
3歳最初の重賞は、ダッシュ勝負の短距離戦!
基本情報
創 設
2013年
出走資格
・3歳
・出走申込時所属場で1走以上
競走距離
1300m
出走頭数
12頭以内
負担重量
56kg(牝馬2kg減)
本 賞 金
1着:800万円
2着:280万円
3着:160万円
4着:120万円
5着:80万円
(着外賞金:40万円)
ステップ
1着馬に来年度「高知優駿」の優先出走権
(例年)
今年度開催
第12回土佐春花賞
開催日:2024(令和6)年3月10日(日)
歴代優勝馬・競走成績
レースレコード
2023年3月19日 第11回
ユメノホノオ(56kg)
(牡3 田中 守厩舎/[金]吉原寛人騎手)
1:21.7(曇・不良)
概要
3歳世代最初の重賞として行われる競走。直接的には高知3歳三冠競走の第1戦「黒潮皐月賞」(1400m戦)に向けた競走となる。また、優勝馬に「高知優駿」の優先出走権が与えられる世代重賞の1つでもある。
創設当時は経営難に伴う主要競走の縮小状態にあり、3歳限定の主要な競走が三冠重賞しかなかったが、本競走と秋の「土佐秋月賞」の創設から3歳ローテーションの再整備が開始された。現在は本競走の前に3歳限定準重賞が設定されており、それを受ける形となる。
重賞の中では最も距離の短い1300m戦である。後に距離の長い世代重賞を勝利して世代上位の評価を受けた馬がこの競走は落としていたケースもあるなど、より短距離適性が求められやすい印象がある。
高知けいばは格付の3歳の範囲が狭く、好成績馬は古馬混合の一般格へ編入されやすい。このため自己条件が一般格に上がっている世代上位格の馬は、明け3歳となってからしばらく古馬と一緒に走った後、世代限定戦である本競走に挑む構図が一般的である。このため、3歳格付けの上がり馬と様々な格に分かれ古馬戦で揉まれている馬の力量比較もポイントとなる。
競走名の由来
高知の旧国名「土佐」と開催時期にちなんだ「春の花」
創設された2012(平成24)年度には秋の3歳重賞「土佐秋月賞」も新設されているが、両重賞名を繋げると自然の清らかな美しさをたとえた四字熟語「春花秋月」となる。
出走馬選出基準
- 高知県競馬組合による選出
ローテーション

歴史
本競走は福山競馬との連携策の一環として設けられていた「中四国連携競走」のひとつとして2012年度の途中に新設が発表された競走である。しかし、発表後に当年度限りでの福山競馬の廃止が決定されたため、第1回でその枠組みは終了することになった。なお、福山競馬の本場開催は2013年3月24日に開催を終了したが、「第1回土佐春花賞」は当初の予定通り同年3月31日に開催されたため、本競走が福山所属の人馬が最後に出走した競走となった。2014年の第2回以降は高知所属馬のみの重賞となって現在に至る。
当初の2回は年度最終週の開催で、同時に新設された「御厨人窟賞」とともに2日連続の重賞開催が行われていた。その後は「御厨人窟賞」が「黒船賞(JpnIII)」の前に移動したために年度最終週の開催になった2018(平成30)年を除き、年度最終週の1週前の開催が多かったが、2024年から「黒船賞(JpnIII)」が年度最終週に移動したのに合わせ、若干時期が前倒しされている。
2017(平成29)年度に「高知優駿」が地方全国交流競走になったことに合わせ、それまでの世代重賞優勝馬には同競走への優先出走権が付与されることとなったため、本競走も「高知優駿」出走への近道となっている。
- 2013年
(第1回)中国・四国地区交流重賞として創設3月開催・3歳1300m定量重量戦の「中四国連携競走」
他地区出走枠を福山所属6頭以内とする
1着賞金40万円(第2回まで、以降増額) - 2014年
(第2回)高知所属馬のみの重賞に変更 - 2017年
(第5回)優勝馬に「高知優駿」優先出走権を付与
傾向(過去10年)
2014年(第2回)~2023年(第11回)までの成績を集計し、傾向を分析する。
天候・馬場状態
期間中は7度の重馬場で良馬場開催は1度しかなく、典型的な高知けいばの天候・馬場条件で行われやすい傾向といえる。雨中の開催は1度だけである。
天候 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
---|---|---|---|---|
晴 | 0 | 0 | 4 | 1 |
曇 | 1 | 0 | 2 | 1 |
雨 | 0 | 0 | 1 | 0 |
走破時計
期間中の3着内馬の走破時計の分布を集計した。
第5回(2017年)の良馬場開催の勝ち時計が1分25秒6、重馬場7戦の平均勝ち時計が1分24秒73、不良で行われた2戦の平均勝ち時計は1分22秒55となっている。良・不良のサンプルが少ないものの、高知の馬場状態のイメージ通りの結果となっている。
