現・競馬場と共に歩む、春の中距離重賞!
基本情報
創 設
1985年
出走資格
・4歳以上
・出走申込時所属場で1走以上
競走距離
1900m
出走頭数
12頭以内
負担重量
57kg(牝馬2kg減)
本 賞 金
1着:1,000万円
2着:350万円
3着:200万円
4着:150万円
5着:100万円
(着外賞金:50万円)
今年度開催
株式会社高知広告センター協賛
第39回二十四万石賞
開催日:2023(令和5)年4月16日(日)
歴代優勝馬・競走成績
※競走成績は1998年以降
レースレコード
1995年4月23日 第11回
タケデンフアイター(55kg)
(牡10 能勢 巌厩舎/今村賢治騎手)
2:02.5(曇・不良)
※現行距離開催期間内でのレコード
概要
1985年、現高知競馬場の移転開設記念の重賞として創設。以来、新年度最初の重賞として定着している春の古馬中距離重賞である。
年明け1~3月は「黒船賞(JpnIII)」に向けて短距離路線に重点が置かれることもあり、前年末の「高知県知事賞」以来となる古馬中・長距離路線の主要競走となる。かつてこの路線は年3戦の重賞しかない時代すらあったものの、現在は中間に中距離の準重賞競走がいくつか設定されたことで、高知における中・長距離路線の年度開幕戦的な競走となっている。
競走名の由来
一般的に江戸時代の土佐藩の石高とされた「二十四万石」より(実際に二十四万石であったのかは諸説あるとのこと)。
出走馬選出基準
高知県競馬組合による選出
ローテーション
歴史
旧桟橋競馬場から長浜の現競馬場へ移転開設したことを記念して創設された経緯もあり、1985(昭和60)年の第1回から1997(平成9)年の第13回までは「開設記念・二十四万石賞」の名称で実施されていた。創設当時、高知けいばの重賞は中・長距離寄りが多く本重賞もその中の一つであった。
最初の変化は「重賞競走の体系化」で重賞が全般的に見直された第13回。それまでの別定重量戦から定量重量戦へ変更され、距離も2100mへと延長された。しかし、2100m戦はフルゲート10頭でコース形態もやや特殊なこともあってか、翌年を最後に2100mでの競走自体が行われなくなり、第15回(1999(平成11)年)からは1900m戦に戻される。また翌年の第16回から再度別定重量戦へ変更された。
その後2007(平成19)年より高知けいば全体で古馬重賞の別定重量戦は「黒船賞(JpnIII)」のみとなったため、同年の第23回から定量重量戦となり現在に至っている。
2008(平成20)年途中より、高知けいばが地元限定重賞のほとんどを近畿・中国地区所属馬との交流競走としたことで、第25回(2009(平成21)年)~第28回(2012(平成24)年)は交流競走となる。賞金の最厳冬期ではあったが交流最終年で中国・四国地区交流となった第28回では福山から2頭の遠征馬を迎えている。
馬齢表記の変更で「4歳以上」の重賞となった第17回(2001(平成23)年)より、高知けいばの経営難による賞金の削減が始まり、最大300万円となっていた1着賞金は第20回(2004(平成26)年)に3桁を割り込み70万円、さらに2007年の第23回から2012年の第28回までの6年間は50万円にまで抑え、耐える時期が続いた。一方、賞金の削減と共に重賞・準重賞の休廃止が相次いだ中でも、時代の流れとともに高知では希少になっていた中距離戦ということもあってか開催は継続された。
その後ナイター開催、インターネット販売の普及で底を打ったことで賞金は回復。第30回(2014(平成26)年)に100万円と12年ぶりに3桁を回復すると、第36回(2020(令和2)年)に過去最高の400万円に。以降も複数回増額が実施されている。
- 1985年
(第1回)4月開催の5歳以上1900m戦「開設記念・二十四万石賞」として創設1着賞金172万円
- 1997年
(第13回)定量重量2100m戦に変更1着賞金300万円に変更(第16回まで)
- 1998年
(第14回)レース名を「二十四万石賞」に変更 - 1999年
(第15回)1900m戦に変更 - 2000年
(第16回)別定重量戦に変更 - 2001年
(第17回)馬齢表記の変更に伴い出走条件が「4歳以上」に変更 - 2007年
(第23回)定量重量戦に変更1着賞金50万円に変更(第28回まで)
- 2009年
(第25回)近畿・中国・四国地区交流競走に変更交流競走に変更。2010年(第26回)より他地区出走枠を兵庫・福山所属8頭以内と規定
- 2012年
(第28回)中国・四国地区交流競走に変更他地区出走枠を福山所属6頭以内に変更
