2025(令和7)年度の高知けいばでは重賞競走が22競走、準重賞競走が29競走実施されることとなっています。
JRAや各地の地方競馬場では主要競走を馬齢や距離ごとに分け、時系列で並べたものを「レース体系」「ローテーション」として紹介し、上位馬がどのレースに出てくるか目安を示しています。
高知けいばでも福山競馬との中四国連携競走を実施していたころはガイドブックに2場合わせたレース体系表が載っていたこともありましたが、現在はそういったものがないので、重賞・準重賞を「2歳~明け3歳」「3歳」「牝馬」「古馬短距離・マイル」「古馬中距離・長距離」の5区分した路線別に並べたレース体系をまとめてみました。
なお、本稿は私見に基づくもので、「3歳三冠」以外は公式なものではないことをご了承ください。
2歳~明け3歳
高知けいばの2歳競走は、2015(平成27)年度に2歳新馬戦が再開後、高知デビュー馬限定重賞や複数の準重賞が新設されるなどして、着々と路線整備が進められてきました。
また、2022年11月28日発表の「全日本的なダート競走の体系整備について」による全国的なダート競走の再整備の一環として、2023年度から南関東を除く地方競馬各場で2歳秋のJRA重賞級認定競走が新設されることとなり、高知けいばでは既存の「黒潮ジュニアチャンピオンシップ」を置き換える形で「ネクストスター高知」を設定。同時に3つの準重賞競走がJRA上級認定競走となり、現在は4競走がJRA認定競走となっています(2025年度に限り、明け3歳のJRA重賞級認定競走「ネクストスター西日本」が開催されるため5競走)。
最初の準重賞「堆金菊特別」が9月に行われ、その後は10月下旬の「ネクストスター高知」と年末に行われる「金の鞍賞」の2つの重賞競走を目標とする形で、概ね1か月に1戦ずつ主要競走が設けられています。また、事前の主要競走上位馬へは重賞への優先出走権も付与しローテーションも明確化されています。
一方、明け3歳となってからの主要競走は、後述の「高知優駿」関係を除き、いわゆるプレップレース(前哨戦)的な存在となっています。
なお、2017(平成29)年度に「高知優駿」が地方全国交流競走になった際、その世代で実施済の高知2、3歳重賞競走優勝馬には「高知優駿」への優先出走権が与えられる形式になったことから、2歳の段階で翌年の「高知優駿」への出走権を得ることが可能となっています。
2025年度の変更点としては、2023年から「金の鞍賞」と同じ日に特別競走として行われてきた中距離戦の「満天星特別」が準重賞へ格上げされました。また、2025年度に限り、園田・佐賀・高知の持ち回りで行われる交流重賞「ネクストスター西日本」が高知開催の順番となっており、年度末に「土佐春花賞」(1300m)と「ネクストスター西日本」(1400m)の2つの短距離重賞が続けて行われる形となります。
- 6月頃~
(見込)特・2歳新馬(適時開催)
- 9月13日準・堆金菊特別
JRA上級認定競走
1300m
3着以内馬に「第3回ネクストスター高知」優先出走権 - 10月4日準・潮菊特別
JRA上級認定競走
1400m
3着以内馬に「第3回ネクストスター高知」優先出走権 - 10月26日重・第3回ネクストスター高知
JRA重賞級認定競走 未来優駿2025
1400m・地方デビュー馬限定・要直近所属後高知既走歴
(優先出走:「堆金菊特別」3着以内馬、「潮菊特別」3着以内馬)
優勝馬に来年開催の「第54回高知優駿」優先出走権(例年)
5着以内馬に「第47回金の鞍賞」優先出走権 - 11月15日準・土佐寒蘭特別
JRA上級認定競走
1600m・高知デビュー馬限定
3着以内馬に「第47回金の鞍賞」優先出走権 - 12月28日重・第47回金の鞍賞
1400m・要直近所属後高知既走歴
(優先出走:「第3回ネクストスター高知」5着以内馬、「土佐寒蘭特別」3着以内馬)