大半が重馬場であるが、3着内勝ち時計は概ね1分24~25秒台の範囲で収まっているが、ユメノホノオが優勝した第11回(2023年)は上位3頭がいずれも1分22秒台以内で走破しており、やや突出している。
3着内馬走破時計 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
---|---|---|---|---|
1分21秒台 | 0 | - | 0 | 1 |
1分22秒台 | 0 | - | 0 | 2 |
1分23秒台 | 0 | - | 1 | 3 |
1分24秒台 | 0 | - | 9 | 0 |
1分25秒台 | 3 | - | 9 | 0 |
1分26秒台 | 0 | - | 2 | 0 |
単勝人気
期間中単勝1番人気馬の勝利は6度。2着はなく3着3度で掲示板外も1度。勝馬は4番人気以内から出ており、ある程度絞りやすい傾向はあるが、単純に見れば2年に1度は頭にも小波乱の気配は見える。
一方、単勝1番人気馬の2着がなく、2着馬の単勝人気は割れており、傾向が測れないと言っても良い状況にある。反面3着は上位人気馬が多い。
上位集団は絞りやすいものの、世代限定重賞唯一の1300m戦という設定もあってか、その中からどの馬を選ぶかに妙味があるといえそうだ。
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 6 | 0 | 3 | 0 | 1 |
2番人気 | 2 | 4 | 2 | 0 | 2 |
3番人気 | 1 | 0 | 3 | 6 | 0 |
4番人気 | 1 | 2 | 0 | 2 | 5 |
5番人気 | 0 | 3 | 0 | 3 | 4 |
6番以下 | 0 | 1 | 2 | 9 | 51 |
性別
期間中勝馬は牡馬5頭、牝馬4頭と拮抗しており2着以下もほぼ半々といってよい。ただし、近4年は連続して牡馬が勝利している。
経営不振期においては、早く転入して来るのは牝馬が多く、また高知デビュー馬の入厩促進が図られはじめた当初も牝馬が多かった印象があり、世代の前半期は牝馬優勢だった世代もあるが、近年は有力な牡馬が世代を引っ張る構図になりつつある。
性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
牡馬 | 5 | 6 | 5 | 11 | 27 |
セン馬 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
牝馬 | 4 | 4 | 5 | 9 | 35 |
発走枠
期間中、勝馬はすべて5枠より外という結果であった。高知1300mは外枠有利という説を裏付けるようでもあるが、実は単勝1番人気馬の入った枠に偏りがあり、1・2・4・5枠はこれまで1番人気馬は入ったことがなく、加えて1・4枠は2番人気馬も不在という点を付記しておく。
ただし、単勝人気同様に2着に関しては枠の偏りがそれほどない傾向があるのが不気味であり、過去の内枠の2着馬を眺めると、中穴人気に留まるも、スピード能力や末脚の威力といった一芸があることが当時から認められていた馬の名前が並んでいる。
枠 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 0 | 1 | 0 | 9 |
2枠 | 0 | 2 | 0 | 8 |
3枠 | 0 | 1 | 2 | 7 |
4枠 | 0 | 1 | 1 | 8 |
5枠 | 1 | 1 | 1 | 12 |
6枠 | 3 | 2 | 2 | 11 |
7枠 | 3 | 0 | 1 | 16 |
8枠 | 3 | 2 | 3 | 12 |
調教師・騎手
期間内に3着内が1回以上ある馬を対象として、所属していた厩舎、騎手を集計した。
調教師
連覇もある雑賀正光調教師が3勝。田中 守調教師が2勝と続く。打越勇児調教師も2着4回と安定して上位馬を輩出しているが、一方で3着以内で1度以上絡んでいるという調教師も多く、分散傾向にある。
調教師 | 1着 | 2着 | 3着 | 出走頭数 |
---|---|---|---|---|
雑賀正光 | 3 | 1 | 1 | 14 |
田中 守 | 2 | 0 | 1 | 12 |
*炭田健二 | 1 | 1 | 1 | 5 |
胡本友晴 | 1 | 0 | 1 | 2 |
田中譲二 | 1 | 0 | 0 | 7 |
國澤輝幸 | 1 | 0 | 0 | 6 |
宮路洋一 | 1 | 0 | 0 | 3 |
