(2024年 馬場状態 5/5まで) [良]8 [良→稍重]1 [稍重]7 [重]13 [不良→重]1 [重→不良]1 [不良]16

高知競馬場の勝馬投票券

ネット投票なら手軽にスマホやパソコンで並ばず投票、さらにポイントも…がもはや日常の光景ともいえる地方競馬。しかし、現地で見るなら現金で購入した紙の勝馬投票券でないと…という方も今も多いのが実際のところ。

高知競馬場では地方競馬他場に先駆け、2014年7月20日から全入場者対応のキャッシュレス投票を導入しましたが、やっぱり本場では投票券の発売機に並んでいる方の方が多く見えます。勝馬投票券の魅力は利便性に勝るのかもしれません。また、「記念馬券」と呼ばれる応援馬の名前入り馬券を(当たっても)持ち帰るという文化は中央・地方に関わらず存在します。

さて、高知競馬場の勝馬投票券はJRAや地方他場のものとは大きく様式が異なります。なぜかも含めて作者が捨てずにため込んでいた数多の不的中馬券を頼りに、細かく見てみましょう。

  • 勝馬投票券のバーコード(QRコード)部分は全て画像処理を施しています
  • 文中「高知競馬場」としている部分は直営場外で発売されている投票券も含みます

日本競馬の勝馬投票券は何パターンもある

上左から大井競馬場(富士通フロンテック)、JRA京都競馬場(富士通フロンテック)、
下左から笠松競馬場(日本ベンダーネット)、高知競馬場(日本トーター)

競馬の勝馬投票券というと発売システムのシェアが最も高い画像上部の富士通フロンテックの投票券を思い出される方も多いのでは。しかし、同一メーカーでも券面のレイアウトや字のフォントなどがJRAと地方競馬で、また地方競馬各場ごとでも結構違いがあります。

となると、メーカーが違えばさらに違うのも当然で、左下の日本ベンダーネットの発券機で発売される笠松競馬場の馬券は全く別物に見えますし、本項で取り上げる右下の日本トーター製発券機で出される高知競馬場の投票券も他とはまるで違います(同じ日本トーター製発券機採用の金沢競馬場の投票券も、かつて手にしたもののデザインは高知と結構違ってましたが、筆者が長く行ってないので今も同じかはちょっと確認できてません)。紙の厚さやサイズも微妙に違います。

高知競馬場の勝馬投票券~基本~

勝馬投票券には適当に文字が書かれているわけではなく、JRAは「日本中央競馬会競馬施行規約」第70条、各地方競馬では主催者が制定している「地方競馬実施(条例施行)規則」(主催者ごとに規則の名称が異なる模様)で表示しなければならない項目が規定されています。高知けいばを主催する高知県競馬組合は条例等を公開していないため詳細は不明ですが、公開している他主催者の規定を見ると、以下の事項はどこも記載しなければならない項目であるようです。

  • 主催者名
  • 勝馬投票法の種類(賭式)
  • 開催場名
  • 当該競馬の開催の年度及びその年度における当該競馬の開催の順位を示す文字、またその競走はその競馬の何日目か(例:「平成30年度第18回第6日」)
  • 競走番号(例:「7レース」)
  • 投票した馬の番号もしくは組
  • 前号のそれぞれの馬の番号に係る勝馬投票の金額及びその合計枚数と総券面金額(例:「9枚900円」)
  • 勝馬投票券番号(画像処理で消している部分)

競走名・馬名入りの高知競馬場勝馬投票券

重賞
主催者で付与した競走名(競走名がない場合は競走条件)
個人協賛競走

競走名、馬名はルール上投票券に付記する必要はないのですが、高知競馬場の投票券は他場同様にサービスとして付けられています。レース名はなるべく全て書くようになっているようですが、長すぎるけれど略してもわかるものは「チャンピオンシップ=CS」のように一部略されることもあります。

なお、大晦日の西暦入りを含め、「一発逆転ファイナルレース」は正確には「一発逆転」が競走名には含まれていない設定になっているため、投票券上には「一発逆転」の文字は表示されません。

個人・企業協賛競走は当該競走の投票券には競走名が入ることが特典となっており、10文字以内で付けた競走名が必ず印刷されます(協賛者名は入りません)。

競走名がない場合のみ「C2-3」や「C3イ」といった競走条件が表示されます。このため、高知競馬場の投票券にはレース名欄に入るものが何か必ず印字されることとなります。

