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高知けいばの競走名の傾向

(初回投稿)2017.6.26
(更新)普通競走に付けるレース名の説明を訂正

競走名を表示するゲート上のLED表示盤(YouTube高知けいば中継より)

はじめに

競馬はレース番号が付与され、それに出走馬の条件やレースの格付け、距離、成績に応じた賞金が設定されれば、馬と騎手を揃えることでレースはできますがそれでは味気ないもの。

そこで、レースや競馬自体を目立たせるべく主要な競走には名前が付けられており、特に長年行われているものには伝統と格式といった風格が付いたり、JRAの「日本ダービー」「有馬記念」など、競馬に興味がなくても知っているというほど浸透したレース名もあります。

地方競馬でも数十回の歴史を誇るような重賞競走のレース名は他地区の地方競馬ファンにも知られる知名度を持ったものもあり、また近年の地方競馬I-PATなどの発売チャンネルの増加により、それまでJRAだけ見ていた競馬ファンが地方競馬に目を向ける機会も増えてきたことで、せいぜい「有馬記念」の後のラストチャンスとしての位置づけでトライする人も多いという年末の大井競馬の「東京大賞典」くらいしか馴染みがなかった競馬ファンでも、いろいろな地方競馬のレース名を見る機会も増えてきているかと思われます。

JRAに比べると地方競馬の競走名、特に特別競走や普通競走に付けられるレース名は非常にバラエティーに富んでおり、JRAでも見かけるようなシンプルなもの、題材が一般的すぎてJRAの競走と同じような名前の競走もある反面、自治体が運営する競馬場と言うことから所在都道県の自治体や地方、名物、イベントを細かく具体的に織り込んだもの、レースに地元企業等が協賛してPRを兼ねたレース名にしたもの、そして個人協賛競走とさまざまなタイプのものがあり、各競馬場によって個性はありますが一般的にJRAより競走名が長くなりやすかったり、これは競走名なのか?というものが時々登場するのも特徴といえます。

ただ、投票しようと馬柱を見て出走馬を比較する際、一般のスポーツ紙では出走履歴にレース名だけが省略されてしか載っていない媒体があるため、力量比較が難しい時があります。JRAより細かく格付けしてレース編成されることが多い地方競馬においては、これまで走ったレースの差が出走馬の力量比較を考える重要なファクターとなり得ることから、競馬専門紙であればレース名とは別にその競走の格付けや条件(級・組)を併記していることが一般的ですが、スポーツ紙だけでなくネット投票サイトでも全馬の馬柱を一括表示したときには格付け・条件が簡略化されていたり、「レース名+級・組」といった表示方法になっているサイトだと、レース名が長すぎてオーバーフローした級・組が表示されず、結局一旦クリックしないと表示されないといったケースがあります。

では、高知けいばの場合はどうなの?となります。以前は正直言って重賞以外は傾向がないという答えになったのですが、2016年あたりからレース名の付け方に一定の傾向がみられるようになってきたので、それをご紹介したいと思います。

基本パターン

高知競馬の場合、まず競走名がある場合にはその末尾の言葉で判別が可能になっているものもあり、重賞はほとんどが「賞」ですが、例外では「記念」(福永洋一記念)、「優駿」(高知優駿、「黒潮ダービー」は副題)のほか、「チャンピオンシップ」(黒潮マイル~、黒潮ジュニア~)、「カップ」(黒潮スプリンターズカップ)といった英語も用いられたものもあります。また、年に数回の開催ですが、中央条件交流戦は末尾がかならず「盃」となります(はりまや盃、桂浜盃、よさこい盃)。

一方、準重賞は2016年にスタートした「高知・佐賀スタリオンシリーズ」は「種付け権対象の種牡馬名」+「賞」ですが、そのほかの準重賞は全て末尾が「特別」です。また、特別競走(全日本新人王争覇戦等の特別企画系のレースは除く)の末尾は全て「特別」、さらに、広域場外発売として他の競馬場本場・場外施設で1~3レース発売される競走にもレース名が付けられており、それには普通競走・特別競走に関わらず末尾は全て「特別」。そして、個人協賛競走については「末尾に「特別」を入れて10文字まで」というレース名設定の条件があります。

ほとんど「特別」ばかりじゃないか…。

ということで、高知競馬の名前つきレースの大半は最後が「特別」で終わっており、何も知らないとレース名だけではこれが平場の賞金順で組まれた普通競走なのか特別競走の選抜戦だったのか、はたまた準重賞だったのかを一目で区別することは困難です。

特別競走の選抜戦と普通競走では走った馬のレベルが基本的に違うため(まれに普通競走でも組み合わせの巡り会わせで強い相手とやってるときもありますが)、例えば選抜の3着と平場の1着では実は相手関係がまるで違ってたというケースもあることから、予想の際に気が付いてないとわかりやすい差を見誤ってしまい…ということもあるかもしれません。

