秋の中距離決戦・グランプリへのステップ!
基本情報
創 設
1989年
出走資格
・4歳以上
・出走申込時所属場で1走以上
競走距離
1900m
出走頭数
12頭以内
負担重量
3歳56kg、4歳以上57kg(牝馬2kg減)
本 賞 金
1着:1,000万円
2着:350万円
3着:200万円
4着:150万円
5着:100万円
(着外賞金:50万円)
ステップ
3着以内馬に「高知県知事賞」優先出走権付与
大井「JBCクラシック(JpnI)」指定競走
今年度開催
JBCクラシック指定競走
第35回珊瑚冠賞
開催日:2023(令和5)年9月18日(祝月)
歴代優勝馬・競走成績
※競走成績は1998年以降
レースレコード
2021年9月20日 第33回
スペルマロン(57kg)
(セン7 別府真司厩舎/倉兼育康騎手)
2:03.2(曇・重)
※現行距離開催期間内でのレコード
概要
古馬オープン馬による秋の中距離重賞である。夏の高知けいばは古馬重賞が短距離路線のみとなるため、春の「二十四万石賞」から繋がる関係となっており、かつては「二十四万石賞」上位馬にはこの競走への優先出走権が付されていたこともある。
経営不振期の高知けいばでは、中距離以上のレースは重賞しか組まれておらず、適性が中距離寄りの上位馬は遠征で中間を繋ぐしかなかったが、現在はオープンの準重賞で中距離戦も設定されており、短距離ほどではないがおぼろげに中距離路線も形作られており、当地での事前のレースで適性を把握することもある程度は可能である。
本競走は年末の長距離グランプリ競走「高知県知事賞」へのトライアル要素を持っており、3着以内馬には優先出走権が与えられる。また、JBCクラシック指定競走ともなっており、本競走に勝利すると選定上位馬として「JBCクラシック」に出走を希望した場合に選定上位馬として扱われ、出走馬選定にあたって優遇されることとなっている。
競走名の由来
日本の珊瑚漁の発祥地である高知県沖で獲れる宝石珊瑚にちなみ、「珊瑚の冠」
出走馬選出基準
- 高知県競馬組合による選出
ローテーション
歴史
第1回が行われたのは1989年。4歳以上A1(最上位組)による競走で、2100m戦での開催であった。ちなみに、旧桟橋競馬場時代の1979年から前年の1988年までは「足摺特別」という開催時期・条件・距離が全く同じ重賞競走が組まれていた。高知けいばでは桟橋競馬場から引き継いた末尾の競走名が「特別」の重賞競走を1988年度までに名称変更や終了させていることから、回次はリセットされたものの珊瑚冠賞は足摺特別を引き継いだものと見れなくもない。なお、1989年以降も足摺特別の名称は特別競走や準重賞競走として2004年まで使用されており、珊瑚冠賞のトライアル競走となっていたこともあった。
第2回(1990年)のみ距離を1800m戦に短縮した以外は、開催時期が秋の初めから終わりへと変動する程度だったが、大きく改変が加わったのが1997年度に実施された「重賞競走の体系化」。この際に距離を1900mに短縮した上で、定量重量戦となった。また賞金も増額されてこれまでの最高額となる300万円が用意され、魅力向上も図られた。
しかし、この後高知けいばの経営難が始まると紆余曲折が始まる。中距離戦の設定が希少となったこともあってか休廃止は免れたものの、賞金は下がり続ける。また、2001~07年は再び別定重量戦に戻ったり、2009~2012年は他の重賞と同様に近畿・中国地区との交流競走となった時期もあった(遠征馬なし)。
2010年からはJBCクラシック指定競走となった。JBC指定競走の枠組みはそれ以前からあったものの、四国地区だけ設定されていなかったが、それが解消された。
2013年に地元馬限定重賞に戻ってからは競走条件の設定に大きな変更はない。同じ頃から高知けいばの経営状況が回復し、その度合いが急激に増してきたことで賞金等は急回復を遂げ、2020年以降は経営難前の最高額を上回る条件で行われている。
- 1989年
(第1回)9月開催の4歳以上A1による別定重量2100m戦として新設1着賞金180万円
第4~5回は10月上旬の開催になった - 1990年
(第2回)1800m戦に変更 - 1991年
(第3回)再び2100m戦に変更 - 1994年
(第6回)11月開催に変更 - 1997年
(第9回)10月開催の4歳以上オープンによる定量重量1900m戦に変更1着賞金300万円(第12回まで、以降減額)
- 2000年
(第12回)11月開催に変更 - 2001年
(第13回)馬齢表記の変更に伴い出走条件が「3歳以上」となる。別定重量戦に変更。 - 2006年
(第18回)1着賞金50万円に変更第24回まで
- 2007年