打越勇児 | 0 | 4 | 1 | 10 |
別府真司 | 0 | 2 | 0 | 11 |
細川忠義 | 0 | 1 | 2 | 10 |
那俄性哲也 | 0 | 1 | 0 | 4 |
目迫大輔 | 0 | 0 | 1 | 6 |
松木啓助 | 0 | 0 | 1 | 5 |
中西達也 | 0 | 0 | 1 | 5 |
騎乗騎手
最多の3勝をあげている永森大智騎手はただ一人第1回から皆勤で騎乗が続いている。比較的成績はばらけている中、木村直輝騎手は騎乗機会が期間限定騎乗中の第6回(2018年)1回だけながらスターアイリス号で優勝している珍しいケースもある。
騎手 | 1着 | 2着 | 3着 | 騎乗数 |
---|---|---|---|---|
永森大智 | 3 | 1 | 2 | 10 |
*西川敏弘 | 2 | 0 | 1 | 7 |
宮川 実 | 1 | 3 | 1 | 8 |
上田将司 | 1 | 1 | 0 | 6 |
赤岡修次 | 1 | 0 | 1 | 9 |
木村直輝 | 1 | 0 | 0 | 1 |
[金]吉原寛人 | 1 | 0 | 0 | 1 |
佐原秀泰 | 0 | 1 | 1 | 8 |
*中西達也 | 0 | 1 | 1 | 3 |
*別府真衣 | 0 | 1 | 0 | 5 |
**畑中信司 | 0 | 1 | 0 | 2 |
妹尾浩一朗 | 0 | 1 | 0 | 2 |
岡村卓弥 | 0 | 0 | 1 | 9 |
*倉兼育康 | 0 | 0 | 1 | 6 |
西森将司 | 0 | 0 | 1 | 3 |
**畑中信司騎手は金沢所属時代にスポット参戦で2着1回
この後の傾向
本競走は2歳を含めた世代重賞の中で最も短い1300m戦で争われる。3歳三冠競走の前哨戦的な重賞でもあるが、その後は1400m~1900mと長い距離で争われるためやや毛色が異なる印象もある。
土佐春花賞からその後の世代戦を占うことができるのか。本競走の3着内馬はその後の世代戦でどのような推移をたどったかを集計した。
次の世代重賞で距離も1400mと近い「黒潮皐月賞」は土佐春花賞3着内馬が8頭優勝、3着内率は6割を超える。一方、1900mに延びる「高知優駿」でも3着内馬は6頭が優勝、3着内率も4割強とまずまずであるが、真夏を越えた「黒潮菊花賞」以降は数値が下がる。これは中間に新たな転入馬が入り勢力図が変わる場合があるほか、より大きな舞台を求めて他場遠征に出ていた面もある。
2023年の優勝馬ユメノホノオはその後の3歳重賞も全勝し、三冠馬と同時に3歳重賞5競走完全制覇を達成。また、黒潮皐月賞と高知優駿の二冠を取ったのは2021年のハルノインパクト。また、2019年のナンヨーオボロヅキも本競走後に高知優駿と黒潮菊花賞を勝っての二冠馬となった。一方、歴代の3着馬のうち、2017年のフリビオン(黒潮皐月賞・高知優駿)と2022年のガルボマンボ(高知優駿・黒潮菊花賞)が二冠馬となっている。
後に世代の代表馬とされた馬が敗れているケースも見られる重賞ではあるが、少なくとも世代の中盤戦辺りまでは本競走の結果を踏まえておいてもよさそうである。
土佐春花賞 | 1着 | 2着 | 3着 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|
黒潮皐月賞 | 優勝 | 2 | 3 | 3 | 8 |
2・3着 | 4 | 6 | 2 | 12 | |
高知優駿 | 優勝 | 4 | 0 | 2 | 6 |
2・3着 | 2 | 3 | 2 | 7 | |
黒潮菊花賞 | 優勝 | 3 | 0 | 1 | 4 |
2・3着 | 1 | 3 | 1 | 5 | |
土佐秋月賞 | 優勝 | 3 | 0 | 1 | 4 |
2・3着 | 2 | 2 | 3 | 7 | |
皐月・優駿の二冠 | 1 | 0 | 1 | 2 | |
優駿・菊花の二冠 | 1 | 0 | 1 | 2 | |
三冠達成 | 1 | 0 | 0 | 1 |
払戻金
5つの賭式をピックアップ。期間中の払戻結果の傾向を探った。
3歳最初かつ短い1300m戦という設定ゆえか、一筋縄ではいかない波乱決着の多い払戻結果が出やすい印象があり、人気順に頼っては時に取り逃がす傾向があるようにも思える。
単勝式
払戻金中央値:200円(最低140円~最高1,370円)
人気中央値:1番人気(最高1人気~最低4人気)
払戻金(円) | 200未満 | 200~500 | 510~1,000 | 1,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 3 | 6 | 0 | 1 |
