(2024年 馬場状態 4/29まで) [良]8 [良→稍重]1 [稍重]6 [重]13 [不良→重]1 [重→不良]1 [不良]16

高知けいばの概要

当サイトで取り上げる「高知けいば」とは?成り立ちなど基本的なところをまとめます。

主催者

「高知けいば」は高知県競馬組合を主催者とする競馬法に基づく組合営の地方競馬です。なお、主催者による対外的なPRやロゴマークなどは「高知けいば」と表記されますが、漢字表記の「高知競馬」が正式で、報道や一般的な表記も漢字表記の方が多く見られます。

高知県では明治時代から競馬が開催されてきた歴史があり、第二次世界大戦後も競馬法に基づき指定された戦火指定市町村長が個別に主催したほか、一部町村は組合を設置して開催していましたが、1967(昭和42)年12月に、高知県、高知市、ほか5市町村(南国市、土佐市、窪川町(現・四万十町)、大津村(現在は高知市に編入)、日高村)によって現在の一部事務組合「高知県競馬組合」が結成されました。なお、「ほか5市町村」については1968(昭和43)年度をもって法の規定により開催権が消滅したため、現在同組合は高知県と高知市の1県1市により構成されています。

組合は高知県競馬組合規約(→高知市例規類集リンク)をはじめとする条例、規則等に基づき運営されています。

代表者である管理者は組合規約の規定により、関係団体の協議の上高知県知事が選任することとされており、現在は高知県職員である高知県理事(競馬担当)が管理者となっています。職員は組合採用職員のほか、構成県市からの派遣職員で構成されています。

また、一部事務組合(特別地方公共団体)であることから、規約に基づき高知県競馬組合議会が設けられており、高知県議会から6名、高知市議会から3名の議員が選任され、予算や組合条例等の審議が行わています。

高知けいばにおける法定の開催回数、開催日、開催競走数の上限

  • 1年度につき  19回(競馬法施行規則第29条第1項第1号に定める別表第一)
  • 1回の開催日数 6日(同項第2号)
  • 1日の競走回数 12回(同項第3号)

開催競馬場

「高知けいば」が開催されているのは高知市南部の長浜地区に位置する「高知競馬場」です。1945(昭和25)年7月~1985(昭和60)年3月まで市中心部に近い桟橋通6丁目に設置されていた旧高知競馬場(通称「桟橋競馬場」)を移転する形で1985年4月に開場し、現在に至ります。競馬場敷地内には競馬場本体の他、組合事務所や全ての厩舎が位置しており、完全内厩制が取られています。

高知競馬場 概要

所在地〒781-0271 高知県高知市長浜宮田2000番地
アクセス無料駐車場約2000台分設置
公共交通機関の場合
とさでん交通バス「高知競馬場」停留所すぐ(土・日・祝のみ)
同「競馬場北口」停留所から徒歩12分
(高知けいば開催日は無料送迎バス運行)
敷地総面積586,980平方m
総収容人数15,000人
高知競馬場スタンド全景
スタンド5階建て
(ファンエリア:1階、3階、4階(指定席))
入場料高知けいば開催日の14時~20時に入場:100円
場外発売のみの日及び時間帯:無料
指定席個席:152席(うち車いす席4席)
ボックス席:5名掛け3区画、7名掛け4区画
個室:6名部屋2室、5名部屋1室
高知けいば開催中のみ営業
席種に応じ別途利用料金が必要
JRA開催時JRA場外発売所「J-PLACE高知」としても営業。
ナイター照明に照らされた高知競馬場ダートコース
本馬場(外)右回りダートコース1周1,100m
直線200m 幅員22~27m 走路高低差1.58m
練習馬場(内)右回りダートコース1周924.1m
直線200m 幅員25m
フルゲート12頭
(発走地点により10もしくは11頭)

直営場外発売所

パルス高知

開設:1993(平成5)年3月
所在地:高知県高知市本町1丁目7番7号
入場料:無料
注:「J-PLACE」ではないため、JRAレースの発売はありません(払戻・返還は可能)。

パルス宿毛

開設:1996(平成8)年9月
所在地:高知県宿毛市和田1400番地1
入場料:無料
JRA開催時:JRA場外発売所「J-PLACE宿毛」としても営業。

パルス藍住

開設:2004(平成16)年9月
所在地:徳島県板野郡藍住町徳命字元村東25-1
入場料:無料(有料席あり)
JRA開催時:JRA場外発売所「J-PLACE藍住」としても営業。
備考:大井競馬との共同設置により開設。