ただ、準重賞は高知競馬を見ていればおなじみの名前もあるほか、競走条件が違うのでまだわかりやすいところですが、そのほかはとにかくいろんな「○○特別」「××特別」があり、「これ選抜戦だったっけ?」とわからなくなることもしばしば。ちなみに、高知競馬の専門紙3紙はレース名を出す意味がないということか、3紙とも馬柱の出走履歴欄に重賞・準重賞以外レース名は入れておらず、級・組しか書いていません。

賞品付きレースでも選抜戦とは限らない

現在高知競馬では中四国地区の畜産団体が各県が推す畜産品を副賞として贈呈する協賛競走が行われています。

香川:「香川県オリーブ特別」「香川県馬事畜産振興協議会特別」
愛媛:「愛媛県いしづち特別」「愛媛県馬事畜産振興協議会特別」
徳島:「第××回徳島県うずしお特別」「徳島県阿波尾鶏特別」
高知:「高知県山茶花特別」「高知県馬事協議会特別」
岡山:「岡山県ももたろう特別」「岡山県吉備の温羅特別」
鳥取:「大山ルビー特別」
広島:「広島県もみじ特別」
島根:「しまね産和牛肉特別」 など…

副賞は各県のブランド肉や畜産品が贈られる事が多く(某騎手はこの系統のレースにやたら強いといった評判が立ったりしたことも)、表彰式ももちろん行われるので(※現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点か、省略されるケースが多くなっています)、こういうレースはメインレースの選抜戦で…と考えがち。当然メインや準メインに組まれることもあるものの、案外平場の目玉でもなさそうな中途半端な時間帯のレースで組まれることがあります。そうなるとレースはC3の下位や二走目だったりすることも多くなります。表彰式の時間の都合とかそういうこともあるのかもしれませんが(特に12R開催時の11R終了後は12R発走までの時間がなく慌しい)、「副賞付きレース=選抜戦や上級戦」ではないケースもわりとあるよという点は注意しておく必要があります。

各級の選抜戦のレース名の傾向は一応ある

作者が高知競馬を見始めた2012年ごろの高知競馬のレース名は、

  • 「四万十悠久の流れ特別」(2012.6.3 C3-1選抜)
  • 「乗ろうよ路面電車特別」(2012.6.17 C2-1選抜ほか)
  • 「竜馬も泳いだ鏡川特別」(2012.7.6 3歳-1)
  • 「鮎踊る四万十川特別」(2012.8.25 B-1選抜)
  • 「土佐清水めじかの里特別」(2013.6.29 B-1選抜)

といった感じで修飾語が付いたり、敢えて高知の地名を付したり、文章?といったものが多く、レース名は「(固有名詞・単語)+特別」と言う定型的なものばかりだと思っていた私はちょっとしたカルチャーショックを覚えたものでした。ただ、高知競馬が昔からこんなレース名を付けていたわけではなく、「夜さ恋ナイター」がはじまった2009年夏以降に徐々にこんな感じのレース名を増やしていったようで、ネット投票で全国相手になることから、高知のいろいろな名所・名物・有名なものををささやかながら競馬のレース名でもアピールしようという試みだったのかもしれません。

その流れが変わったのは2014年度。主催者側でレース名を付ける人が変わったのか文章的なレース名がだんだんと減り、季節を示す言葉や「(単語や地名)+特別」のレースが増え始め、さらにその翌年度あたりからは単純な名前のレースが大半となってきました。

ただ、その段階でもさすがに個人協賛競走と主催者で付けたレース名の区別は雰囲気でわかるものの、主催者がつけたレース名は特別競走(選抜戦)なのか、単に末尾が「特別」なだけの普通競走なのかの区別はまったく付かない状態でした(当時はその日、週の開催で時期にあわせたものや1つのテーマに基づいて設定しているという傾向はあった)。

それが、2016年度に入り、徐々に選抜戦のレース名の付け方が級別に整理されはじめ、同年8月の開催以降は、一般格各級の選抜戦(選抜でない1組戦も含む)のレース名は基本的に下記の法則にしたがって付けられているようです。

A-1選抜:開催日の月の誕生石、もしくは英語か和暦での開催月の呼び方
(エメラルド特別、ターコイズ特別、ノベンバー特別、メイ特別、睦月特別など)

B-1選抜:高知県内の山の名前・川の名前
(物部川特別、安芸川特別、奈半利川特別、筆山特別、荒瀬山特別、工石山特別など)

C1-1選抜:高知県内の自然名所の名前
(中津渓谷特別、天狗高原特別、樽の滝特別、伊尾木洞特別、入野海岸特別、大山岬特別など)

C2-1選抜:季節をイメージする言葉
(よさこい祭り特別、仲秋特別、冬至特別、バレンタイン特別、鯉のぼり特別、青葉特別など)

C3-1選抜:花の名前
(ひまわり特別、ポインセチア特別、スイセン特別、トサミズキ特別、雪割り桜特別、アジサイ特別など)