- 2013年
(第29回)高知所属馬のみの重賞に変更1着賞金60万円に変更(以降増額)
- 2020年
(第36回)新型コロナウイルス感染症の感染予防及び拡散防止のため無観客で開催
傾向(過去10年)
2013(平成25)年(第29回)~2022(令和4)年(第38回)までの成績を集計し、傾向を分析する。
天候・馬場状態
雨天開催は期間中1度だけではあるものの、良・稍重での開催は各1度で半数は重馬場。不良も馬場は2度とも天候は晴れという高知らしい馬場状態での開催が多い。
天候 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
---|---|---|---|---|
晴 | 1 | 1 | 3 | 2 |
曇 | 0 | 0 | 2 | 0 |
雨 | 0 | 0 | 0 | 1 |
走破時計
期間中の3着内馬の走破時計の分布を集計した。
良馬場だった第29回(2013年)の勝ち時計が2分08秒4、稍重開催である第35回(2019年)の勝ち時計は2分08秒3、重馬場5戦の平均勝ち時計が2分05秒12、不良2戦の平均勝ち時計は2分04秒37となっている。良・稍重の開催が少なく傾向とは言いずらいが、タフな馬場ではより時計よりはスタミナ勝負といった面が伺える。
3着内時計も時計のかかる順に良→稍重→重→不良とはっきり分かれ、概ねイメージ通りといった感がある。なお、1回だけの良馬場開催(第29回)で大きく時計が散っているのは優勝馬グランシュヴァリエが2着に8馬身差をつける圧勝だったことによる。
3着内馬走破時計 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
---|---|---|---|---|
2分03秒台 | 0 | 0 | 0 | 2 |
2分04秒台 | 0 | 0 | 3 | 3 |
2分05秒台 | 0 | 0 | 5 | 3 |
2分06秒台 | 0 | 0 | 6 | 1 |
2分07秒台 | 0 | 0 | 1 | 0 |
2分08秒台 | 1 | 3 | 0 | 0 |
2分09秒台 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2分10秒台 | 2 | 0 | 0 | 0 |
単勝人気
単勝1番人気馬は4勝2着1回と連対率は5割とやや心もとないが、2番人気まで含めると7勝しており勝ち馬は有力視される馬から狙うのが確率的には無難といえる。ただし、2着・3着に入った馬の単勝人気が大きく散っているため、過去の傾向からは連勝式で安易に人気順に頼るのは危険な印象を受ける。
なお、2014年~2019年の6年間は1番人気馬が敗れ続けるという高知けいばらしくない傾向が出ていたが、2020年以降は一転して1番人気馬の勝利が続いている。
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 4 | 1 | 2 | 2 | 1 |
2番人気 | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 |
3番人気 | 1 | 2 | 1 | 0 | 6 |
4番人気 | 1 | 2 | 1 | 3 | 3 |
5番人気 | 0 | 2 | 0 | 2 | 6 |
6番以下 | 1 | 2 | 3 | 11 | 39 |
性別
圧倒的に牡馬の出走が多いためおのずと牡馬中心の結果となる。一方、セン馬の2勝(ウォーターマーズ(第36回)、スペルマロン(第37回))はいずれも単勝1番人気に推されたもので、1番人気を背負ったセン馬もこの2頭だけである。
牝馬は近接して牝馬準重賞「ミラク特別」が開催されていることもあってか出走自体が極めて少ない。
性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
牡馬 | 8 | 10 | 8 | 16 | 45 |
セン馬 | 2 | 0 | 1 | 4 | 8 |
牝馬 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
馬齢
春のオープン重賞は基本的に高齢馬中心という雰囲気があり、4・5歳馬は期間中に単勝1番人気になったケース自体がない。結果を見ても期間中は7歳馬の活躍が目立ち、8歳馬も主力感がある。
なお、短距離路線では10歳以上馬の活躍が目立つ高知けいばであるが、中距離戦である本競走においては様相が異なり、最高齢記録である10歳馬の優勝は第16回(2000年)のメイショウタイカンを最後に20年以上出ていない。