(第19回)10月開催に変更。定量重量戦に変更。 - 2009年
(第21回)近畿・中国・四国地区交流競走に変更交流競走に変更。他地区出走枠を兵庫・福山所属8頭以内と規定。
- 2010年
(第22回)JBCクラシック指定競走となる1着馬はJBCクラシック選定上位馬となる
- 2011年
(第23回)9月開催に変更※「二十四万石賞」3着以内馬への本競走優先出走権付与はこの回で終了(確認できる最古の2003年度編成要領時点で既に設定あり)
- 2012年
(第24回)中国・四国地区交流競走に変更他地区出走枠を福山所属6頭以内に変更
- 2013年
(第25回)高知所属馬のみの重賞に変更1着賞金60万円に変更(以降増額)
- 2017年
(第29回)フリビオン号が勝利し、初の3歳馬による制覇 - 2021年
(第33回)新型コロナウイルス感染症の感染予防及び拡散防止のため無観客で開催
別府真司調教師が3連覇達成
傾向(過去10年)
2013年(第23回)~2022年(第34回)までの成績を集計し、傾向を分析する。
天候・馬場状態
期間中は良が1度、稍重が2度となっており乾き寄りの馬場での開催がないわけではない。ただ、一番多いのが「晴れの不良」なのはいかにも高知けいばといったところ。馬場状態別の累計もイメージ通り不良が一番多い。
天候 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
---|---|---|---|---|
晴 | 0 | 0 | 2 | 3 |
曇 | 1 | 2 | 1 | 0 |
雨 | 0 | 0 | 0 | 1 |
走破時計
期間中の3着内馬の走破時計の分布を集計した。
唯一の良馬場開催となった第26回(2014年)の勝ち時計が2分08秒2、稍重開催2戦の平均勝ち時計は2分07秒5、重馬場3戦の平均勝ち時計が2分05秒17、不良4戦の平均勝ち時計は2分05秒05となっている。良と稍重、重と不良と二分されているような印象を受ける。
3着内時計は良>稍重>重=不良とも言える分布となった。ただ、重に関しては散らばっている感もあり、稍重寄りの重か不良寄りの重かという部分でも変わって来るのではと思われる。
3着内馬走破時計 | 良 | 稍重 | 重 | 不良 |
---|---|---|---|---|
2分03秒台 | 0 | 0 | 2 | 0 |
2分04秒台 | 0 | 0 | 0 | 4 |
2分05秒台 | 0 | 0 | 2 | 3 |
2分06秒台 | 0 | 2 | 4 | 3 |
2分07秒台 | 0 | 1 | 0 | 2 |
2分08秒台 | 2 | 3 | 1 | 0 |
2分09秒台 | 1 | 0 | 0 | 0 |
単勝人気
期間中、単勝1番人気馬が5勝、2着4回と圧倒的な実績を持ち、1度だけの連対外しも3着で複勝圏外しがない。2番人気も連対率7割。2番人気以内からの優勝馬輩出9度と圧倒的な上位人気優位感がある。6番人気以下からは過去10年で2着と3着が各1度ずつにとどまり、傾向的に人気薄は苦しい。
単勝人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 5 | 4 | 1 | 0 | 0 |
2番人気 | 4 | 3 | 0 | 3 | 0 |
3番人気 | 0 | 1 | 4 | 0 | 5 |
4番人気 | 1 | 0 | 1 | 3 | 5 |
5番人気 | 0 | 1 | 3 | 3 | 3 |
6番以下 | 0 | 1 | 1 | 11 | 38 |
性別
圧倒的に牡馬が好成績というのは大前提ではあるが、期間中唯一のセン馬優勝馬であるスペルマロンは2021、2022年と本競走史上唯一の連覇を果たしている。
また、2016年には牝馬ブラックバカラが優勝している。ただ、珊瑚冠賞の歴史全体でも牝馬が優勝したのは他には2011年のスウィングベルだけで過去全体通しても2頭だけであり、他の重賞同様に牝馬のハードルは高い。
性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
牡馬 | 7 | 9 | 7 | 15 | 29 |
セン馬 | 2 | 1 | 2 | 4 | 14 |
牝馬 | 1 | 0 | 1 | 1 | 8 |
馬齢
期間中優勝馬を多く輩出している馬齢は6~7歳で3着以内も概ねその前後の馬齢までといったところ。一方短距離重賞で見られる高齢馬の活躍はこの競走ではおまりなく、期間中は9歳で優勝した2018年のイッツガナハプンが最高齢優勝、2桁馬齢馬の3着内はない。
