2023(令和5)年度の高知けいばでは重賞競走が20競走、準重賞競走が25競走実施されることとなっています。
JRAや各地の地方競馬場では主要競走を馬齢や距離ごとに分け、時系列で並べたものを「レース体系」「ローテーション」として紹介し、上位馬がどのレースに出てくるか目安を示しています。
高知けいばでも福山競馬との中四国連携競走を実施していたころはガイドブックで2場合わせたレース体系表が載っていたこともありましたが、現在はそういったものがないので、重賞・準重賞を「2歳~明け3歳」「3歳」「牝馬」「古馬短距離・マイル」「古馬中距離・長距離」の5区分した路線別に並べたレース体系をまとめてみました。
なお、本稿は私見に基づくもので、「3歳三冠」以外は公式なものではないことをご了承ください。
2歳~明け3歳
高知けいばの2歳競走は、2015(平成27)年度に2歳新馬戦が再開後、着々と路線整備が進められてきました。
そのような状況下、2022年11月28日発表の「全日本的なダート競走の体系整備について」によって全国的なダート競走の再整備の一環として、2023年度からは南関東を除く地方競馬各場で2歳秋のJRA重賞級認定競走が新設されることとなり、高知けいばでは既存の「黒潮ジュニアチャンピオンシップ」を置き換える形で「ネクストスター高知」として設定。また、新設1競走を含めた3つの準重賞競走を加え、高知けいば史上初となる合計4競走のJRA認定競走が設定されました。
地方競馬他場同様に2歳主要競走の早期設定の流れは高知けいばも同様で、最初の準重賞「堆金菊特別」は9月初めに設定され、10月下旬「ネクストスター高知」、続く年末の「金の鞍賞」を2つの目標とする形で概ね1か月に1戦ずつ主要競走が設けられています。また、事前の主要競走上位馬へは重賞への優先出走権も付与しローテーションも明確化されています。
一方、明け3歳となってからの主要競走は、後述の「高知優駿」関係を除き、いわゆるプレップレース(前哨戦)的な存在となっています。
なお、2017(平成29)年度に「高知優駿」が「ダービーシリーズ」に組み込まれ地方全国交流競走になった際、その世代で実施済の高知2、3歳重賞競走優勝馬には「高知優駿」への優先出走権が与えられる形式になったことから、2歳の段階で翌年の「高知優駿」への出走権を得ることが可能となっています。
※ほかに1800m特別競走「満天星特別」が2023年12月28日に開催されました
- 6月頃
(見込)特・2歳新馬800m(適時開催)
- 9月9日準・堆金菊特別
JRA上級認定競走
1300m
3着以内馬に「第1回ネクストスター高知」優先出走権 - 9月30日準・潮菊特別
JRA上級認定競走
1400m
3着以内馬に「第1回ネクストスター高知」優先出走権 - 10月29日重・第1回ネクストスター高知
JRA重賞級認定競走 未来優駿2023
1400m・地方デビュー馬限定・要高知既走歴
(優先出走:「堆金菊特別」3着以内馬、「潮菊特別」3着以内馬)
優勝馬に来年開催の「第52回高知優駿」優先出走権(例年)
5着以内馬に「第45回金の鞍賞」優先出走権 - 11月25日準・土佐寒蘭特別
JRA上級認定競走
1600m・高知デビュー馬限定
3着以内馬に「第45回金の鞍賞」優先出走権 - 12月28日重・第45回金の鞍賞
1400m・要高知既走歴
(優先出走:「第1回ネクストスター高知」5着以内馬、「土佐寒蘭特別」3着以内馬)
優勝馬に来年開催の「第52回高知優駿」優先出走権(例年) - 2月4日
(明け3歳)準・土佐水木特別1600m
- 2月18日準・土佐有楽特別
1400m・高知デビュー馬限定
- 3月10日重・第12回土佐春花賞
1300m・要高知既走歴
優勝馬に「第52回高知優駿」優先出走権(例年)
3歳
3歳馬の重賞のうち、「土佐春花賞」は前年度のため、ここでは4競走としています。
1997年の重賞競走体系化の目玉の1つであった、3歳三冠重賞「黒潮皐月賞」「黒潮ダービー 高知優駿」「黒潮菊花賞」を中心とした形は創設以来変わっていません。
しかし、「高知優駿」が地方全国交流競走となり、賞金面でも他の3歳重賞とは別格となったのを機に3歳限定準重賞をプレップレースとして重賞の間に挟む形で、現在は自場の3歳戦だけで月1走程度のローテーションが組めるよう整備されています。
一方、「ダービーグランプリ」から「JBC競走」へという全国的な流れ作りの影響で、「ダービーグランプリ」指定競走になっている高知三冠の最終戦「黒潮菊花賞」の時期が以前よりも1か月以上前倒しされ、さらに高知デビュー馬が出走できる交流重賞「西日本ダービー」の開催時期が「黒潮菊花賞」と例年近接していることから、高知デビュー馬の場合はどちらにするのかを選ぶ必要があります。