馬齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
4歳 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 |
5歳 | 1 | 3 | 1 | 2 | 7 |
6歳 | 1 | 2 | 0 | 4 | 12 |
7歳 | 4 | 4 | 4 | 5 | 7 |
8歳 | 2 | 1 | 2 | 5 | 12 |
9歳以上 | 2 | 0 | 2 | 4 | 13 |
発走枠
期間中の枠順成績は極端に出ており、3つの枠で勝ち馬が出ていない。ただ、内・中・外といった広目の視点で眺めると、やや中枠が好成績にも見えるものの極端な傾向は見られない。
3枠は3着内馬が10年間出ていないが、期間中の単勝最高人気は3番人気馬までしか入っていないことも一因に思われる。6枠も単勝1番人気馬は期間中不在。一方、高知で最も優位感がありそうな大外8枠には、単勝1番人気馬が2頭入るも馬券圏外という結果に終わっている。
枠 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 1 | 2 | 2 | 5 |
2枠 | 2 | 1 | 0 | 7 |
3枠 | 0 | 0 | 0 | 10 |
4枠 | 3 | 1 | 2 | 4 |
5枠 | 2 | 2 | 1 | 9 |
6枠 | 0 | 1 | 2 | 13 |
7枠 | 2 | 2 | 2 | 11 |
8枠 | 0 | 1 | 1 | 17 |
調教師・騎手
期間内に3着内が1回以上ある馬を対象として、所属していた厩舎、騎手を集計した。
調教師
期間中は松木啓助調教師が3勝、打越勇児調教師が2勝と続く。また、田中守調教師は期間中10頭の出走で半数が連対、雑賀正光調教師は期間中最多出走の中で3着馬が10年で5頭出ている。
2・3着のみという厩舎が1つしかなく、リーディング上位厩舎に好成績が集中している印象を受ける。
調教師 | 1着 | 2着 | 3着 | 出走頭数 |
---|---|---|---|---|
松木啓助 | 3 | 0 | 1 | 19 |
打越勇児 | 2 | 2 | 1 | 13 |
田中 守 | 1 | 4 | 1 | 10 |
雑賀正光 | 1 | 2 | 5 | 24 |
*炭田健二 | 1 | 1 | 0 | 5 |
*大関吉明 | 1 | 0 | 1 | 6 |
別府真司 | 1 | 0 | 1 | 15 |
那俄性哲也 | 0 | 1 | 0 | 3 |
騎乗騎手
調教師と違って騎手は比較的割れているが、赤岡修次騎手が9度の騎乗で3分の2が連対と好相性。過去10回で2勝ずつの宮川実騎手と西川敏弘騎手(2022年引退)は皆勤騎乗であった。
騎手 | 1着 | 2着 | 3着 | 騎乗数 |
---|---|---|---|---|
赤岡修次 | 2 | 4 | 0 | 9 |
宮川 実 | 2 | 1 | 1 | 10 |
*西川敏弘 | 2 | 0 | 1 | 10 |
永森大智 | 1 | 0 | 4 | 8 |
岡村卓弥 | 1 | 0 | 1 | 9 |
倉兼育康 | 1 | 0 | 1 | 5 |
山崎雅由 | 1 | 0 | 0 | 5 |
上田将司 | 0 | 2 | 0 | 7 |
佐原秀泰 | 0 | 1 | 0 | 7 |
*中西達也 | 0 | 1 | 0 | 3 |
[兵]下原 理 | 0 | 1 | 0 | 2 |
郷間勇太 | 0 | 0 | 1 | 3 |
林 謙佑 | 0 | 0 | 1 | 3 |
払戻金
5つの賭式をピックアップ。期間中の払戻結果の傾向を探った。
第35回(2019(平成31)年)に単勝11番人気のエイシンファイヤーが勝利した際に、三連単が200万円を超える大波乱決着となったことが深く刻まれているが、元々日常の距離と離れた中距離戦という点も手伝ってか本競走において連勝式では1番人気決着がかなり少なく、波乱決着が多いことが払戻金の傾向からも見て取れる。
単勝式
払戻金中央値:300円(最低120円~最高16,840円)
人気中央値:2番人気(最高1人気~最低11人気)
払戻金(円) | 200未満 | 200~500 | 510~1,000 | 1,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 4 | 4 | 0 | 2 |
単勝人気 | 1 | 2 | 3 | 4~5 | 6以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 |