一方、3歳馬はこの重賞の頃にはかつては3歳三冠競走がまだ続いてたこともあって出走自体が極めて少ないものの、2017年にはフリビオンが初の古馬重賞挑戦にこの競走を選択して勝利している。また、4歳馬もこの時期にはあまり揃っていなかったイメージがあって同様に出走例が少ないが、若馬に関しては高知けいばの在厩傾向が変わってきており、今後は変化が生じることも予想される。
馬齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4・5着 | 6着以下 |
---|---|---|---|---|---|
3歳 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 |
4歳 | 0 | 2 | 1 | 0 | 4 |
5歳 | 1 | 1 | 3 | 3 | 10 |
6歳 | 3 | 3 | 2 | 4 | 8 |
7歳 | 3 | 0 | 2 | 2 | 10 |
8歳 | 1 | 3 | 1 | 5 | 9 |
9歳以上 | 1 | 1 | 1 | 4 | 10 |
発走枠
過去10年、内の1~3枠の馬券絡みが異様に薄い。ただし、前述のとおり下位人気馬の馬券絡みが少ないため、それに連動して、期間中に上位人気馬が内枠にほとんど入っていないという事情もある。1枠1頭の4枠が3勝だが、実はここには1番人気馬は入っておらず(勝ったのは2番人気2頭、4番人気1頭)、2着もトップタイなのはちょっと縁起もののようにも思えてくる。傾向的には中から外の人気馬か。
枠 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 以下 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 0 | 0 | 1 | 8 |
2枠 | 0 | 1 | 0 | 9 |
3枠 | 0 | 0 | 0 | 10 |
4枠 | 3 | 3 | 0 | 4 |
5枠 | 2 | 1 | 2 | 9 |
6枠 | 1 | 1 | 1 | 12 |
7枠 | 3 | 1 | 2 | 9 |
8枠 | 1 | 3 | 4 | 10 |
調教師・騎手
期間内に3着内が1回以上ある馬を対象として、所属していた厩舎、騎手を集計した。
調教師
オープン馬を多数擁する厩舎が上位に来るのは半ば必然だが、2019~2021年に3連覇を果たした別府真司調教師が一歩リードという印象がある。
調教師 | 1着 | 2着 | 3着 | 出走頭数 |
---|---|---|---|---|
別府真司 | 3 | 1 | 1 | 12 |
雑賀正光 | 2 | 4 | 2 | 18 |
田中 守 | 2 | 0 | 1 | 10 |
*炭田健二 | 1 | 1 | 1 | 4 |
松木啓助 | 1 | 1 | 1 | 15 |
中西達也 | 1 | 0 | 0 | 3 |
田中譲二 | 0 | 1 | 1 | 6 |
*大関吉明 | 0 | 1 | 0 | 8 |
那俄性哲也 | 0 | 1 | 0 | 5 |
目迫大輔 | 0 | 0 | 1 | 1 |
工藤真司 | 0 | 0 | 1 | 3 |
打越勇児 | 0 | 0 | 1 | 11 |
騎乗騎手
期間中は3名が3勝ずつと勝ち星が少数の騎手に集中している。また、好成績の騎手はそれ以外の騎手とやや差がある結果になっており、引退した倉兼、中西、西川の3現調教師の成績がちょうど境目になっているような分布である。
騎手 | 1着 | 2着 | 3着 | 騎乗数 |
---|---|---|---|---|
永森大智 | 3 | 2 | 1 | 9 |
赤岡修次 | 3 | 1 | 1 | 9 |
*倉兼育康 | 3 | 0 | 1 | 6 |
*中西達也 | 1 | 1 | 1 | 4 |
*西川敏弘 | 0 | 3 | 1 | 9 |
岡村卓弥 | 0 | 1 | 1 | 7 |
嬉 勝則 | 0 | 1 | 0 | 3 |
佐原秀泰 | 0 | 1 | 0 | 6 |
[兵]下原 理 | 0 | 0 | 1 | 1 |
吉本隆記 | 0 | 0 | 1 | 1 |
西森将司 | 0 | 0 | 1 | 1 |
宮川 実 | 0 | 0 | 1 | 7 |
払戻金
5つの賭式をピックアップ。期間中の払戻結果の傾向を探った。
傾向としては馬券的には全般的に堅い重賞というイメージが湧く結果となっており、単勝上位人気馬の信頼度が高い。同じ距離でも春の二十四万石賞は波乱が出やすいイメージがあるのとは対照的である。
単勝式
払戻金中央値:250円(最低130円~最高1,180円)
人気中央値:2番人気(最高1人気~最低4人気)
