(2024年 馬場状態 12/1まで) [良]19 [稍重→良]1 [良→稍重]1 [良→稍重→重]1 [稍重]22 [稍重→重]1 [重]19 [不良→重]1 [重→不良]2 [不良]33

高知けいば 賭式の変遷

「好きな馬を応援する意味を込めて単勝や複勝」、「一発でっかい夢を求めて三連単」、「この馬とこの馬は大丈夫だと思うんでワイド」…などと競馬の勝馬投票券にはさまざまなニーズに対応する賭式が用意されています。

長く競馬をされていれば「単・複・枠連(枠複)」がまず基本にあって、その後馬複(馬連)、ワイド、馬単、三連複、そして最後に三連単ができたという流れを掴んでいる方は多いかと思います。

賭式自体は競馬法で規定されている項目ではありますが、地方競馬では実情やシステムに合わせて、現在も中央競馬にはない「枠番号二連勝単式(枠単)」が南関東4場と金沢競馬で設定されていたり、発売方式が限定されるものの重賞式馬券があったりしますが、地方競馬IPAT導入や地方競馬共同トータリゼータシステムの登場までは、開催場によって賭け式があったりなかったりというケースが2010年代に入ってもざらに見られる状況にありました。

厳しい売上減に長年苦しんでいたこともあり、高知けいばは売上の基本である賭式の設定についても近年までいろいろな変遷が見られていました。ネットでの検索では確証が取れない部分も多いことから、最近の流れが中心になりますが、判明した部分を記しておきます。また、賭式ごとの払戻率の自由化による変化もあったことから合わせてここで記します。

賭式の変遷

有史以前

もともと日本の競馬の賭式は単勝のみでスタートし、その後複勝が導入。連勝式馬券は戦後に入ってからの導入でしたが、高知競馬での導入は高知県競馬組合が結成されたあとの1963(昭和38)年4月に「枠番号二連勝複式(枠複)」を導入。当初は第7競走以降のみの発売となっていたそうです。

ごく少数ネット上にある旧桟橋競馬場時代の画像を見ると、フルゲートは8頭でしたが、その時も桃色の帽子やゼッケンを付けていたので、桟橋から長浜へ移る頃や、長浜の現競馬場への移転当初は一般的な単勝式、複勝式、8枠制の枠複を発売していたものと思われます。

1994(平成6)年6月25日~1996(平成8)年6月27日

単勝 複勝 [8枠制]枠複(第1競走~第4競走) [6枠制]枠単(第5競走以降)
(※6枠制の競走で枠複が発売されていたのかは未確認。)

新機軸として平成6年度第5回開催から導入されたのが「枠番号二連勝単式(枠単)」。初日の適用初戦となった第5競走では「6枠連単実施記念」と競走名になるなど、期待の大きさが覗えます。ただ、これまでは8枠制で行っていた競走を、枠単を発売する競走では6枠制に変えており、組み合わせの数が大幅に増えることは抑制した形となっています。(ちなみに記念競走が「枠単」ではなく「連単」という表現にしているのは、当時は馬番号での連勝式馬券がないので「式」だけで判るということかと)

1996年7月21日~1998(平成10)年2月2日

単勝 複勝 [8枠制]枠複 [8枠制]枠単(第5競走以降)

平成8年度第6回開催からマークシートでの投票や自動支払機の導入が行われるなど、発売方法に大きな改変が行われ、この際に6枠制が中止され再び全競走8枠制へ変更。ただ、枠番連勝単式は引続き第5競走からの発売のみとされていました(この時期は枠複・枠単が併用で発売されています)。

1998年2月21日~1998年10月22日

単勝 複勝 [8枠制]枠複 馬複

JRAでは1991(平成3)年から設定されていた「普通馬番号二連勝複式(馬複)」を平成9年度第16回開催より全競走で導入。一方、枠単は4年足らずで廃止となり、全競走で発売賭式が統一されました。なお、現在は8頭以下の競走の場合、馬複も枠複も組み合わせが同一となるため馬複のみの発売となりますが、この当時は長く慣れ親しまれていたためか枠複の方を発売する形が取られていました。

「馬複は原則9頭以上で発売」の告知。とっくに制度の変わっていた2014年6月、外向発売所にまだはがし忘れが残っていたのでちゃっかり記録(さすがに今は剥がされています)。

1998年10月31日~2003(平成15)年3月22日

単勝 複勝 [8枠制]枠複 馬複 [8枠制]枠単

平成10年度第10回開催より、一度廃止されていた枠単の発売をわずか8か月で再開。今度は全競走で発売される形となり賭式は5つに。

2003年4月12日~2004(平成16)年8月29日

単勝 馬複 馬単

前年よりJRAで発売されるようになった「馬番号二連勝単式(馬単)」の発売を平成15年度第1回開催より開始。この際に発売賭式が整理され、複勝式と枠番号での連勝複式・連勝単式が廃止され、単勝式と馬番号での連勝複式・連勝単式の3賭式にまで単純化されました。枠番号投票と馬番号投票の並存では投票が分散してしまう懸念があり、また、複勝式は払戻が付かないイメージからか売上が伸びない構図はこの当時もあり、的中馬への投票がなかったり、あまりに投票数が少なすぎて払戻金のバランスがおかしくなっていたりというケースも散見されていたためかこの時に一旦発売されなくなりました。

