2023年11月19日の第7競走で行われた「高知ケーブルテレビ株式会社協賛 第12回土佐秋月賞」(3歳・1600m・晴・不良)で、石川 倭騎手(佐賀*)騎乗のユメノホノオ(牡3・田中 守厩舎)が、2着サンマルーン(牡3・打越勇児厩舎)に2馬身半差を付けて優勝した。この勝利で、ユメノホノオは今年5戦設定された高知けいばの3歳重賞競走を全て勝利した上、10連勝を達成した。なお、勝ち時計1分43秒6は2016年の第5回でディアマルコが記録した1分43秒9を0.3秒縮めるレースレコード更新となっている。
またユメノホノオはこの勝利で通算成績を15戦13勝とし、重賞は出走機会6連勝での6勝目となった。
(*石川 倭騎手は北海道所属だが、騎乗時は佐賀で期間限定騎乗中)
本記事では、今回で記録した項目、また今後達成の可能性がある項目について改めてまとめる。
3歳重賞完全制覇
ユメノホノオは3月19日に行われた「第11回土佐春花賞」を勝利した後、3歳三冠競走をすべて勝利して2009年のグランシング以来14年ぶりの高知けいば3歳三冠馬となっており、今回、最後の3歳重賞である「第12回土佐秋月賞」も勝利したことで3歳重賞競走5競走完全制覇となった。なお、5競走全てで単勝1番人気を背負っている。
日付 | 競走名 | 距離 | 着/頭数 | 騎手 | 人気 |
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3/19 | 第11回土佐春花賞 | 1300 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
4/30 | 第27回黒潮皐月賞 | 1400 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
6/18 | 第51回高知優駿 | 1900 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
8/27 | 第27回黒潮菊花賞 | 1900 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
11/19 | 第12回土佐秋月賞 | 1600 | 1着/12 | 石川倭(佐賀) | 1 |
高知けいばの3歳重賞が5競走となった2013年以降で3歳重賞を完全制覇したのはユメノホノオ号が初めて。
なお、2012年以前は3歳重賞の数が現在と異なっており、サラブレッド系3歳(旧4歳)重賞が複数設定となった1989年以降で、全ての競走を勝利した馬は以下のとおりとなっている。(地方競馬情報サイトで確認できる1973年以降の記録)
設定期間 | 設定重賞 | 達成馬 |
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1989~ 1996年 | 「やいろ鳥賞」 「RKC杯」 | シービーパトリス(1989)、ビショップスキー(1993) ヤマキヨリーフ(1994) |
1997~ 1998年 | 「黒潮皐月賞」 「高知優駿」 「RKC杯」 「黒潮菊花賞」 | カイヨウジパング(1998) |
1999~ 2011年 | 「黒潮皐月賞」 「高知優駿」 「黒潮菊花賞」 | オオギリセイコー(2000)、グランシング(2009) |
2012年 | 「黒潮皐月賞」 「高知優駿」 「黒潮菊花賞」 「土佐秋月賞」 | (なし) |
10連勝達成
ユメノホノオは「第12回土佐秋月賞」の勝利で、2022年11月26日の準重賞「土佐寒蘭特別」の勝利からの連勝が10となった。高知けいば所属馬の10連勝達成は2021年4月11日「C3-7」の勝利から2021年12月19日の3歳以上準重賞「ワールドエース賞」の勝利によって10連勝を記録したブラックランナー以来となる。
10連勝は全て世代限定の重賞もしくは準重賞で挙げたもの。期間中は全て単勝1番人気を背負っての達成となった。なお、重賞に限ると、この勝利で6連勝となっている。
日付 | 種別 | 競走名 | 距離 | 着/頭数 | 騎手 | 人気 |
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2022/11/26 | 準重賞 | 土佐寒蘭特別 | 1600 | 1着/11 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2022/12/28 | 重賞 | 第44回金の鞍賞 | 1400 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/02/05 | 準重賞 | 土佐水木特別 | 1600 | 1着/11 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/02/26 | 準重賞 | 土佐有楽特別 | 1400 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/03/19 | 重賞 | 第11回土佐春花賞 | 1300 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/04/30 | 重賞 | 第27回黒潮皐月賞 | 1400 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/05/20 | 準重賞 | 山桃特別 | 1800 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/06/18 | 重賞 | 第51回高知優駿 | 1900 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/08/27 | 重賞 | 第27回黒潮菊花賞 | 1900 | 1着/12 | 吉原寛(金沢) | 1 |
2023/11/19 | 重賞 | 第12回土佐秋月賞 | 1600 | 1着/11 | 石川倭(佐賀) | 1 |
新記録への可能性
ユメノホノオは今後の成績によってさらに以下の新記録達成の可能性が見込まれる。
高知けいば重賞全距離制覇
1600m戦の「第12回土佐秋月賞」を勝利したことで、現在行われている高知けいばの重賞で設定されている5距離(1300m、1400m、1600m、1900m、2400m)のうち4距離の競走で勝利し、残るは2400m戦のみとなった。2400m戦は「高知県知事賞」でのみ行われているため、今後この競走に出走して勝利すれば達成となる。なお、これまで達成したのは2021年8月22日の「第44回建依別賞」(1400m戦)で完成となったスペルマロンのみである。
距離 | 初勝利日 | 重賞競走名 |
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1300m | 2023年3月19日 | 第11回土佐春花賞 |
1400m | 2022年12月28日 | 第44回金の鞍賞 |
1600m | 2023年11月19日 | 第12回黒潮MCS |
1900m | 2023年6月18日 | 第51回高知優駿 |
2400m | (出走歴なし) |
なお、高知けいばでは現在7距離で競走が行われているが、800mと1800mでは重賞が行われていない。このうち、2023年5月20日の準重賞「山桃特別」で1800m戦を勝利しているが、800m戦は2022年7月18日のデビュー戦で4着に敗れた1戦のみの出走履歴で、番組編成の傾向から800m戦への出走機会は当面見込まれないことから、全距離制覇は現状では達成困難である。
高知所属での収得賞金1億円達成
1着賞金800万円の「第12回土佐秋月賞」を勝利したことで、ユメノホノオの収得賞金は7,996万円に達した。なお、これまでの出走は高知競馬場のみである。
今後重賞等で勝利を重ねることで史上3頭目の高知所属期間内での収得賞金1億円達成も視野に入ってきた。
なお、これまで達成しているのはスペルマロンとガルボマンボの2頭だが、両馬とも他場デビューであり、現時点では高知生え抜き馬の達成例はない。
高知けいばにおける重賞連勝記録
「第12回土佐秋月賞」を勝利したことで、ユメノホノオは重賞競走の出走機会6連勝となった。
地方競馬情報サイトで確認できる1973年以降の記録から集計したところ、高知けいばにおける重賞の出走機会連勝記録は2021年4月18日の「第37回二十四万石賞」から同年11月7日の「第17回黒潮マイルチャンピオンシップ」までの間、重賞出走機会を全勝したスペルマロンの6連勝が最高とみられ、現時点でタイ記録と考えられる。
日付 | 種別 | 競走名 | 距離 | 着/頭数 | 騎手 | 人気 |
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2021/04/18 | 重賞 | 第37回二十四万石賞 | 1900 | 1着/12 | 倉兼育(高知) | 1 |
2021/05/03 | 重賞 | 第12回福永洋一記念 | 1600 | 1着/11 | 倉兼育(高知) | 1 |
2023/07/18 | 重賞 | 第18回トレノ賞 | 1300 | 1着/10 | 倉兼育(高知) | 1 |
2023/08/22 | 重賞 | 第44回建依別賞 | 1400 | 1着/12 | 倉兼育(高知) | 1 |
2023/09/20 | 重賞 | 第33回珊瑚冠賞 | 1900 | 1着/12 | 倉兼育(高知) | 1 |
2023/11/07 | 重賞 | 第17回黒潮MCS | 1600 | 1着/10 | 倉兼育(高知) | 1 |