優勝馬に来年開催の「第54回高知優駿」優先出走権(例年) - 12月28日準・満天星特別
1800m
- 1月25日
(明け3歳)準・土佐水木特別1600m
- 2月8日準・土佐有楽特別
1400m・高知デビュー馬限定
- 3月8日重・第14回土佐春花賞
1300m・要直近所属後高知既走歴
優勝馬に「第54回高知優駿」優先出走権(例年) - 3月22日重・第3回ネクストスター西日本
JRA重賞級認定競走 3歳スプリントシリーズ(例年)
1400m・地方デビュー馬限定・要直近所属後所属場既走歴
近畿・四国・九州地区交流(他場所属馬8頭以内)
優勝馬に「第27回兵庫チャンピオンシップ(JpnII)」優先出走権(例年)
3歳
3歳馬の重賞のうち、「土佐春花賞」(加えて、2025年度に限り「ネクストスター西日本」)は前年度のため、ここでは4競走(2025年度に限り「西日本3歳優駿」が行われるため、5競走)としています。
1997年の重賞競走体系化の目玉の1つであった、3歳三冠重賞「黒潮皐月賞」「高知優駿」「黒潮菊花賞」を中心とした形は創設以来変わっていません。
現在は、3歳限定準重賞をプレップレースとして重賞の間に挟む形が形成され、自場の3歳戦だけで月1走程度のローテーションが組めるよう整備されています。
三冠競走が終わった後、9月一杯で格付けとしての3歳格も終了しますが、少し離れた11月に元々は福山との交流競走として2012年に設けられた重賞「土佐秋月賞」があり、この競走で高知の3歳競走は締めくくられます。
一方、2023年度からは「高知優駿」「黒潮菊花賞」優勝馬には年末の「高知県知事賞」優先出走権が与えられており、3歳上位馬の古馬重賞への繋ぎも行われています。
2025年度から「高知優駿」が高知所属馬限定競走となり、代わって「黒潮菊花賞」が地方全国交流競走に衣替えされました。また、同年度は西日本地区6主催者の持ち回りで行われる所属場デビュー馬限定重賞「西日本3歳優駿」が高知での開催となっており、「土佐秋月賞」のみだった3歳三冠競走終了後の重賞が2競走となります。
- 4月5日準・仙台屋桜特別
1600m
- 5月4日重・第29回黒潮皐月賞
高知3歳三冠第1戦
1400m・要直近所属後高知既走歴
優勝馬に「第53回高知優駿」優先出走権 - 5月17日準・山桃特別
1800m
- 6月22日第53回高知優駿
高知3歳三冠第2戦
1900m・要直近所属後高知既走歴
(優先出走:「第2回ネクストスター高知」「第46回金の鞍賞」「第13回土佐春花賞」「第29回黒潮皐月賞」優勝馬)
3着以内馬に「第29回黒潮菊花賞」優先出走権
優勝馬に「第56回高知県知事賞」優先出走権 - 7月12日準・魚梁瀬杉特別
1300m
- 8月3日重・第29回黒潮菊花賞
高知3歳三冠第3戦
1900m・要直近所属後所属場既走歴
地方全国交流競走(他場所属馬4頭以内)
(優先出走:「第53回高知優駿」3着以内馬)
優勝馬に「第56回高知県知事賞」優先出走権 - 9月7日重・第10回西日本3歳優駿
1600m・所属場デビュー馬限定
西日本地区交流競走(他場所属馬10頭以内) - 11月2日重・第14回土佐秋月賞
1600m・要高知既走歴
牝馬
高知けいばでは重賞競走の体系化の際、1997(平成9)~2000(平成2)年度の夏季に唯一の牝馬限定重賞「黒潮乙女賞」が設けられていたものの、準重賞格下げを経て打ち切られ、一時高知には牝馬路線がない時代がありました。
2011(平成23)年度から「レディスシリーズ」の総称(冠スポンサーが付いており現在は「グランディール レディスシリーズ」)で牝馬限定戦が四半期ごとに1戦ずつ設けられ、2013(平成25)年度に特別競走から準重賞へ昇格、高知けいばで数少ない牝馬限定戦として定着しました。