余談ながら、これ以降2012年の枠複発売再開までは枠番号を明示する必要はなくなったのですが、競走上は枠番号の設定が続けられており、騎手の帽子や普通競走ゼッケンの色分けも引き続き枠番号ごとで行われていました。

2004年9月25日~2007(平成19)年3月4日

単勝 馬複 馬単 ワイド 三連単

平成16年度第10回開催より「拡大馬番号二連勝複式(ワイド)」と「馬番号三連勝単式(三連単)」を全競走で発売。JRAではワイドは1999年に導入済みでしたが、三連単はこの年から試験導入(全レース発売となったのは2008年)という時期、地方競馬やほかの公営競技の方が先に本格導入していたもの。波乱の度合いでこれまでの賭式を大きく上回る高配当が期待できる仕組みのうえ、既に導入済みの他場でも実績があったこともあってか、当時の高知競馬公式サイトにあった橋口アナのコラム「ゴールポスト通信」によると、開始当初から売上全体の6割を三連単が占める人気ぶりだったそうです。

2007年3月10日~2009(平成21)年7月19日

単勝 馬複 馬単 ワイド 三連複 三連単

平成18年度第19回開催からは「馬番号三連勝複式(三連複)」の発売を開始。当時のニュースリリースによると、既に非開催日に場外発売を行っていた南関東4場でも発売していることから、高知競馬場でも既に浸透している賭式であり、今後のネット発売や場外発売などの全国展開を見据えての導入というものでした。JRAでも2002年に導入しており、全国に目を向けるなら、投票が分散するマイナス面より、既に一般的となっていた賭式は設定しておいた方が買ってもらいやすいだろうという考えでしょうか。

2009年7月24日~2012(平成24)年9月22日

単勝 複勝 馬複 馬単 ワイド 三連複 三連単

ナイター競走「夜さ恋ナイター」をスタートした平成21年度第7回開催より2003年3月で廃止されていた複勝式の発売が再開されました。当時のニュースリリースではより多様な賭式を用意することで馬券購入の選択肢を増やすことを目的としたものとあります。売上が三連単に集中する中で、売上が伸びない馬券というイメージが一番強い複勝式ですが、ナイター競走を見に来た新規ファンにも手にしやすい当たりやすい馬券という需要の掘り起こしが期待されたのやもしれません。

2012年9月28日~現在

単勝 複勝 [8枠制]枠複 馬複 馬単 ワイド 三連複 三連単

2012年10月からの「地方競馬IPAT」導入に合わせ、JRAにあって平地地方競馬にない賭式についてはJRAに合わせて導入することとなり、高知では2003年3月に廃止された枠複の発売が再開されました。通常は開催回のはじめから行うものですが、相手方の都合ということもあってか、この日は中途半端な平成24年度第8回第5日でありました。
 なお、2003年までと違い、8頭以下の競走については枠複ではなく馬複を発売する形に改められています。

競馬法の改正に伴う払戻率自由化に伴う払戻率変更の変遷

2012年6月の競馬法改正に伴い、それまで払戻額の法定計算式の関係で「およそ75%」とされていた払戻率が各主催者が一定の範囲内で設定できることになったことから、2014(平成26)年4月の開催より高知けいばも各賭式ごとで払戻率が設定されました。

2014(平成26)年4月1日~2014年6月1日

払戻率80%:単勝 複勝
払戻率75%:枠複 馬複 馬単 ワイド
払戻率72.5%:三連複 三連単

競馬界全体では1頭選ぶものを80%、2頭選ぶものを75%程度、3頭選ぶものを72.5%という形を基本とした感があり、高配当が期待されやすい三連系の払戻率を下げる代わりに、買いやすいとされる単勝・複勝の払戻率を上げる形となりました。JRAや一部の地方競馬では若干独自の考えで一部基本と違う払戻率としたところもあった中、高知けいばの払戻率設定は、概ね基本に忠実にした格好でスタートしました。

2014年6月7日~現在

払戻率80%:単勝 複勝
払戻率77%:三連単(最終競走に限る)
払戻率75%:枠複 馬複 馬単 ワイド
払戻率72.5%:三連複 三連単(最終競走を除く)

新払戻率が設定されてからわずか3か月後、平成26年度第4回開催からは最終競走のみ三連単の払戻率が72.5%から77%へ引き上げられることとなりました。払戻率の自由化を受けて他場との差別化を図りたいという動きが主催者内であったようで、その結果が最終競走のみ三連単の払戻率を引き上げるということになったもの。

「高知けいば最終レースは三連単の払戻率77%」というポスターやネット中継で告知が出されたほか、最終競走がしばしば波乱を呼び起こす「一発逆転ファイナルレース」であることが多いことから、「一発逆転」+「三連単払戻率77%」という形で高知けいばの大きな特徴のひとつとして紹介される効果もあったようです(条件が「最終競走」なので、記者選抜でない「ファイナルレース」でも三連単払戻率は77%になります)。個人的な印象ですが、全競走を引き上げるよりも、このやり方の方が最終競走プレミアム感がより醸しだされたので、宣伝のインパクトとしてもよかったのかなと思います。

(参考資料:「aitai 高知競馬officialbook」内 「高知競馬の足跡」、J-BISデータベース、高知けいば公式サイト、NAR公式サイト等)

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