なお、かつてのハルウララブーム時代には馬名表示サービスがなかったため、馬名のスタンプで対応していたというこぼれ話がありますが、現在の投票券は馬名も印字されます。これに関しては各賭式や投票術によって出る・出ないの法則があるため以下で見ていきますが、結構色々なパターンで表示されます。

※騎手名の印字は他場場外発売分も含めて高知競馬場では行われていません。

高知競馬場の単勝・複勝馬券

高知競馬場の単勝・複勝式馬券は1枚のマークカードで同時に4頭まで購入できます。筆者は1枚で3頭までしか同時購入した馬券がありませんが、3頭までなら馬番号と共に全て馬名が表示されるようになっています。「記念で1頭ずつ1枚に!」という場合はマークカード1枚につき1頭ずつ書くと1枚1頭の単勝もしくは複勝馬券が購入できます。

なお、「単勝+複勝」同時購入として1枚になった、いわゆる「がんばれ!馬券」は高知競馬場では発売していません。

高知競馬場の枠複馬券

地方競馬では枠番連勝複式を「枠複」「枠連複」と略しますが、高知競馬場の投票券ではJRAのように「枠連」と表示されます。

枠複に関しては、どのマークカードを使っても一律で馬名は表示されず、枠番号だけが表示されます。なお、上にはありませんがマルチでの購入も可能です(それにする意味がないですが)。

※高知けいばに枠番連勝単式(枠単)の設定はありません

高知競馬場の馬複・馬単・ワイド馬券

いわゆる馬番二連勝式馬券の3通りです。

馬番連勝式馬券は複式の場合は枠囲みなし、単式の場合は枠囲みありの馬番が印字されます。(これは三連勝式も同じ)

基本の1通りずつ買い目をマークする青のマークカードで投票した場合、3通りまでであれば組み合わせ2頭の馬名が表示されますが、4通りになると馬番号の組み合わせだけが表示されます。

ボックス

ボックスでの購入の場合でも、5頭ボックスまでは馬名が表示されます。他社はボックス購入すると馬名が出ないイメージがあるので、これは日本トーター製の特色かも。6頭以上は馬番号だけとなります。

ながし

二連勝式の流し購入の場合、緑の「ながし/ボックス」マークカードでは1頭だけ塗った着の馬を自動的に軸馬と判定、紫の「ながし(マルチ)」マークカードでは軸として選択した馬が軸となり、その軸馬の馬名が表示されます。ながしも他社は馬名が出ないのでは。

こちらは馬単も同様となり、1着軸固定、2着軸固定に関わらず軸馬は馬名が表示されます。なお、緑の「ながし/ボックス」カードで1・2着1頭ずつマークすると1着固定扱いで1着側の馬の馬名が出ました(これは流そうとして止めたのかなw)。

フォーメーション・マルチ

2022年4月から紙の投票券でも購入できるようになったフォーメーション馬券とながしのマルチ馬券。

フォーメーション馬券の場合は馬名は表示されません。後述の三連勝式馬券で例がありますが、赤の「フォーメーション/ボックス」を使って結果的に軸馬がある馬券になった場合でも馬名は出ないようです。

一方、紫の「ながし(マルチ)」マークカードで流しのマルチ馬券を購入した場合は軸馬の馬名が表示され、軸の反対側は「相手」という表示になります。

高知競馬場の三連複・三連単馬券

いわゆる馬番三連勝式馬券の2通りです。

青のマークカードで1通りずつ買い目を塗っていった場合、こちらで馬名が出るのは2組まで。3組以上は馬番号だけの表示になります。

ボックス

ボックスについては二連勝式と同様、5頭ボックスまでは構成全馬の馬名が表示されます。6頭になると馬番号だけになり、7頭以上になると馬番号は二段書きに。

三連複のながし

緑の「ながし/ボックス」マークカードで三連複のながし馬券を購入した場合。軸馬が1頭でも2頭でも、馬名が表示されるのは1頭だけ塗った段、2頭軸の場合は上の段の馬が軸馬と判定され、軸馬の馬名が表示されます。ちなみに、緑のマークカードは「ながし」と言いつつ「最低1段だけ軸馬として1頭だけ塗れば、残りの段は何頭塗ってもよい」というフォーメーションっぽい仕組みになっているため、下段左のようなフォーメーションに見える馬券も「ながし」と表示されます。