単勝1番人気馬の優勝は4度だが、3番人気まで広げると8度に広がり、全て払戻は5倍以下に収まっていた。勝ち馬に関しては上位寄りを抑えておくのが無難だが小波乱程度では払戻も跳ねず、上位人気は拮抗する傾向にある。
馬番連勝複式
払戻金中央値:1,950円(最低300円~最高40,630円)
人気中央値:6番人気(最高1人気~最低46人気)
払戻金(円) | 200未満 | 200~1,000 | 1,010~3,000 | 3,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 0 | 3 | 4 | 3 |
馬複人気 | 1 | 2~3 | 4~5 | 6~10 | 11以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 2 | 2 | 4 | 1 |
期間中の馬複1番人気決着は第37回(2021(令和3))年の1度のみ。また過半数が千円以上と、高知けいばの中では珍しく、馬複ですら「極端に堅い決着」が少ない。とはいえ、人気薄同士という決着は流石に少なく、「人気馬と人気薄」という体で相手が波乱になった決着が中心であり、払い戻しの跳ね方は人気薄の度合い次第という印象を受ける。
馬番連勝単式
払戻金中央値:2,810円(最低430円~最高71,230円)
人気中央値:8番人気(最高1人気~最低84人気)
払戻金(円) | 500未満 | 500~1000 | 1,010~3,000 | 3,010~10,000 | 10,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 2 | 2 | 3 | 2 |
馬単人気 | 1 | 2~5 | 6~10 | 11~20 | 21以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 2 | 4 | 2 | 1 |
期間中の馬単1番人気決着は第36回(2020年)の1度のみだが、最低払戻430円は翌年の第37回(2021年・2番人気)に出ている。10倍未満が3度だけしかなく、上位人気同士の1・2着でも1番人気が絡まなければ10倍を超えている。
三連勝複式
払戻金中央値:1,915円(最低210円~最高90,080円)
人気中央値:6番人気(最高1人気~最低110人気)
払戻金(円) | 500未満 | 500~1,000 | 1,010~3000 | 3,010~10,000 | 10,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 2 | 4 | 2 | 1 |
三連複人気 | 1 | 2~5 | 6~10 | 11~20 | 21以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 2 | 5 | 1 | 1 |
三連単1番人気決着は第31回(2015年)の1度のみで10年間で上位人気3頭で決まったのはこの時と第33回(2017年)の2度のみ。1番人気馬が3着内を外したのは3度あるが、うち第34回(2018年)は2~4番人気での決着も850円と跳ねていないケースもある(ただしこの時は8頭立てだった)。
大波乱の第35回は極端に跳ねて唯一の万馬券となったが、上位入線3頭の組み合わせとしては紐荒れ1頭というケースが多く、払戻の傾向もそれを反映し少し跳ねた事例が中心といえる。
三連勝単式
払戻金中央値:7,525円(最低1,980円~最高2,637,020円)
人気中央値:21番人気(最高6人気~最低883人気)
払戻金(円) | 1,000 未満 | 1,000~ 5,000 | 5,010~ 10,000 | 10,010~ 100,000 | 100,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 0 | 2 | 4 | 3 | 1 |
三連単人気 | 1 | 2~10 | 11~50 | 51~100 | 101以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 0 | 1 | 6 | 2 | 1 |
三連単1番人気決着となったことは過去10年なく、払戻金が3桁というケースもない。上位人気での決着でも順番違いというケースで多少跳ねており一筋縄ではいかない傾向は見て取れる。万馬券4度と波乱の要素は十分に高い競走といえる。
記録
※馬は2勝以上、騎手・調教師は3勝以上