(2024年 馬場状態 5/5まで) [良]8 [良→稍重]1 [稍重]7 [重]13 [不良→重]1 [重→不良]1 [不良]16
備忘録

黒船賞選考競走の推移

高知けいば唯一のダートグレード競走「黒船賞(JpnIII)」では、優勝馬に優先出走権を付与するトライアル競走「黒船賞選考競走」を実施し、地元高知所属馬の出走馬を選考する方式を長らく採用しています。

現在は3つの重賞(「大高坂賞」「黒潮スプリンターズカップ」「だるま夕日賞」)が指定されており、高知出走枠は3枠のため、形式的にはトライアル重賞の勝ち馬が高知代表として黒船賞に挑むわかりやすい形が作られています(優先出走権を行使しなかった場合、また他所属馬が満枠とならなかった場合の高知出走馬は選考により選出されます)。

この形式は当初から設けられていたわけではなく、その当時の事情に応じて変化しています。高知けいば公式ウェブサイトで確認できたこれまでの黒船賞選考競走の推移をまとめてみました。

選考競走設置前

第1回(1998(平成10)年)~第6回(2003(平成15)年)に関しては高知けいば公式ウェブサイト上に資料がないため確認できませんが、公式ウェブサイトリニューアル前に公開されていたコラム記事を確認した限りでは、この期間は特定の競走をトライアル競走とし、優先的に選出する取り組みは行われていなかったようです。

第7回(2004(平成16)年)の開催年度である平成15年度の番組編成要領は公開されており、それによると、準重賞「だるま夕日特別」の優勝馬が選出基準として特記されています。ただし、公式ウェブサイトリニューアル前に掲載されていた開催展望記事によると、トライアル競走ではないとの記述があったため、あくまでこれも目安であったようです。

第8回(2005(平成17)年)に関しては公開資料が残されていません。

黒船賞トライアル

第9回(2006(平成18)年)の開催年度である平成17年度以降の番組編成要領は現在の公式ウェブサイトにも残されています。その中で、この回と第10回(2007(平成19)年)では選出基準に下記3競走の優勝馬が特記されています。

開催時期種別競走名距離
(2006年)
距離
(2007年)
2月上旬特別アメジスト特別1400m1600m
2月中旬特別だるま夕日特別1400m1400m
3月上旬特別アクアマリン特別1600m1600m

また、「地方競馬情報サイト」に掲載されている出馬表において、2007年の下記3競走には「黒船賞トライアル」というサブタイトルが付いていました。ただ、公開資料等からは優先権付与といった形が取られていたかどうかは確認できませんでした。

なお、第10回まではJRA・高知・地方他地区各4頭ずつの出走枠だったため、少なくとも1頭は特記競走の優勝馬でなくても選考されていたと思われます。

黒船賞選考競走

2008(平成20)年

公式な資料に「黒船賞選考競走」という表現が初めて現れたのはこの開催の年度(平成19年度)。ただし、この年の黒船賞は高知けいばの経営不振により開催の数か月前に取り止めが発表されています。どの競走を選考競走とするかは要領に明示されていませんでした。

2009(平成21)年「第11回」

開催場
開催時期
種別競走名距離出走馬
高知
1月中旬
特別ガーネット特別1400m高知所属馬
高知
2月上旬
重賞黒潮
スプリンターズカップ
1300m近畿・中国・四国
地区交流
福山
2月中旬
特別いろは丸特別1600m福山所属馬
高知
2月下旬
特別だるま夕日特別1600m高知所属馬

開催再開となったこの年の第11回より出走枠がJRA5頭、地方他地区4頭、高知3頭に変更。また、この年度(平成20年度)途中の2008年12月から近畿・中国・四国地区の連携強化として、高知の一部競走で2地区所属馬の交流出走枠の設定が行われたうえで、黒船賞選考競走が福山競馬場でも1競走実施されるようになりました(福山での表記は「黒船賞トライアル」)。

なお、この年度の要領で黒船賞選考競走と明示されているのは「黒潮スプリンターズカップ」のみですが、競走の予定表で「ガーネット特別」と「だるま夕日特別」も指定されていることが確認できます。また、福山の「いろは丸特別」のみ福山側の発表で優勝馬へ優先出走権を付与することが明記されています。

この年の「高知3競走、福山1競走」という形が一旦固まります。

2010(平成22)年~2012(平成24)年「第12~14回」

開催場
開催時期
種別競走名距離出走馬
高知
1月下旬
特別ガーネット特別1400m高知所属馬
高知
2月上旬
重賞黒潮
スプリンターズカップ
1300m地方全国交流
福山
2月中/下旬
特別
→重賞
いろは丸特別
→いろは丸賞(2012)
1600m
→1250m(2011~)
近畿・中国・四国
地区交流
高知
2月下旬
特別だるま夕日特別1600m近畿・中国・四国
地区交流

2010年から「黒潮スプリンターズカップ」「いろは丸特別」「だるま夕日特別」優勝馬は優先出走権付与と明示、一方「ガーネット特別」優勝馬は選定上位馬(指定馬)となり、優先出走権の次位的な扱いとされました。また、交流出走の扱いも変わり、「黒潮スプリンターズカップ」は地方全国交流、「いろは丸特別」と「だるま夕日特別」は近畿・中国・四国地区交流となり、地元馬限定は「ガーネット特別」のみとなりました。

福山の競走は変更が続き、2011年からは距離を1250mに短縮、さらに2012年に重賞へ格上げされ、競走名を「いろは丸賞」に改めています。

なお、この年度以降、黒船賞の出走枠の表記は「JRA5頭、地方7頭(高知3頭以内)」という表現となっています。

※2011(平成23)年3月14日開催予定だった第13回は直前に発生した東日本大震災の影響で開催中止となっています。

2013(平成25)年「第15回」

福山競馬の最終開催年度となった2012(平成24)年度は、交流から近畿地区が外れ中国・四国地区の2地区による交流となった一方、年度途中に高知の最初の選考競走が「ガーネット特別」から前年度に新設された中四国連携競走の重賞「久松城賞」に変更され、所属馬限定の選考競走が一旦消滅しました。なお、優勝馬の扱いはガーネット特別を引き継ぎ選定上位馬のままとなっています。

開催場
開催時期
種別競走名距離出走馬
高知
1月中旬
重賞久松城賞1400m中国・四国
地区交流
高知
2月上旬
重賞黒潮
スプリンターズカップ
1300m地方全国交流
福山
2月上旬
重賞いろは丸賞1250m中国・四国
地区交流
高知
2月中旬
特別だるま夕日特別1600m中国・四国
地区交流

2014(平成26)年「第16回」以降

開催時期種別競走名距離出走馬
1月中旬重賞大高坂賞1400m高知所属馬
2月上旬重賞黒潮スプリンターズカップ1300m地方全国交流
2月中旬重賞だるま夕日賞1600m高知所属馬

黒船賞選考競走が高知のみの開催に戻り、選考競走は3競走となった上で特別競走だった「だるま夕日特別」を重賞「だるま夕日賞」に格上げ。また、「久松城賞」は「大高坂賞」に改称した上で、本競走も優勝馬には優先出走権を付与する形となり、

黒船賞選考競走は3つの重賞で優勝馬に優先出走権を付与

というシンプルな形が完成。この形で定着、現在に至ります。

タイトルとURLをコピーしました