特徴

  • 経営難の表面化後、普及が進みつつあったインターネットでの全国発売に活路を見出し、重複の少ない開催時間帯に開催する究極の手段として、通年開催の競馬場としては日本初の通年ナイター開催「夜さ恋ナイター」が2009(平成21)年7月24日から実施されています。
  • 2000(平成12)年11月1日に「高知競馬公式ホームページ『Ryoma Derby』」を開設。地方競馬主催者の中でも公式webサイトの開設は早い方であり、開設当初からこのサイトでストリーミングの実況中継が見ることもできるなど、先進的な取り組みが行われていました。
  • 国内屈指である14~15cmの深さを持つダートコースで、他のダート競馬場以上にパワーが要求される一方、クッション性が高いことから脚元に不安のある馬でもダメージを軽減し現役を続けやすい効果があるとされています。また、古くから高齢となったり故障や脚元不安を抱えた馬の転入地となっていた歴史もあり、故障馬、高齢馬をケア、再生するノウハウが培われているとされ、かつてはより砂の厚い海岸での調教も行われていました(現在は行われていません)
  • 国内有数の多雨地帯であること、また長年の経営難に起因して開場以来本格的な走路改修が未実施のため走路内部の水捌けが悪いと言われており、その結果多少の晴天では馬場の水分が抜けきらず重馬場、不良馬場で行われる開催が多くなっています。
  • レース中継の冒頭では、「モーニング展望。」というレース展望コーナーが設けられており、その中で行われる「Jockey's Talk(ジョッキーズトーク)!」コーナーでは当日騎乗前の騎手が生出演で自らや騎乗馬の(予想にならない程度の)近況をトークするというインタビューコーナーが設けられており、我が国の競馬中継の中では高知けいばだけの試みとして定着しています。
  • 高知けいばの予想専門紙記者が出走馬の選定に参加し、近走勝ち星から遠ざかっている馬を集めて不振からの一発逆転勝利を目指してもらう「記者選抜戦」を実施しています。特に最終競走に行われる記者選抜戦「一発逆転ファイナルレース」は、力関係が拮抗した組み合わせも相まって戦前から混戦イメージが定着しており、混戦の面白さに加え、購入者にその日の馬券収支も一発逆転できるのでは、という副次的な希望を呼ぶ結果となり、インターネット投票の普及により参加者が増加、日本競馬におけるその日の最後の競走となることもあって、今や重賞以上に売り上げることもごく普通という看板レースとなっています。

経営状況

2000年の中津競馬場(大分)の廃止が契機となったともされる赤字基調の地方競馬場の廃止論は、高知競馬場も例外ではなく、平成に入って売り上げは漸減基調にあり、ついには2002(平成14)年には累積赤字が88億円に達したことで廃止の声が現実化した時期があったものの、雇用の受け皿にもなっている側面も考慮され、2003(平成15)年3月に組合を構成する高知県と高知市によって組合の累積赤字を肩代わりしてゼロとする代わりに、以降は単年度収支が赤字になった時点で即廃止とするルールが定められました。

この2003年度以降は赤字を出さないように収入に応じて支出を調整する出来高払い的な経営となり、賞典奨励費も額面通り出ない場合があるとまでしたものの、同年度は全国的な話題となった「ハルウララブーム」が起こったことで単年度黒字となり、その年には財政調整基金(いわゆる貯金)も確保。しかし、ブームが去るとその後は再び低落傾向に戻ったことから、「次(の廃止候補)は高知」とささやかれ続けながらも各種経費削減を続け、それでも出る赤字は財政調整基金の取り崩しで穴埋めすることで最終的に赤字は出ていないとして乗り切り、廃止ルールに抵触しない形で継続できていました。しかし、薄暮開催の「夕焼けいば」を開始した2008(平成20)年度に38.8億円という赤字即廃止ルール制定以降で最低の年度売得金を記録し、いよいよ同年度末の財政調整基金残高が1億円を割る状況に追い込まれます。

しかし、最後の手段として走路にナイター照明設備を整備し、2009(平成21)年7月、通年ナイター「夜さ恋ナイター」がスタートすると少しずつ売得金が回復基調を見せ、同年度以降基金取崩しなしでも単年度黒字を確保、2011(平成23)年度からは逆に基金に積める状況になってきました。そして、2012(平成24)年秋の「地方競馬IPAT」の開始以降、中央競馬のみの参加者が地方競馬にも流れる動きが徐々に広がったことに合わて、2014(平成26)年度からは南関東の平日ナイターがない冬場の開催を「土・日」から「日・火・水」に変えたことで平日夜のネット投票層を取り込む策に成功。また、2017(平成29)年度からは「SPAT4」で全レースの購入が可能となったことで、さらに売得金の増加に加速が付きました。

インターネット投票が主流となったことにより、本来実入りの多い本場、直営場外購入者のシェア低下には歯止めがかからないという課題はあるものの、インターネット投票事業者への手数料がかかってもそれをカバーして余りある売得金全体の急激な増加により、廃止と隣り合わせだった状況からはひとまず脱出していると言えます。

新型コロナウイルスに伴う約半年の無観客開催という異常事態であったとはいえ、令和2年度の売得金に占める本場、直営場外販売シェアは全体の約1%にとどまるのに対し、インターネット販売シェアは約97.5%となっています。(高知けいば公式サイト「令和2年度開催成績 発売所別」より→こちら

また、2017年からスタンドの改修が徐々に進み、2022(令和4)年4月は中心的な存在であるスタンド1階部分の大規模リニューアルが完成したことでスタンドの観戦環境が著しく向上。さらに2023(令和5)年4月には入場門付近の遊具施設を一新した複合型の大型遊具施設「バババパーク」をオープンしたことでファミリー層の来場が如実に増えており、長らく続いていた来場者数減少の流れには歯止めがかかりそうな兆しが見えつつあります。

2013(平成25)年度には窮状の代表例のように言われ続けていた「最下級1着9万円」が「10万円」に引きあがったのを号砲に、その後は売り上げの急回復に合わせて賞金・手当も驚くほどの急上昇を見せるとともに、手付かずだった数々の老朽施設も自己資金で改築更新が進められており、2018(平成30)年度からは高知県、高知市への利益配分を36年ぶりに復活させています。また、2019(平成31)年度以降は、賞典奨励費の出来高払いルールも要項から消えています。ただし、「高知競馬は赤字を出すことができないため」という文言は現在も番組編成要領に残っており、高知けいばを続けていく為にも、廃止に直面した頃と同じようなことがいつ起きるかわからないという危機感が、関係者の中には今もなお生き続けているのもまた事実であるようです。

参考
・高知県農業振興部農業政策課競馬対策室公式ウェブサイト
・「高知でハルウララにaitai 高知競馬Official Book 2004」
・「2012高知けいばハンドブック」
・地方競馬全国協会公式サイト「日本全国競馬場ガイド」

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