単勝人気 | 1 | 2 | 3 | 4~5 | 6以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 6 | 2 | 1 | 1 | 0 |
単勝1番人気の勝利が6度、最も人気薄でも4番人気馬の勝利であり、概ね上位は絞りやすい傾向は見て取れる。直近は3年連続で1番人気馬が勝利しており、勝ち馬に関しては候補が目立っている感もある。
馬番連勝複式
払戻金中央値:1,295円(最低140円~最高6,280円)
人気中央値:6番人気(最高1人気~最低14人気)
払戻金(円) | 200未満 | 200~1,000 | 1,010~3,000 | 3,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 2 | 3 | 2 | 3 |
馬複人気 | 1 | 2~3 | 4~5 | 6~10 | 11以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 2 | 2 | 1 | 4 | 1 |
馬複1番人気での決着は2度だけ。片方順当でももう一方が波乱といったこともあって、払戻が跳ねたケースが多い。ただし、連対は5番人気内までがほとんどであるため、傾向にこだわるなら上位人気のボックス買いも有効と見えなくもない。
馬番連勝単式
払戻金中央値:2,115円(最低210円~最高16,550円)
人気中央値:9番人気(最高1人気~最低28人気)
払戻金(円) | 1,000未満 | 1,010~5000 | 5,010~10,000 | 10,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 3 | 5 | 0 | 2 |
馬単人気 | 1 | 2~5 | 6~10 | 11~20 | 21以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 2 | 4 | 1 | 2 |
馬単1番人気は第11回(2023年)で初出。ほかに単勝1人気→2人気決着は2度あるものの、馬単はともに2番人気であり、上位人気馬内でも評価の割れが出ることが伺える。1番人気馬以外の上位人気同士でもそれなりに跳ねており、2度ある万馬券は2着に5番人気馬であった。
三連勝複式
払戻金中央値:1,695円(最低170円~最高49,790円)
人気中央値:6番人気(最高1人気~最低66人気)
払戻金(円) | 500未満 | 500~1,000 | 1,010~3000 | 3,010~10,000 | 10,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 |
三連複人気 | 1 | 2~5 | 6~10 | 11~20 | 21以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 3 | 2 | 3 | 1 | 1 |
三連複1番人気決着は3度。単勝1番人気馬が3着内を外したのは第2回(2014年)の1度だけ。この時は3着に人気薄が入ったことも重なって大きな万馬券となった。
裏返せば三連複の軸としては単勝1番人気馬の信頼度は高い傾向にある。
三連勝単式
払戻金中央値:10,705円(最低370円~最高184,510円)
人気中央値:30番人気(最高1人気~最低278人気)
払戻金(円) | 1,000 未満 | 1,000~ 5,000 | 5,010~ 10,000 | 10,010~ 100,000 | 100,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 2 | 2 | 1 | 4 | 1 |
三連単人気 | 1 | 2~10 | 11~50 | 51~100 | 101以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 1 | 5 | 2 | 1 |
三連単1番人気決着は第11回(2023年)で初出。10倍未満の払戻はこの時と第4回(2016年)に2番人気で決着した時のみ。上位人気馬同士でも人気と順番が違うなど、すんなりした決着はこれまで少なく、半数以上が万馬券となっている。
記録
※3勝以上
3勝 永森大智(3,7,8)
3勝 雑賀正光(3,7,8)
- 永森大智騎手
第7回ナンヨーオボロヅキ(2019)、
第8回リワードアヴァロン(2020) - 雑賀正光調教師
第7回ナンヨーオボロヅキ(2019)、
第8回リワードアヴァロン(2020)
前年度開催