三連単のながし

こちらも緑の「ながし/ボックス」マークカードを使い、三連単のながし馬券を購入した場合。軸馬とした1頭は何着固定でも馬名が表示されます。ただし、2頭軸にした場合は上の着の軸馬の馬名が表示されます。

前述の通り、「最低1段だけ軸馬として1頭だけ塗れば、残りの段は何頭塗ってもよい」という緑のマークカードであれば、フォーメーションのような流し馬券が購入できます。1頭軸の馬名を残したフォーメーションにしたいのであれば、敢えて緑のマークカードを使うという選択肢もあります。

なお、1行が9頭に達した時点で軸馬以外の表示は2段書きになります。また、緑のマークカードで全部1頭だけの1点買い馬券になった場合でも、馬名が出るのは一番上だけとなります。

三連複・三連単のフォーメーション・流しマルチ

二連系同様、赤の「フォーメーション/ボックス」でフォーメーション馬券にすると、1頭しかいない欄があっても馬名は表示されず、馬番号だけとなります。一方、紫の「ながし(マルチ)」マークカードの場合は軸馬の馬名が表示されます。三連複2頭軸で軸2頭の馬名の入った馬券を手に入れる場合は、紫のマークカードで購入すればいいのでは。

高知競馬場で購入する地方他場場外発売の馬券

高知競馬場では非開催日も含め、ほぼ毎日地方他場の場外発売を行っています。様式、記載パターンはは高知けいばの投票券と同一ですが、他場名の下に「高知場外」という表示が加えられます。他場名はほとんど明朝体のようですが南関東四場だけは凝った文字で表示されます。

高知けいば直営場外で他場場外発売馬券

高知けいばの直営場外(パルス高知、パルス宿毛、パルス藍住)で場外発売馬券を購入した場合。こちらも券面の書式は同じで主催者名の下に「パルス〇〇」と黒抜き白地と入ります。

なお、直営場外で高知けいばの投票券を購入した場合も「パルス〇〇」が入るようですが、こちらは白抜きにはならない模様…。

他場場外発売の投票券、高知けいばの投票券に関わらず、高知競馬場で購入した馬券を高知県外の地方競馬他場や場外発売所で払戻手続きを行う際は、相当な処理時間と煩雑な事務を要するとされています(不可能ではありません)。高知競馬場で購入した馬券の払戻は高知競馬場で確実に行ってください。

J-PLACEの馬券

2013(平成25)年4月7日からスタートした高知競馬場でJRAの投票ができる「J-PLACE」。かつて一部の地方競馬場に併設されていた「WINS」とは異なり、発券するのは地方競馬の投票と同じ発券機で行うため、馬券の様式は高知競馬場で発売される高知けいばや地方他場と同じ表示となり、「JRA(開催場)」という表示と「高知場外」という表示がされます。このため、JRAの競馬場の馬券では単勝・複勝くらいでしか表示されない馬名が、高知けいば系の「J-PLACE」では、ワイドの3点買いや馬複5頭ボックス、三連単1頭軸流し等でも表示されることとなります。ただし、レース名の表示はGI競走等の限られたものでしか出ないようです。

J-PLACEで購入した投票券はJRAの競馬場・WINSでは払戻できません。

メモリアル:J-PLACE導入前の馬券

筆者が「J-PLACE」導入前年(2012年9月)に高知競馬場へ足を運んだ際は馬券の様式が異なっており、恐らく現在の様式は「J-PLACE」対応に伴うために行われたのではと推定されます。

この当時はレース名表示が「高知けいば」の横に入っており、レース名が付いていない場合は無表示でした。またレース番号も1桁の場合は馬番号同様に十位に「0」が添えられ、賭式表示にはJRAの馬券のような英語表示はなく、「馬連」ではなく「馬連複」、「馬単」ではなく「馬連単」という表示でした(今「枠連」「馬連」にしたのはJRA馬券と書式を統一するため…?)。

おわりに

JRAや都会の地方競馬とはずいぶんと趣きが違う高知競馬場の勝馬投票券ですが、馬名が入る投票券が作りやすいという記念馬券派には嬉しい?メリットも。好きな馬がいるならば高知競馬場でしか作れない馬名入り馬券を趣味的に作ってみるというマニアックな楽しみ方もできるやもしれません。そして、当たればさらによしですね。

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