また、「高知優駿」→「黒潮菊花賞」に関しては中間のプレップレース的な3歳準重賞は引き続き月1回設定されるものの、距離が例年1300~1400mと1900mの「黒潮菊花賞」の前哨戦的な要素は薄く見える体系になっています。
三冠競走が終わった後、9月一杯で格付けとしての3歳格も終了しますが、少し離れた11月に元々は福山との交流競走として2012年に設けられた重賞「土佐秋月賞」があり、この競走で高知の3歳競走は締めくくられます。
なお、2023年度は7月から3歳馬は古馬重賞・準重賞への出走が可能となり、陣営の方針によっては古馬重賞への挑戦が行われることもあるほか、今年度から「高知優駿」「黒潮菊花賞」優勝馬には年末の「高知県知事賞」優先出走権が与えられており、古馬戦とのつながりが新たに加えられています。
- 4月8日準・仙台屋桜特別
1600m
- 4月30日重・第27回黒潮皐月賞
高知3歳三冠第1戦
1400m・要高知既走歴
優勝馬に「第51回高知優駿」優先出走権 - 5月20日準・山桃特別
1800m
- 6月18日重・黒潮ダービー 第51回高知優駿
ダービーシリーズ2023高知3歳三冠第2戦
1900m・地方全国交流(他地区4頭以内)・要所属場既走歴
(優先出走:「第7回黒潮ジュニアチャンピオンシップ」「第44回金の鞍賞」「第11回土佐春花賞」「第27回黒潮皐月賞」優勝馬)
高知所属の3着以内馬に「第27回黒潮菊花賞」優先出走権
優勝馬に「第54回高知県知事賞」優先出走権
「第25回ジャパンダートダービー(JpnI)」指定競走(1着馬を指定馬) - 7月22日準・栴檀特別
1400m
- 8月12日準・魚梁瀬杉特別
1300m
- 8月27日重・第27回黒潮菊花賞
3歳秋のチャンピオンシップ2023
高知3歳三冠第3戦
1900m・要高知既走歴
(優先出走:「第51回高知優駿」高知所属の3着以内馬)
優勝馬に「第54回高知県知事賞」優先出走権
「第36回ダービーグランプリ(M1)」指定競走(優勝馬を指定馬) - 11月19日重・第12回土佐秋月賞
1600m・要高知既走歴
牝馬
高知けいばでは重賞競走の体系化の際、1997(平成9)~2000(平成2)年度の夏季に唯一の牝馬限定重賞「黒潮乙女賞」が設けられていたものの、準重賞格下げを経て打ち切られ、一時高知には牝馬路線がない時代がありました。
2011(平成23)年度から「レディスシリーズ」の総称(冠スポンサーが付いており現在は「グランディール レディスシリーズ」)で牝馬限定戦が四半期ごとに1戦ずつ設けられ、2013(平成25)年度に特別競走から準重賞へ昇格、高知けいばで数少ない牝馬限定戦として定着しました。
「シリーズ」と銘打たれているものの、シリーズ通算での成績表彰や次戦への優先出走権、最終戦的な競走への繋がりといったものはなく、独立した牝馬限定戦を総称したものですが(競走ごとに表彰は行われます)、4競走共通で在籍クラスにより負担重量が設定される本シリーズ独自の別定戦となっているのが特徴です。
2023年度より、レディスシリーズ終了後の年明け2月下旬に地方全国交流の4歳以上牝馬重賞「レジーナディンヴェルノ賞」が1900m戦で開催。短距離中心の既存牝馬路線とは離れた距離設定ではあるものの、高知における牝馬の頂点競走的な存在といえそうです。
- 4月22日準・スピカ特別
1400m・4歳以上牝馬・要高知既走歴・別定
- 7月8日準・ヴェガ特別
1300m・3歳以上牝馬・要高知既走歴・別定
- 10月7日準・ミラク特別
1400m・3歳以上牝馬・要高知既走歴・別定
- 1月7日準・ベラトリックス特別
1400m・4歳以上牝馬・要高知既走歴・別定
- 2月25日重・第1回レジーナディンヴェルノ賞
グランダム・ジャパン2024古馬 春シーズン
1900m・4歳以上牝馬・地方全国交流(他地区6頭以内)・要所属場既走歴
古馬 短距離・マイル
現在高知で最も充実しているのが古馬の短距離・マイル路線(1600m戦は場によっては中・長距離路線に位置付けているところもありますが、高知けいばでは普通・特別競走で日常的に行われていることから本稿では短距離路線に含めます)。
1997年度の体系化以前、この路線は少数派だったのですが、同年度に高知けいば唯一のダートグレード競走「黒船賞(JpnIII)」が1400m戦で新設されたことで路線整備が行われました。この間には経営難による縮小期をはじめ、中四国連携に伴う変化や、地元馬の「黒船賞」出走馬の選定競走を調整していった結果、現在はわかりやすいものとなっています。なお、準重賞競走のうち斤量が「別定」なのは別定戦であるA級1組戦の代わりに設定されているためです。これと重賞を組み合わせることで、1~2か月に1戦程度この路線のオープン格の主要競走が組まれている形となっています。