「シリーズ」と銘打たれているものの、シリーズ通算での成績表彰や次戦への優先出走権、最終戦的な競走への繋がりといったものはなく、独立した牝馬限定戦を総称したものですが(競走ごとに表彰は行われます)、4競走共通で在籍クラスにより負担重量が設定される本シリーズ独自の別定戦となっているのが特徴です。
また、2023(令和5)年度より、レディスシリーズ終了後の年明け2月下旬に、地方全国交流の4歳以上牝馬重賞「レジーナディンヴェルノ賞」が1900m戦で設定。4月に行われる園田競馬場の「兵庫女王盃(JpnIII)」に繋がるような設定で、短距離中心の既存牝馬路線とは離れた距離設定ではありますが、高知における牝馬の頂点競走的な存在といえそうです。なお、この競走は地方競馬の牝馬シリーズ「グランダム・ジャパン古馬 春シーズン」の構成競走となっています。
2025年度の変更点としては、従来はレディスシリーズの準重賞4競走は直近の所属後に高知で既走していることが出走資格に定められていましたが、これが撤廃され転入初戦から出走できるように改められました。
- 4月19日準・スピカ特別
1400m・4歳以上牝馬・別定
- 7月6日準・ヴェガ特別
1300m・3歳以上牝馬・別定
- 9月21日準・ミラク特別
1400m・3歳以上牝馬・別定
- 1月12日準・ベラトリックス特別
1400m・4歳以上牝馬・別定
- 2月22日重・第3回レジーナディンヴェルノ賞
グランダム・ジャパン2026古馬 春シーズン
1900m・4歳以上牝馬・要所属場既走歴
地方全国交流競走(他場所属馬6頭以内)
古馬 短距離・マイル
現在高知で最も充実しているのが古馬の短距離・マイル路線といえます。なお、1600m戦は場によっては中・長距離路線に位置付けているところもありますが、高知けいばでは普通・特別競走で日常的に行われていることから本稿では短距離路線に含めます。
1997年度の体系化以前、この路線は少数派だったのですが、同年度に高知けいば唯一のダートグレード競走「黒船賞(JpnIII)」が1400m戦で新設されたことで路線整備が行われました。この間には経営難による縮小期をはじめ、中四国連携に伴う変化や、地元馬の「黒船賞」出走馬の選定競走を調整していった結果、現在はわかりやすいものとなっています。現在は、通年で1~2か月に1戦程度、この路線のオープン格の主要競走が組まれている形となっています。
なお、「黒船賞」同様、夏の短距離重賞として長い歴史のある「建依別賞」も「トレノ賞」をステップレースとしており、こちらは上位3頭に優先出走権が与えられます。
2025年度の変更点は「福永洋一記念」が地方全国交流競走に移行。また、B級以下で「物部川特別」、C級以下は「五台山特別」「玉島特別」と、計3つの条件準重賞が追加されています。
- 5月10日準・春野特別
高知・佐賀スタリオンシリーズ1400m・4歳以上・別定
- 5月25日重・第16回福永洋一記念
1600m・4歳以上・要直近所属後所属場既走歴
地方全国交流競走(他場所属馬4頭以内) - 6月7日準・瀬戸特別
高知・佐賀スタリオンシリーズ1600m・4歳以上・別定
- 7月20日重・第22回トレノ賞
1300m・3歳以上・要直近所属後高知既走歴
3着以内馬に「第48回建依別賞」優先出走権 - 7月26日準・五台山特別
1300m・3歳以上C級以下
- 8月2日準・物部川特別
1300m・3歳以上B級以下
- 9月14日重・第48回建依別賞
1400m・3歳以上・要直近所属後高知既走歴
(優先出走:「第22回トレノ賞」3着以内馬) - 10月12日準・横浜特別
高知・佐賀スタリオンシリーズ
1400m・3歳以上・別定 - 11月9日重・第21回黒潮マイルチャンピオンシップ
1600m・3歳以上・要直近所属後高知既走歴
- 11月23日準・仁淀川特別
1400m・3歳以上B級以下
- 12月13日準・玉島特別
1600m・3歳以上C級以下
- 1月1日準・初夢特別
1400m・4歳以上B級以下
- 1月18日重・第15回大高坂賞