払戻金(円) | 200未満 | 200~500 | 510~1,000 | 1,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 4 | 5 | 0 | 1 |
単勝人気 | 1 | 2 | 3 | 4~5 | 6以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 5 | 4 | 0 | 1 | 0 |
期間中単勝1番人気が5度、2番人気4度と圧倒的に人気馬が順当に勝つ傾向となっている。唯一払戻が10倍を超えたのは10年前の2013年だが、この時も4番人気であり、相当な人気薄による大波乱はなかなか想像しにくい。
馬番連勝複式
払戻金中央値:310円(最低190円~最高2,910円)
人気中央値:2番人気(最高1人気~最低8人気)
払戻金(円) | 200未満 | 200~500 | 510~1,000 | 1,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 1 | 5 | 1 | 3 |
馬複人気 | 1 | 2~3 | 4~5 | 6~10 | 11以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 5 | 2 | 1 | 2 | 0 |
期間中の馬複1番人気決着は単勝同様5度。10番人気以下での決着はない。単勝1番人気馬が連対を外したのが期間中は2022年の1度のみであり、筆頭人気馬を軽視しにくい傾向になっている。ただ、1番人気の相手が中穴で跳ねたケースは見られた。
馬番連勝単式
払戻金中央値:560円(最低280円~最高4,380円)
人気中央値:2番人気(最高1人気~最低12人気)
払戻金(円) | 500未満 | 500~1000 | 1,010~3,000 | 3,010以上 |
---|---|---|---|---|
回数 | 4 | 3 | 0 | 3 |
馬単人気 | 1 | 2~5 | 6~10 | 11~20 | 21以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 3 | 4 | 0 | 3 | 0 |
期間中馬単の1番人気決着が3度、2番人気決着が3度とこちらも上位人気決着の傾向が強い。ただ、2番人気決着でも払戻は跳ねておらず、上位人気馬の組み合わせへの人気集中傾向が強いことが見て取れる。2桁人気決着となった3度が30倍以上の払戻となったが、万馬券は期間中出ていない。
三連勝複式
払戻金中央値:715円(最低360円~最高17,990円)
人気中央値:2番人気(最高1人気~最低37人気)
払戻金(円) | 500未満 | 500~1,000 | 1,010~3000 | 3,010~10,000 | 10,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 3 | 4 | 2 | 0 | 1 |
三連複人気 | 1 | 2~5 | 6~10 | 11~20 | 21以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 4 | 5 | 0 | 0 | 1 |
三連複の1番人気決着は4度だが、5番人気以内決着が9度と上位3頭の組み合わせに紛れが出ることすら傾向的には厳しい結果となっている。過去10年の間、単勝1番人気馬は全て3着以内に入っており絶対軸としての信頼が置ける傾向が出ている。なお、唯一万馬券になったの時は、1番人気の後が人気薄2頭という組み合わせであった。
三連勝単式
払戻金中央値:2,475円(最低730円~最高55,010円)
人気中央値:7番人気(最高1人気~最低110人気)
払戻金(円) | 1,000 未満 | 1,000~ 5,000 | 5,010~ 10,000 | 10,010~ 100,000 | 100,010以上 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 2 | 5 | 1 | 2 | 0 |
三連単人気 | 1 | 2~10 | 11~50 | 51~100 | 101以下 |
---|---|---|---|---|---|
回数 | 3 | 4 | 2 | 0 | 1 |
三連単の1番人気決着が3度あり、このうち2度が10倍を切る払戻となった。34番人気が10年前、110番人気が8年前で、その後は11番人気以上と三連単でも上位人気決着が続いている。前項のとおり、単勝1番人気馬の3着内パーフェクトに加え、3着内も上位人気馬だけで決まっていることも多いため、人気馬だけでも順番の波乱を狙うのが無難という傾向ともいえる。
記録
※馬は2勝以上、騎手・調教師は3勝以上