なお、「黒船賞」同様、夏の短距離重賞として長い歴史のある「建依別賞」も「トレノ賞」をステップレースとしており、こちらは上位3頭に優先出走権が与えられます。
2023年度は「黒船賞」が年度最終週の開催へ移動し、選考競走3競走との間に「御厨人窟賞」が挟まる形となっています。
- 5月13日準・ベストウォーリア賞
高知・佐賀スタリオンシリーズ1400m・4歳以上・別定
- 5月30日重・第14回福永洋一記念
1600m・4歳以上・要高知既走歴
- 6月17日準・カレンブラックヒル賞
高知・佐賀スタリオンシリーズ1600m・4歳以上・別定
- 7月1日準・仁淀川特別
3歳以上B級以下・1400m
- 7月16日重・第20回トレノ賞
1300m・3歳以上・要高知既走歴
3着以内馬に「第46回建依別賞」優先出走権 - 8月20日重・第46回建依別賞
1400m・3歳以上・要高知既走歴
(優先出走:「第20回トレノ賞」3着以内馬) - 10月21日準・レッドファルクス賞
高知・佐賀スタリオンシリーズ1400m・3歳以上・別定
- 11月5日重・第19回黒潮マイルチャンピオンシップ
1600m・3歳以上・要高知既走歴
- 1月1日準・初夢特別
1400m・4歳以上B級以下
- 1月14日重・第13回大高坂賞
1400m・4歳以上・要高知既走歴
優勝馬に「第26回黒船賞(JpnIII)」優先出走権 - 1月28日重・第21回黒潮スプリンターズカップ
1300m・4歳以上・地方全国交流(他地区8頭以内)・要所属場既走歴
優勝馬に「第26回黒船賞(JpnIII)」優先出走権 - 2月11日重・第11回だるま夕日賞
1600m・4歳以上・要高知既走歴
優勝馬に「第26回黒船賞(JpnIII)」優先出走権 - 3月3日重・第12回御厨人窟賞
1400m・4歳以上・要高知既走歴
- 3月17日準・八畳岩特別
1600m・4歳以上C級以下
- 3月26日重・第26回黒船賞(JpnIII)
1400m・4歳以上・指定交流(JRA5頭、地方7頭(高知3頭以内))
地方馬は要所属場既走歴・グレード別定
(優先出走:「第13回大高坂賞」優勝馬、「第21回黒潮スプリンターズカップ」優勝馬、「第11回だるま夕日賞」優勝馬)
古馬 中・長距離
日本の競馬全体が短距離指向となる中、高知けいばも短距離・マイル路線と比べると中・長距離路線の重賞は大きな変化が少ないまま今日に至っています。大晦日に行われる年に1度の最長距離重賞であり、「GRAND PRIX」の冠を付けた「高知県知事賞」を頂点とした路線は不変。また、「黒船賞」を除く高知けいばにおける1着賞金最高重賞の座もこの重賞の制覇が高知けいばのホースマンの大目標の1つであることも変わっていません。
なお、秋の中距離重賞「珊瑚冠賞」は「高知県知事賞」へのステップレースとなっており、上位3頭は「高知県知事賞」へ優先出走となります。上級馬の中・長距離戦は概ね3か月に1戦程度となっており、年末の「高知県知事賞」の後は新年度の「二十四万石賞」まで飛ぶこととなります。
1800m戦や1900m戦の条件準重賞競走は近年設置されたものです。上位級ではなく条件級に中距離準重賞が増えている理由はアナウンスもないためわかりませんが、競走距離の多様化だけでなく、高知の賞金上昇で相対的に転入した馬の格付けが低くなりがちな中、元々中長距離実績の高い馬もおり、そういった馬が下級で適性外の短距離中心のレースにしか使えず、本来の力を出す場がない状況に陥らないよう、という面があるのかもしれません。準重賞となると条件戦よりも当然賞金は大きく上がる為、距離が長めになりやすい上級への昇級や中・長距離重賞への挑戦がしやすくなることもあるかと思われます。
2022年度は準重賞の順番の入れ替えや時期変更があり、年度初めと年末に集中したように見えます。
- 4月15日準・四万十川特別
1800m・4歳以上B級以下
- 4月16日重・第39回二十四万石賞
1900m・4歳以上・要高知既走歴
- 5月7日準・丸山台特別
1900m・4歳以上C級以下
- 7月29日準・サトノアラジン賞
高知・佐賀スタリオンシリーズ1800m・3歳以上・別定
- 9月18日重・第35回珊瑚冠賞
1900m・3歳以上・要高知既走歴
3着以内馬に「第54回高知県知事賞」優先出走権
「第23回JBCクラシック(JpnI)」指定競走(優勝馬を指定馬) - 11月12日準・浦戸湾特別
1800m・3歳以上C級以下
- 12月2日準・キセキ賞
高知・佐賀スタリオンシリーズ
1800m・3歳以上・別定 - 12月17日準・鏡川特別
1900m・3歳以上B級以下
- 12月31日重・GRAND PRIX 第54回高知県知事賞
2400m・3歳以上・要高知既走歴
(優先出走:「第51回高知優駿」優勝馬、「第27回黒潮菊花賞」優勝馬、「第35回珊瑚冠賞」3着以内馬)