1400m・4歳以上・要直近所属後高知既走歴
優勝馬に「第28回黒船賞(JpnIII)」優先出走権 - 2月1日重・第23回黒潮スプリンターズカップ
1300m・4歳以上・要直近所属後所属場既走歴
地方全国交流競走(他場所属馬8頭以内)
優勝馬に「第28回黒船賞(JpnIII)」優先出走権 - 2月15日重・第13回だるま夕日賞
1600m・4歳以上・要直近所属後高知既走歴
優勝馬に「第28回黒船賞(JpnIII)」優先出走権 - 3月1日重・第14回御厨人窟賞
1400m・4歳以上・要直近所属後高知既走歴
- 3月18日準・八畳岩特別
1600m・4歳以上C級以下
- 3月24日重・第28回黒船賞(JpnIII)
1400m・4歳以上・地方馬は要直近所属後所属場既走歴・グレード別定
指定交流競走
(優先出走:「第15回大高坂賞」優勝馬、「第23回黒潮スプリンターズカップ」優勝馬、「第13回だるま夕日賞」優勝馬)
古馬 中・長距離
日本の競馬全体が短距離指向となる中、高知けいばも短距離・マイル路線と比べると中・長距離路線の重賞は大きな変化が少ないまま今日に至っています。大晦日に行われる年に1度の最長距離重賞であり、「GRAND PRIX」の冠を付けた「高知県知事賞」を頂点とした路線は不変。また、「黒船賞」を除く高知けいばにおける1着賞金最高重賞の座もこの重賞の制覇が高知けいばのホースマンの大目標の1つであることも変わっていません。
なお、秋の中距離重賞「珊瑚冠賞」は「高知県知事賞」へのステップレースとなっており、上位3頭は「高知県知事賞」へ優先出走となります。上位級馬の中・長距離戦は概ね3か月に1戦程度となっており、年末の「高知県知事賞」の後は新年度の「二十四万石賞」まで飛ぶこととなります。
一方、1800m戦や1900m戦の条件準重賞競走は近年設置されたものです。上位級ではなく条件級に中距離準重賞が増えている理由はアナウンスもないためわかりませんが、競走距離の多様化だけでなく、高知の賞金上昇で相対的に転入した馬の格付けが低くなりがちな中、元々中長距離実績の高い馬もおり、そういった馬が下位級で適性外の短距離中心のレースにしか使えず、本来の力を出す場がない状況に陥らないよう、という面があるのかもしれません。準重賞は条件戦よりも当然賞金は大きく上がる為、距離が長めになりやすい上位級への昇級や中・長距離重賞への挑戦がしやすくなることもあるかと思われます。
2025年度の変更点は「高知県知事賞」が近畿・四国・九州地区交流競走に衣替えとなりました。また、条件準重賞としてC級以下の「月見台特別」が追加されています。なお、準重賞「長浜特別」は昨年と異なり、「高知・佐賀スタリオンシリーズ」の構成競走とはなっていません。
- 4月13日重・第41回二十四万石賞
1900m・4歳以上・要直近所属後高知既走歴
- 4月26日準・四万十川特別
1800m・4歳以上B級以下
- 5月31日準・丸山台特別
1900m・4歳以上C級以下
- 6月21日準・御畳瀬特別
高知・佐賀スタリオンシリーズ1800m・4歳以上・別定
- 9月28日重・第37回珊瑚冠賞
1900m・3歳以上・要直近所属後高知既走歴
3着以内馬に「第56回高知県知事賞」優先出走権
「第25回JBCクラシック(JpnI)」指定競走(優勝馬を指定馬)(例年) - 10月18日準・月見台特別
1800m・3歳以上C級以下
- 11月29日準・浦戸湾特別
1800m・3歳以上C級以下
- 12月7日準・長浜特別
1800m・3歳以上・別定
- 12月20日準・鏡川特別
1900m・3歳以上B級以下
- 12月31日重・GRAND PRIX 第56回高知県知事賞
2400m・3歳以上・要直近所属後所属場既走歴
近畿・四国・九州地区交流競走(他場所属馬3頭以内)
(優先出走:「第53回高知優駿」優勝馬、「第29回黒潮菊花賞」優勝馬、「第37回珊瑚冠賞」3着以内馬)