、確保した席で中継映像を座って見ながらマークカードを塗って併設の投票所で投票できるため、このフロアで全て完結できるようになっています。特別観覧席との差は座席の保障がなく、高知のレースを座席に座ったまま直接見られるか否かといったところ。
観覧席からの展望
3階部分一杯にこのフロアが作られたため、立ち見でも空調の効いたところでパドックもレースも直接見ることが可能。座席の両側には立ち見用の記載台が設けられているほか、窓際にはカウンターも設置されており、現地を見ながらマークカードも塗ることができます。
投票所
3階屋内観覧席の投票所には自動発払機が6台、このほかキャッシュレス投票機も数台設置されています。この自動発払機にはキャッシュレスカードへの入出金機能が付いているため、改修前にあった入出金用のATMはありません。なお、キャッシュレスカードの残金を使ってこの投票機から投票することはできません。
このフロアのオープン時にはスタンド1階が改修中で使えない時期があり、その際は3階の利用客が多く自動発払機が混雑するケースがあったため、発払機でキャッシュレス投票カードへ入金出来ない時の非常用なのか紙幣専用の入金専用機が設置されていました。こちらは入れた紙幣の金額がカードにチャージされるもので、お釣りは出ない仕様になっていますので使う際はご注意を。
軽食売店
屋内観覧席には軽食販売のカウンターが設けられており、メニューの品を販売しています。営業時間は明示されていないのですが、作者が現地観戦した高知けいば開催日に関しては20時を回っても開いていたので比較的遅くまで営業してるよう。
こちらは改修前の4階特別観覧席にあった喫茶コーナーが移ってきているとのことでした。
その他サービス
かつて3階の隅っこに置かれていた無料給茶機は、屋内観覧席オープンと同時に軽食売店の横に場所だけ用意されていたものの、しばらく設置されていませんでしたが、2022年4月より1階と同じ給茶機が設置されています。
入場門側パドック寄り入口のそばには新聞売店と表示されたカウンターがありますが、ここは高知けいば非開催日だけ専門紙の販売に使用するよう。開催日は従来通り入場門近くの販売小屋で売られています。横には(1階より狭そうですが)映像モニターも用意された喫煙所が設けられています。
ゴール側入口
ゴール側も入口は2つに分かれており、屋外席から、パドック寄りの階段からの両方に優しい構造になっています。パドック寄りは屋内観覧席の奥の通路と同じ系統の装飾に対し、馬場寄りはスタンド1階風の装飾と変化を付けています。
なお、両出口の間のでっぱりにはトイレがあるほか、ゴール側の一番端にはもう一つ来賓室が設けられています。
スタンド3階メモリアル
おわりに
一時は広い面積がありながら人通りの少ない小さな投票所と化していたスタンド3階ですが、機能を特化した施設が組み合わされることで、じっくり腰を据えて馬券に取り組んだり、快適な環境で競馬を楽しむ場所に変化しました。1階改修時は相当な混雑が発生しましたが、1階も完成したことでファンがニーズに合った場所を選ぶことで結果的に棲み分けがされ、混雑時の集中が分散されることも今後期待されます。