ただ、これにももちろん例外はあり、選抜戦に前述の畜産協賛が入ったり、JBCの開催が近づくとそのカウントダウンをレース名としたり、正月の開催日は正月にちなんだ名称となる例があります。なお、一時個人協賛競走を申し込んだ際、指定した日付とレース番号がたまたま特別競走だった場合は、個人協賛競走の名称が優先されていた時期がありましたが、現在は特別競走に個人協賛競走は入らなくなったようです。なお、稀にですが、月縛りのあるA-1選抜では、何度もA-1選抜があると同じ名前の競走が2回出てくることがありますのでご注意を。

準重賞のうちレディスシリーズは開始当初から変わらず女性に因んだ星の名前が使われており(スピカ特別、ヴェガ特別、ミラク特別、ヴェラトリックス特別)、3歳準重賞は木の名前(仙台屋桜特別、山桃特別、栴檀特別、魚梁瀬杉特別、土佐水木特別)で統一できている傾向ができていますが、そのほかの準重賞の中にはもともとB-1選抜で使われていた「仁淀川特別」(オープンではなくB級以下条件の準重賞なので関連性はありますが)があったりとまちまち。これはそれぞれ生まれた経緯が異なることもあり、仕方ないところ。きちんと調べるしかありません。一方、2017年以降、2歳馬の特別競走には星座の名前(アンドロメダ特別、ペルセウス特別など)が付く傾向にあります。

そのほかは普通競走だけど「特別」がついてるだけ

「芋ケンピ特別」「ぼうしパン特別」「きびなごの天ぷら特別」「戻り鰹の塩たたき特別」「土佐ジロー特別」「窪川ポーク特別」といった高知のうまいもの、「土佐つむぎ特別」「土佐茶特別」といった名産品、「金柑のシロップ煮特別」や「アイスクリン特別」「山北みかんケーキ特別」などのご当地スイーツなど、近年は比較的食べ物名のレースが多い印象がありますが、ほかにも旧跡、野菜、植物(C3選抜と紛らわしいものもあります…)、果物、変わったところでは一時土佐弁まで登場するなどさまざまな「●●特別」が名付けられてきました。

しかし、ここまでで取り上げたもの、個人協賛競走以外は広域場間場外発売として他場の本場や場外発売所で発売する関係上、レース名を付けておく必要があるために普通競走に付けられたレース名が多く(場外発売に関係なく主催者サイドでレース名を付けることもあります)、どの級・組で行われたかはまちまちです。なので、その普通競走で上位に来た馬が次走で本当の特別競走に出馬してきた場合や、同時に昇級して来たけど前走のレース名が違う場合は、力量比較する際にレース名は同じ「特別」でも格が違う点を気にしておく必要があると思われます。(なお、たまに食べ物の名前が付いてるとそれが副賞でもらえるとの誤解しがちですが、あくまでレース名なだけで特に協賛がついてなければそういった副賞がもらえるといったことはないようです)

ただ、高知に関しては広域場間場外発売として特定の1~2レースが指定され、他地区の競馬場とその系列場外発売所で売るケースが近年激減しているため(同時開催の場など、全レースや当該場の開催時間帯のまとまった範囲のレースが場外発売されている場合は、全てにレース名を付ける事はありません)、昔に比べるといろんな特別であふれかえることは以前よりは少なくなった印象があります。

他場は?

ちなみに、近年の他場のレース名をザッとみたところ、レース名の末尾が「特別」だけど特別競走ではない競走は岩手競馬で稀に行われている程度です。

昔の高知けいばは重賞も「○○特別」としていたものが多く、個人協賛でも「末尾は『特別』を入れる」と厳密に規定しているため、高知ではレース名といえばどんなレースであろうと「○○特別」が一番しっくりくるというこだわりというか流れが脈々と受け継がれているのかなという感じがしました。

「ファイナルレース」に要注意

最後に高知競馬名物「一発逆転ファイナルレース」。最後の一発逆転を狙って楽しみにしている方も多いと思いますが、後々馬柱に出走履歴として記録されると、その後出走馬は格落ちと認識されてしまう面もあります。

しかし、ファイナルレースには記者選抜による「一発逆転ファイナルレース」と普通に編成された最終競走である「ファイナルレース」の二種類があります。この場合、普通に編成された「ファイナルレース」だと、実は対戦メンバーが強かったケースもあり得るため、力量比較の際に「一発逆転」とは区別して考えた方がいいのですが、実は両者は馬柱上どちらも「ファイナルレース(級・組+一発逆転なら「記者選抜」)」としか表示されないのが原則です。なぜかというと「一発逆転」の文字はレース名ではなく馬柱に出ない協賛者名の枠に入っているため、厳密なレース名としてはあくまでどちらも「ファイナルレース」ということになっています。高知をはじめ、どこで紙の馬券で買ってもレース名が出る場合は基本的に「ファイナルレース」としかでないはずです。

このため、記者選抜だったかそうでないかを判別できない場合、特にネットの馬柱の場合はレース名をクリックしたり、NAR公式サイトの馬柱で確認して、級・組表示に「記者選抜」の文字があるかないかを確認する必要があります。「ファイナルレース」がどっちなのかはネットの表示だけでは開催当日ですら一瞬迷う人もいるようなので、ここは注意しておきましょう。

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